このまま米軍活動を環境影響評価(アセスメント)の対象外とすれば本土と沖縄の「二重基準」となる。
 米軍那覇港湾施設(那覇軍港)の浦添移設のアセスに米軍の活動が含まれていない問題で、2012年に完成した長崎県の米海軍施設移設では「供用後の利用目的が明確」としアセス対象となっていたことが分かった。

 公有水面埋め立て事業のアセス項目には供用後の運用に関するものはない。
 沖縄防衛局が8月に公表した軍港浦添移設事業の方法書には、供用開始後の米軍の活動内容は含まれていなかった。
 一方、当時の福岡防衛施設局(現九州防衛局)は、長崎の米海軍ホーバークラフト型揚陸艇(LCAC)駐艇場移設事業でアセス項目に「施設の供用」を追加。LCACの試運転による排ガスや走行音、低周波音による生活環境への影響など8項目について調査し、評価書を公表した。
 アセス手続きは計画段階の配慮書、方法書を踏まえて調査を実施。その後、準備書、評価書と続く。
 LCAC施設でも当初、供用後の影響についての項目は方法書に含まれておらず、評価書段階で追加されたとみられる。追加理由として「埋め立て造成後の利用目的が明確である」ことを挙げている。
 翻って軍港浦添移設事業はどうか。那覇軍港の移設であり利用目的は極めて明確だ。
 長崎の海軍施設と同様に供用後の米軍活動の影響についてもアセス項目に含めるべきだ。
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 那覇軍港の主な使用目的は「港湾施設および貯油所」とされてきた。

 しかし、近年はオスプレイの離着陸や海兵隊による非戦闘員の退避訓練なども行われており、機能強化が明らかだ。
 昨年10月から今年8月までは米海兵隊の無人艇「ALPV」の一時配備の拠点にもなり、ALPVはその後、無期限配備されている。
 そうした施設の移設である。
 浦添市が実施した民港部分の埋め立てに関するパブリックコメントでは6割強が移設に反対した。その中ではアセスに軍港部分が含まれないことを批判した意見も多かった。
 環境問題を学際的に研究し、政策提言を行う団体「日本環境会議」も浦添移設アセスの評価項目に、米軍活動による影響を加え「必要な環境保全措置を講じなければならない」とする声明を出している。
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 アセスメントは大規模な開発事業を行う際に、環境に与える影響を調べ、環境保全のための対策を事前に事業計画に反映させる制度だ。
 米軍機による騒音や排ガス問題、軍事訓練に伴う事故など米軍基地から派生する問題は県民生活を脅かしている。そうした実態を踏まえれば、適用は不可欠である。
 県も方法書に対する知事意見の中で供用後の米軍の運用内容を対象とするよう防衛局に要求すべきだ。
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