名護市辺野古に建設中の代替施設が完成しても、長い滑走路を別に確保しない限り、米軍普天間飛行場は返還されない-。
 米国防総省が2025年9月、米政府監査院(GAO)に提出した公式文書に、そのように明記されていることが分かった。

 普天間飛行場の滑走路は約2800メートル。これに対し辺野古に建設中の代替施設はオーバーラン地帯を含め1800メートルで、普天間に比べかなり短い。
 米軍内部では日米合意の時点から、滑走路が短く緊急時の任務に対応できないと指摘されていた。
 このため監査院は17年4月の報告書で、他の滑走路の使用を検討するよう是正を勧告していた。
 今回明らかになった文書は、勧告に対する国防総省の公式回答という性格を持つ。
 23年11月には在沖米軍幹部が報道陣に対し、辺野古移設を「最悪のシナリオ」だと指摘した。
 今月に入って米海兵隊の現役中佐が、新基地完成後も普天間を「キープ」し、日米で共同使用するよう求める論文を執筆していたことも明らかになった。
 政府は「辺野古が唯一の解決策」という主張を変えていないが、米軍の意向は全く異なる。
 辺野古新基地は、自然環境に与える負荷が大きく、その上、巨額のコストと時間がかかり、目に見える負担軽減にもつながらない。
 新基地が完成しても普天間は返還されないのではないかとの懸念が高まっており、事業の再度の説明が必要だ。
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 日米が合意した統合計画には普天間の返還条件として、空自の新田原基地(宮崎)、築城基地(福岡)の緊急時における使用のほか、長い滑走路を持つ「民間施設の使用」などが盛り込まれている。
 17年6月の参院外交防衛委員会で当時の稲田朋美防衛相は、米側との前提条件が整わなければ「返還されないことになる」と答弁していた。

 県内では3千メートルの滑走路を持つ那覇空港が有力視されているが、政府はこの件については何一つ具体的な情報を公にしていない。
 日米が統合計画に合意した13年の時点では、県に対し、返還条件の説明はなかったと当時の県幹部は県議会で証言している。
 不都合な事実は時が来るまで公にせず、波風が立たないように事を進める、という手法が繰り返されてきたのだ。
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 今回の衆院選では、自民党が衆院の3分の2を超える議席を獲得し、県内四つの小選挙区も全て自民党が制した。辺野古を巡る国会での議論に多くを期待することはできない。
 県は高市政権に対し、辺野古新基地建設の現状と見通し、目に見える負担軽減の具体策について、質問状を提出する。「オール沖縄」は、原点に立ち返って幅広い大衆行動を起こし、巨額事業の問題点を全国に投げ返す。
 そのような取り組みを期待したい。 
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