[命ぐすい耳ぐすい 県医師会編](1379)
 人工呼吸器や酸素濃縮器などを使いながら地域で生活する「医療的ケア児」は、全国で増えてきています。沖縄県はその人数の割合が全国でも高く、さらに離島が多い地理的条件から、災害時のリスクは他県に比べて大きいと考えられます。
特に台風の多い沖縄では、日頃からの災害対策が欠かせません。電源と医療的ケア児の生活はとても密接で、呼吸器や酸素の供給が止まってしまうと、数分で命の危険につながります。
 こうした状況を受け、行政も支援を進めています。那覇市をはじめ、日常生活用具給付として蓄電池を配布する自治体が増えています。これにより、家庭での停電対策は少しずつ整ってきています。しかし、避難所での安定した電源確保は必須要件となっていません。多くの避難所は一般住民を想定しており、医療的ケア児が安心して過ごすための電源や医療物品の確保、プライバシーの確保が十分とはいえません。そのため、避難場所として子どもたちが普段から通学している学校や福祉避難所の整備が注目されています。
 さらに、災害時には県外からの輸送が途絶えることもあり、医療物資の補給が難しくなる可能性があります。だからこそ、家庭や地域での備えが大切です。食料や医療物資、保存の効く薬剤を準備しておくこと、かかりつけ医や訪問看護と災害時の避難情報を共有しておくこと。そして、地域の防災訓練に参加して「いざという時にどこへ避難し、誰が支援してくれるのか」について、行政と共に個別の避難計画を確認しておくことが安心につながります。

 また、社会全体の理解や支えも欠かせません。医療的ケア児とそのご家族は、災害時だけでなく、普段の生活でも孤立しやすい状況にあります。地域の人々が温かく見守り、協力し合うことで、より安心して暮らせる環境が広がります。台風や地震をなくすことはできませんが、備えとつながりによって守れる命があります。医療的ケア児等が安心して暮らせる地域をつくることは、沖縄に暮らす私たち一人一人の大切な役割です。
(宮城大雅 ゆくいこども診療所所長(南城市))=第2、4水曜掲載
停電が命の危険に直結する「医療的ケア児」 多くいる沖縄、災害...の画像はこちら >>
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