同インタビュー記事は、14日に発売された『レコード・コレクターズ 2025年4月号 サザンオールスターズ特集』からの部分転載。全国ツアー真っ最中の桑田が、編集部からのメールインタビューに応え、テキストでのやり取りならではの語り口で綴られたエッセイにも近い内容が好評を博した。
以下、きょう2日特設サイトに公開されたインタビュー記事を一部特別に抜粋する。
――『THANK YOU SO MUCH』ですが、ロック、ディスコ、エキゾチック、ファンク、ラテン、ブギ、ブルース、歌謡曲、フォークなどの要素が混在していて、メロディ・タイプも開放感のあるものから哀愁ものまであり、かなり多彩な仕上がりですね。前作『葡萄』(15年)がややシリアス寄りの作風だっただけに、サザンオールスターズ本来のヴァラエティ感や振り幅の広さが戻ってきたように思えます。制作にあたって、そこは意識されていたのでしょうか。そういう作品を作りたかった、というコンセプト的なものはありましたか。
「ありがとうございます。前作『葡萄』から10年ですが、言わずもがな時代は変わり、こんなアタシも来年古希であります。振り返ればこの“ワンディケイド”は、お陰様でアタシの音楽人生の中で一番恵まれていた時期だったかもしれません。何かにつけて“ハチャメチャ”だったあの頃(特に80~00年頃?)とは打って変わり、ガバナンスだのコンプライアンスだのといった考え方が主流となり、その波に乗ってかどうかはわかりませんが、志の高い優秀な若いスタッフ達が、今やサザンの活動をしっかりと支えてくれております。そんな彼らが、今や好々爺となったアタシの過去の失態や悪事に気付いていない事もコレ幸いとばかり、この10年間は色々な意味で冷静に“音楽”や“仲間”と向き合うことが出来たと思っています。」