【多良間】航空会社のマイルや特典の獲得を目当てに、短期間でより多くの飛行機を乗り継ぐ「マイル修行」と呼ばれる行為が、1月から琉球エアーコミューター(RAC)の宮古空港(宮古島市)と多良間空港(多良間村)を結ぶ便で横行し、多良間村民を困惑させている。RACを含む日本航空(JAL)グループの割安キャンペーンが続く2月末まで大半の日が満席。
住民が利用しづらい状況にあることを受けRACは26日、機体と人員の調整が付いた2月12~15日と28日は通常の2倍の4往復8便に増やすと発表した。(宮古支局・當山学)
 JALグループには、距離に応じてたまるマイルのほか、搭乗回数が増えるほどポイントが加算され、特典やサービス内容が充実していく「ライフステータス」と呼ばれる仕組みがある。
 RACの宮古-多良間は50席で、1日2往復4便を運航中。飛行時間は25分と短いため、割安キャンペーンは観光や宿泊をほとんどしない「修行僧」にとって、ステータスを上げるのに好都合という。
 多良間に到着後、宮古へ出発するまでの時間もわずか約35分。「修行僧」は空港を出ることなく宮古行きの便に向かう。ネット上では那覇、石垣、与那国を加えた5空港で1日12便を乗り継ぐ方法も掲載されている。
 多良間空港内にあるカフェの店主によると、関東圏から訪れた数人が毎日のように店で短い時間を過ごし「上級会員を目指す」と話していたことも。住民の窮状を把握し「すまないですね」と口にしながらも自粛する様子はないようだ。
 現在のキャンペーンは受け付けを終了しているが、2月1日からは別のキャンペーンが始まり、増便分も含め全便が対象になるという。
 RACの担当者は「地元住民のための移動手段なのに迷惑をかけてしまい、重く受け止めている」としつつ、「マイル目的の利用者もお客さまなので乗せないということはできない。今後の需要を見ながら、さらなる増便が必要になるか検討したい」と説明する。

■島民「受験や競り心配」
 「マイル修行」の横行で、生活の足が脅かされている多良間村民の間には怒りと困惑が広がっている。
 村内のスーパーに勤める女性(47)は、昨年12月に足のけがをし宮古島市の病院で手術を受けた。約1カ月後の今月26日、術後の診察が予定されていたが、航空券を取れずキャンセルした。「痛みで我慢できず仕事を休んだ。村民のことを考えず、限られた日の増便に意味はあるのか」と憤る。移動手段にはフェリーもあるが、1日1往復しかなく、宮古での滞在日数が延びてしまうという。
 RACに臨時便の運航を要請していた伊良皆光夫村長は「増便も『マイル修行』に利用されないか不安だ」と話す。
 毎月19日の肉用牛の競り市前後も増便はなく、関係者は1月の初競りで購買者が来島できなかった事態の再来を心配する。「多良間は畜産とサトウキビで成り立っている。2月もとなると、やっていられない。増便は全然解決にならない」と不満をあらわにした。
 村議団は28日にRACと県へ出向き、競り市の日だけでも臨時便を出すよう求める。
その際の移動もフェリーだ。村議会の豊見城玄弘議長は「子どもの受験や競りなど全ての予定が立てられない。多良間にはお金が落ちないで、島民の経済負担が起きている」と嘆く。
「マイル修行」が離島住民の生活直撃「通院できない」 宮古-多...の画像はこちら >>
編集部おすすめ