■一夜にしてダンサー人生が激変する大舞台
AO・KAN・naotoの3人のダンサーから成る18年結成の「パワーパフボーイズ」。22年の『THE DANCE DAY』第1回大会で決勝大会に出場すると、きらびやかでエネルギッシュなダンスが話題を呼び、「Habit」(SEKAI NO OWARI)や「ちゅ、多様性。」(あの)の振り付けを担当するなど、一躍人気者となった。いわば『THE DANCE DAY』は、3人にとって人生を変えた番組と言えるが、改めてダンサーにとってこの大会がどういった意味を持つのか聞いた。
「今のぼくたちとは切っても切れない、特別な場所です。この場所でパフォーマンスしたことで今があると言っても過言じゃないくらい。最初は大会の存在をたまたま知って、『楽しませたもの勝ち』というコンセプトにすごく惹かれました。みんなで『これって、うちらじゃない?』って(笑)」(AO)
「そこから人生が全部変わりました」(KAN)
「注目されたことで3人の活動が増えて、より仲良くなった気がします」(naoto)
ダンサーにとっては、人生をかけるに値する夢の舞台。それだけに本番は異様な緊張感に包まれる。
「生きてきたなかで、一番緊張しました」(KAN)
「独特だよね。緊張感が半端ないけれど、お客さんの反応やボルテージが上がっていく様子を目の前で感じられるから、“緊張しながら高揚する”っていう不思議な感覚に包まれる」(naoto)
「本当、思い出したら緊張して足震えてきた(笑)」(AO)
「特にぼくたちは『楽しませること』を目的に踊ってきたので、コンテストで競うことになれていなくて、初めての空気。だからいつも、出番前には3人で強めのハグをして、心を落ち着かせています」(KAN)
「毎回、クラッカーを鳴らすのもね。
■トラヴィス・ペイン、倖田來未ら“超豪華”な審査員
陽キャ全開といった3人をしても、毎回足が震えるほど緊張するというこの大会。「楽しませたもの勝ち」と言いつつも、プロフェッショナルな審査員によるガチな審査も見どころのひとつだ。
「印象に残っているのは第1回。右も左もわからないなか、倖田來未様に『大好物で~す!』というコメントをもらって、すごくうれしかったし、ぶちあがりました!」(AO)
「ぼくはマイケル・ジャクソンに憧れていたので、『THIS IS IT』の振付師でもあるトラヴィス・ペイン氏の前で踊れた第2回が脳に焼き付いています。現実だと信じられないけれど、トラヴィスが『見せてごらん』と手招きしているような表情でそこにいる。そんな夢のような状況のなかで、ぼく自身、ギラギラした気持ちで踊れて、すごく興奮しました」(naoto)
「KENZOさんに『THE DANCE DAYが生んだスター』と言っていただいたり、滝沢カレンさんに『ダンス界の妖精さんみたい』と言っていただいたり、この大会で自分たちに新たな色がついたようにも思います」(KAN)
踊ることが楽しくて仕方がないという3人に、改めて「ダンスの醍醐味」について聞いた。
「ぼく、ひとりで踊るよりも、この3人で踊っている方が楽しくて最高!お互いのダンスはもちろん、息遣いや、グルーヴを感じながら、踊りながら一瞬でも目が合うと、本当に楽しいんです」(AO)
「うん、そうやってステージ上で2人を感じながら、踊りながらショーケースを作っていく感覚。振り付け通りに踊って完成というわけじゃなくて、最終的にステージで完成させていく感覚です。だからこそ、なにが起こるのかわからないワクワクがある」(naoto)
「こう見えて、3人とも全然個性は違っていて、その異なる人間同士が交わってこその“エグみ”というか、無限の可能性があると思っています」(KAN)
一緒に踊ることで、観客も含めた個々の人間同士が感覚を共有しあい、互いに高め合うことで、一人では達することのできない多幸感を味わえる。その根底には“愛”があるという。
「たとえば、自分が踊るダンスと誰かが踊る振付けでは、まったく違うお仕事だけど、自分たちの振付けを会社の社員さんが全員で踊ってくれたりしたときは、ぼくらもぶちあがりますね」(AO)
「アーティストの方が、想像していなかった表現を加えてくれたり」(naoto)
「みんな全員、当たり前に違う人間だけど、踊ることで何かが通じ合う。
3人の人生を変えた『THE DANCE DAY』。20日放送のこの日ばかりは老若男女、思うがままビートに身を委ねてみてはどうか。
(取材・文/マイティ・M)
※取材の模様は、5月18日放送の『ライターズ!』(日本テレビ 日曜深夜1:30)でもご覧いただけます。