福井県の杉本達治前知事のセクハラに関する調査報告書が公表された。
 県の特別調査委員が昨年9月から調査。
セクハラを裏付ける杉本氏からのLINEなどのメッセージが約千通に上るほか、身体に触るなどの行為もセクハラと認定した。
 報告書ではメッセージの一部を公表。内容はおぞましく卑劣極まりない。
 「ぼくとは濃厚接触でね」「〇〇ちゃんはエッチなことは好き?」「キスしちゃう」などの送信が昼夜問わずあったというから被害者たちの恐怖や心労は察するに余りある。
 被害は昨年4月、女性職員が外部窓口に通報し発覚した。調査委員は全職員約6千人に情報提供を依頼し職員14人と接触。最終的に通報者を含む4人から資料提出などの協力を得た。
 報告書によると、セクハラは杉本氏が県の総務部長だったころから約20年間にわたって続いた。
 職員のスカートの中に手を入れて尻を触ったり、太ももを触ったりしたことは刑法の不同意わいせつ罪に当たるとしたほか、被害者らが激怒しても執拗(しつよう)にメッセージを送り続ける行為はストーカー規制法に抵触する恐れもあるとした。
 職場での不利益を恐れ調査協力を中断した職員もいるとし、他にも被害者がいる可能性がある。
 県は10月下旬に通報があったことを公表。杉本氏はその約1カ月後に辞職した。
調査公表を受け「深く反省している」とのコメントを発表したが、責任は厳しく問われるべきだ。辞職して済む話ではない。
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 自治体の長によるセクハラが相次いで発覚している。共通するのは役所や庁内での絶対的な権力を背景に、被害が長期間に及んでいる点だ。上長など管理職に早期に相談しても対応が取られず、報道機関など外部に訴えて露見するケースが後を絶たない。
 福井でも通報者は当初管理職に相談したが、対応は取られなかった。トップの人権意識の欠如と周囲がそれをかばう組織風土があったのではないか。
 ハラスメントに関する法は自治体にも原則適用され全国の自治体の9割でセクハラ防止の体制がある。
 しかし、加害者が首長の場合こうした自浄機能はことごとく働いていない。
 各自治体には被害相談を受けた場合、上長が内容の軽重を問わずハラスメント対応を所管する部署に報告を義務付けるルール整備が求められる。
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 前南城市長のセクハラ問題では市の第三者委員会が辞職を提言したにもかかわらず拒み続け、前市長は不信任決議案を可決した市議会を解散させる「暴挙」を重ねた。
 ようやく失職したのは、問題発覚から約2年後で2度目の不信任可決を受けてのことだ。

 南城市の場合、市当局や議会も当初十分なチェック機能を果たせなかったことを考えれば、全ての自治体で首長など特別職を含めたハラスメント防止条例の制定が急がれる。
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