学校単位での配食アプリ「LUNCHBOX」の実証を始めたERSの吉田絵梨沙代表=2025年12月、那覇市内

 高校生の昼食用の弁当を事前注文することで地域の弁当屋が学校まで届けてくれるスマホアプリ「LUNCHBOX」を、合同会社ERS(那覇市、吉田絵梨沙代表)がこのほど開始し、県内高校への本格導入を目指して昨年7月からサービスの実証段階に入っている。学校単位で導入することで、毎朝の弁当作りに追われる共働き世帯やひとり親世帯などの負担軽減につなげることができる。
ERSの吉田代表は「弁当を作る、買う、の他の第三の選択肢として使ってほしい。自分と同じ“働くママ”たちの助けになれば」と真っすぐなまなざしで語る。
■保護者からも注文可能 日々の栄養管理も
 LUNCHBOXでは事前に購入したポイントで決済ができ、保護者からも生徒からも注文ができる。生徒が注文した場合でも保護者が内容を確認できるため、日々の食生活を把握することができる。前日の午後2時から当日の朝9時まで購入とキャンセルが可能で、もしも子どもの食生活が偏っていると感じる場合には「こっそり野菜炒めに変更することもできます」と吉田代表は笑う。

LUNCHBOXのアプリ画面例

 LUNCHBOXを始めるために法人まで新規で立ち上げたという吉田代表。自身も中学生と小学生の子を育てる“働くママ”で、周囲にいる子育て世代の人々からは「子どもの栄養バランスが心配」「お小遣いを渡しても菓子パンばかり買って食べる」といった声が聞こえていた。弁当を作って持たせるにしても「毎朝作るのは時間的にも大変だ」という悩みにも触れていたという。「部活の朝練や早朝講座があり、5時に起きて弁当を作って、仕事を終えたら夜遅く買い出しに行って、というのが3年間。兄弟姉妹がいればもっと長く続くんですよ」と吉田代表。
 2024年に高校生の保護者175人に独自調査した結果、75.7%が「弁当を作って持たせている」と回答した。「どうしても弁当を作れない日だってあると思う。
そんな時に親の責任としての呵責に苛まれる人も多くいます」と、“作る”以外の方法も提供したいと考える。
 仕事と子育ての両立ができず、やむなく仕事を辞めてしまった自身の悔しい経験から、「働く母親の助けになる仕組み」をずっと考えていた日々の中で、思い付いた仕組みだった。

「働く母親の助けになる仕組みをずっと考えていた」と語るERSの吉田絵梨沙代表=2025年12月、那覇市内

■食品ロスの削減にも一助
 那覇市の「令和6年度なはし社会地域課題解決型起業支援補助金」に採択され、高校への導入を目指してトライアル運用に至った。現在は那覇市内の予備校や学童、企業など4カ所に協力してもらっているという。吉田代表は「高校によっては敷地内に弁当屋が入れない高校もあります。弁当を買う生徒たちは学校外に買いに行ったり食べに行ったりするしかないので、安全上でもメリットがあります」と説明する。
 弁当屋にとってもメリットがあるという。ポイントとなるのは、当日の朝9時にLUNCHBOXからの注文分が確定することだ。「作りすぎによる食品ロスが無くなります。また、お金のやり取りが不要でまとまった数の弁当を受け渡すだけで済むため、弁当販売の時間にかける人件費がそのまま浮いて、利益率が高くなります」。商品の売れ行きなどもデータとして残すことができるため、「ゆくゆくは弁当店のDX化にも貢献できるはず」と展望する。
 県立真和志高校の正門前にある「ダルマ食堂」は弁当販売も行っており、LUNCHBOXとトライアル運用で提携する店舗の一つだ。
同店の屋嘉比真司さんは「学童や予備校に通う子どもたちに対する新しい取り組みで、これまでに無かった」と販路拡大を歓迎する。注文数が事前に分かることで「確実にロスを無くした分を配達できます」とその利点を語る。
 その一方で、配達そのものにはどうしても人手がかかるのが現状だ。一度の配達でより多くの弁当を提供していけるよう、いかに利用者の拡大を図っていくのかが、今後の課題でもある。

LUNCHBOXとトライアル運用で提携するダルマ食堂の屋嘉比真司さん=2025年12月、那覇市の同店

■行政支援の先としても可能性
 将来的には、この仕組みを行政の福祉施策として活用する構想も描く。弁当購入のためのポイントはそれぞれのアカウントと紐づいているため「例えば、行政からの支援が必要な世帯に対して、ポイントで直接補助することもできます」と、“昼食”というピンポイントな貧困支援への可能性も示唆する。
 決済手数料を引けば、1食あたりの利益は数十円に満たない。「弁当で儲けたいわけじゃなく、この仕組み自体を社会に広げたい。民間だからこそ手の届くアクションを行政が活用してもらえたら」と吉田代表は呼びかけている。
 
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