ホルムズ海峡への艦船派遣を要求していたトランプ米大統領に対し、高市早苗首相が日米首脳会談で、憲法9条の下で制約があると伝えていたことが分かった。
 会談に同席した茂木敏充外相が民放の番組で明らかにした。
憲法9条が戦闘参加への「ブレーキ」の役割を果たしたことになる。
 戦後、米軍が参戦した多くの戦争で、日本は米側から具体的な貢献を求められ、そのたびに憲法9条を持ち出し対応してきた歴史がある。
 1950年に起きた朝鮮戦争では、米軍からの強い要求で、海上保安庁が戦火の真っただ中にある朝鮮海域で機雷掃海に従事した。 当時の吉田茂首相は「一切秘密にするように」と海上保安庁長官に命じている。
 ベトナム戦争で米側は、日本に対してさまざまな機会に「貢献」「協力」を求めてきた。
 ジョンソン大統領は、こちらが援助を求めているのに、わが盟友たちは逃げたり隠れたりしていると不満をあらわにし、こう問い返したという。
 「イギリス、日本、ドイツは一体どういうつもりなのか」
 日本は沖縄からのB52の渡洋爆撃や部隊出撃を容認し、協力する姿勢を示しながらも、自衛隊の部隊派遣には応じなかった。憲法9条があったからだ。
 逆に、米側の要請で部隊を派遣した韓国は多くの戦死者を出す一方、民間人殺害にも加担している。
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 90年8月に起きた湾岸戦争でブッシュ大統領は海部俊樹首相との電話会談で、日本は「どういう役割を担えるのか」と問い詰めた。
 中東から大量の石油を輸入している同盟国日本に軍事的な支援を求める語り口は、トランプ氏とよく似ている。
 海部首相の否定的な発言に、米政府や議会から激しい日本批判が起こった。
一方、国内では派遣反対の市民運動が広がった。
 紆余(うよ)曲折の末、10月になって、海部内閣は国連平和協力法案を臨時国会に提出したが、会期内採決を断念し、法案は廃案になった。
 米国は2003年、大量破壊兵器を保有しているとの理由でイラクへの武力行使に踏み切った。
 小泉純一郎首相はいち早く支持を表明。イラク特措法を制定し、自衛隊をイラクに派遣した。
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 戦後、米国は「世界の警察官」として各地の紛争に軍事介入し、日本に対して軍事的な支援・協力を求めてきた。
 9条はそのたびに、自衛隊の戦争参加に歯止めをかける「ストッパー」の役割を果たしてきたが、政府は米国の要求に応えるため、支援可能な領域を押し広げてきた。
 9条のない憲法を想像してみよう。韓国の例を持ち出すまでもなく、日本はもう「平和国家」ではいられなくなる。
 今、求められているのは9条を生かして停戦を仲介し世界に貢献することだ。
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