内閣府の2026年度沖縄関係予算案が2647億円で閣議決定された。25年度当初予算から5億円増え10年ぶりに増加に転じたものの、県が求めた3千億円台は5年連続で割り込んだ。

 6次振計(新・沖縄21世紀ビジョン基本計画)前半最後の年である。「強い沖縄経済」を単なるお題目にしないためにも、県民所得の底上げにつながる施策の強力な推進が求められる。
 内閣府は、その「強い沖縄経済」の実現に向けた産業振興と、「GW2050プロジェクツ」の早期実現に向けた基地跡地の先行取得推進を二大柱に据えている。
 強い沖縄経済とは、沖縄の優位性を生かし自立型経済の発展を目指すもので、観光、農水産業、IT関連、科学技術の4分野を中心に施策を推進していく。
 観光サービスの創出支援に2億円、新規に先端医療技術の掘り起こしなどに6億円を計上した。
 GW関連では、自治体の土地取得の後押しに51億円などを盛り込んだ。
 那覇空港から米軍普天間飛行場にかけての西海岸エリアを一体的に開発するGW構想は、経済界を中心に那覇、浦添、宜野湾の3市が連携して取り組む。
 ただ現行振計に同構想が盛り込まれていないことから、振計の中間見直しでどのように落とし込んでいくかが焦点となっている。
 広域的視点、総合調整が必要な一大プロジェクトだ。県の主体的関与とともに、県全体で機運を高めていくことが欠かせない。
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 県の調査で沖縄の子どもの貧困率が全国の約2倍と深刻な状況にあることが明らかになってから10年近くとなる。
 さらにこの1年で共有されるようになったのは、急激な人口減少によってコミュニティーや行政サービスの維持に苦慮する小規模離島の問題だ。

 子どもの貧困対策では、居場所づくり支援などが継続する。
 離島振興では小規模離島を対象にした子育て支援、定住促進の住宅整備などに予算が計上された。
 子どもの貧困やしまちゃび(離島苦)、物価高騰による格差、二極化への対応も沖縄予算の柱にすべき大きな課題だ。
 事業の成果や効果を検証しつつ、強い沖縄経済を支える豊かな住民生活を実現しなければならない。  ■    ■
 今回、県が使途を決められる自由度の高い一括交付金は、当初より15億円多い736億円となったが、ピーク時の半分以下だ。
 一方、国が市町村などに直接交付する特定事業推進費は過去最高に並ぶ95億円を維持した。
 沖縄予算は、新基地建設を巡る政府との対立を背景に翁長雄志知事以降、減額が顕著になってきた。玉城デニー知事になってもこの傾向は続いた。新基地を「踏み絵」に揺さぶりをかけるというような対応だ。
 来年は知事選の年でもある。予算を通した国の統制が強まらないよう、注意の目を向けたい。
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