会場には約2万人の観客が集まり、開演予定時刻の18時を22分ほど過ぎた18時22分頃に暗転。オープニング映像に続いて、代表曲「Welcome To The Jungle」のイントロが流れると、客席からは大歓声が湧き起こった。1987年のデビューアルバム『Appetite For Destruction』の冒頭を飾る同曲が1曲目に演奏されるのは久々で、ファンにとっては新鮮なサプライズとなった。
今回のステージでは、新ドラマーとしてアイザック・カーペンターが初参加。長年バンドを支えてきたフランク・フェラーの後任として起用されたカーペンターは、ダフが率いるバンド、ローデッドでの活動歴を持つ。切れ味のある軽快なプレイとエネルギッシュなステージングで、バンドに新風を吹き込んだ。
3時間にわたるステージでは、最新シングル「Perhaps」(2023年)の日本初披露を含む全26曲を披露。『Appetite For Destruction』『Use Your Illusion I/II』『Chinese Democracy』といった各時代の代表作からバランスよく楽曲がセレクトされ、「Hard Skool」「Absurd」といった再結成以降の新曲もセットリストに並んだ。
また、中盤にはダフがボーカルを務め、シン・リジィの「Thunder And Lightning」のカバーを初披露。2023年末に他界したギタリスト、ジョン・サイクスへのオマージュとも取れる選曲で、ステージ袖にいたマッケイガンの妻に向けた「Happy Birthday」の言葉も添えられた。
セットリストの構成は一見するとランダムで、流れに緻密な計算を感じさせない部分もあったが、それがかえって予測不能な展開を生み、観客に鮮烈な印象を残した。序盤では「Mr. Brownstone」から「Estranged」、そして「You Could Be Mine」へと続く緩急ある流れ、中盤ではバラード「Sorry」で会場が静まり返った直後に「It’s So Easy」が炸裂するなど、意外性に満ちた進行が続いた。
アクセルは、全盛期に比べてハイトーンの攻撃性は控えめとなったものの、ファルセットを交えた歌唱で安定感を見せ、楽曲との“今”の向き合い方を感じさせるパフォーマンスを披露した。
終盤では「Nightrain」「Civil War」などの代表曲に加え、「Knockin’ on Heaven’s Door」「November Rain」「Sweet Child O’ Mine」など観客との一体感を生む定番曲が立て続けに演奏され、本編ラストの「Paradise City」では満場の会場が歓喜に包まれた。
現体制での新作リリースの噂も囁かれるなかで行われた今回の来日公演は、1夜限りという点に惜しむ声も多いが、今後のアジア公演(台湾、タイ、インド)を経て、夏には欧州ツアーも控えている。世界各地での熱演を経た先に、さらなる動きがあることに期待が高まる一夜となった。