グループでも演出を担当し、ファンタジックで物語の中に迷い込んだような世界観を作り込んできた山田だが、今回は4月16日に発売した初のソロオリジナルアルバム『RED』を中心に、32歳としてこれまで自身が歩んできた軌跡、確かなパフォーマンス力を感じさせる内容に仕上がった。
オープニングでは、アルバムリード曲「RED」のイントロと共にメインステージ奥のLED 扉から登場。燃え上がる赤い炎を背に、黒のきらびやかな衣装、サングラスをかけたまま、人差し指を口元にあて「楽しもうか」と妖艶にほほ笑むと会場からは割れんばかりの悲鳴が沸き起こる。
冒頭は、なかなかサングラスをはずさないという“焦らし”も発生しながら、満を持してサングラスをはずして笑みを浮かべた山田がモニターに大写しされると、会場全体が光に包まれたような幸福感で包まれる。「きょうは僕に会うのを楽しみにしてきた人ー?きょう、幸せになりに来た人ー?お任せあれ。最高のエンターテインメントを用意してきたので最後まで楽しんでください」とワクワク感高まるあいさつ。
アルバムを中心としつつも「パフューム」「Oh! my daring」など過去の人気ソロ曲はよりアップデート。山田と“彼女目線”で誕生日デートを楽しみ、最後は2人きりの部屋へ…というちょっと大人な映像の終わりで始まる「Do it again」。メガネに白シャツ姿でステージに敷き詰められた白の羽と戯れながら舞い踊る姿ははかなくも美しい。シャツをぐっとはだけさせ、素肌をみせると大人の成熟したセクシーさで会場の熱視線を独り占めした。
Hey! Say!JUMP メンバーが今回のライブのために新しく録音した『じゃんぷう』映像ではメンバーを思わせる愉快なキャラクターたちがにぎやかに盛り上げた後、YouTubeチャンネル『LEOの遊び場』のキャラクター衣装をまとって、再登場。「Please! Please! Please!」「SUPERGROOVE」はまるでバーチャルの世界から飛び出してきたような姿で歌唱しつつ、キュートな振り付けで沸かせた。
また「VELVET」でメインステージから約10メートル上空に現れた直径2300mmの球体が割れ、センターステージまでの約30メートルを空中移動し降り立つ姿は、まさに王者の風格。幻想的でありながらも存在感が引き立つ印象的なワンシーンは思わず息をのむ。
さらに、名曲ぞろいのHey! Say! JUMPメドレーは自身の主演作の映像が流れるなか、トロッコでアリーナ席を縦横無尽に移動。12年前のソロデビュー曲「ミステリーヴァージン」は 2013年に行われた『Hey!Say!JUMP 全国へJUMPツアー2013』の際の演出をリメイクし、映像上に映る過去と現在の山田との共演が実現。あどけない映像の中の山田と、大人びて表現力も増した山田の姿が重なるドラマティックな演出となった。
MCでももちろん、山田の一挙手一投足に注目が集まり、水を飲むだけでも「かわいい!」と湧き上がる声に山田自身も苦笑。「わかってる。わかってる。かわいいよね。32歳のおじさんだけど」と自虐を交えつつもライブビューイングのお知らせでご機嫌に腰をふりふり。韓国、香港、台湾での上映も決定し、「これぞ、“世界の山ちゃん”っつって…」。節々にチャーミングさをのぞかせる山田だった。
最初から最後まで山田涼介の世界観を存分に楽しめるこのライブ。アンコールの「Bloomin'」では超至近距離で会場とともに自撮りをしながら歌唱。画面いっぱいの山田の笑顔と明るくポップな曲調も相まって、多幸感あふれる時間に包まれたまま、ライブは幕を閉じた。燃え上がる炎のように情熱的で、センター・王道感のど真ん中でもあり、そして薔薇の花のような可憐さも咲かせる…山田が表現するさまざまな“RED”に酔いしれる2時間となった。
ツアー全体では全国6都市20公演で約20万人の動員を予定。最終公演となる6月22日午後5時30分から(マリンメッセ福岡A館)の模様は全国250の映画館にて生中継する。