北山宏光が前作『ZOO』から10ヶ月ぶりとなる2ndアルバム『波紋-HAMON-』を16日にリリースした。本作は、本格派のロックサウンドを基調とした楽曲が並ぶ、新境地を切り拓いた作品だ。
■ラウドなロックに乗せた「やってんな」
――ニューアルバムの『波紋-HAMON-』ですが、タイトルに込めた思いを教えてください。
この作品が聴いた人のあいだで波紋のように浸透していって、その波紋がまた波紋を呼ぶっていうことができたらいいなと思ったんです。あとは、いま世の中で起こっていることには、見方によってはどっちが正論を言っているかわからないこともたくさんあるだろうなと思っていて。そういうことを歌詞に乗せてるんです。答えは聴いた人それぞれの心の内にあるものだと思うんですけど、そういうことを改めて考えるヒントにもなってくれればいいかなとも思っていて。
――最近は波紋を呼ぶニュースが続いていますからね。北山さんもいろいろ思うところがあるんですね。
いま見えているものが正しいものなのか、そういうところはすごく考える日々ですね。
――『ZOO』は多彩なジャンルが収められていましたが、今回はロックを基調にした作品になっていますね。
小さい頃からロックが好きだったんです。それに、自分の表現として、まだ出し切れていない部分があるなとも感じていて。
――ラウドロック系が好きな人も楽しめそうです。
ラウドロック系はやっぱりかっこいいなと思っていて、昔からそういう音楽が好きなんです。今回は気分的に、こういうジャンルで“踊る”というか、そういうところも見せていけるかなと思って制作しました。
――リード曲はまさにラウドなサウンドだと思うんですが、藤家和依さんとのタッグでどのように制作したか、エピソードなど教えていただきたいです。
ご飯食べてて、「やってんな」の曲作ろっか、みたいな感じで(笑)。
――歌詞に出てくる「やってんな!」ですね(笑)! どうやってこの歌詞が生まれたのか気になりました。
もともといろんな人が使ってる言葉ではあると思うんです。僕も多用していますし。料理が美味しくて「やってんな」っていう使い方もあるし、「あいつすごい尖ってんな」っていうときも使うし、ネガティブな意味もあったり。
――「やってんな」のワードが先にあったんですね。
「やってんな」と「波紋」が同時ぐらいですね。
――じゃあ「やってんな」っていうタイトルになった可能性も?
一瞬よぎったんですけど、やっぱちげぇなって(笑)。
――「やってんな」をロックなサウンドに落とし込むことでインパクトも大きいですね。
そうですね。すごくちょうどいいなと思って。藤家くんも「いいね、やってみようか」みたいな感じで。制作もイントロの部分がどんどん変わっていったりして、面白かったです。
――イントロも長くて、ライブ映えしそうな曲だなと感じました。
そうなんです。
――あの音、印象的ですね。
あの音に1週間かかりました(笑)。除夜の鐘みたいな「ゴーン」ってパターンもあるかなとかいろいろ試して、結局3つぐらい混ぜてます。ニワトリのオモチャでお腹を押すと「カー」って鳴くやつ、あの声も加工して入れようとしたんですけど「これは違うな…」ってなったりもして(笑)。
――仲良しだから、そういう面白いアイデアも出てくるんですかね?
藤家くんはオーディションが一緒で、業界に入った日もまったく同じ。同じステージを経験していて、そういう関係性だから共通の「画」と「音」と「演出」が見えてるんです。だからすごく作業が早いんですよね。
――エモい話です。
共有してきたものってやっぱり変わらない。だから華がある曲ができるんですよね。あと、固定概念にとらわれない曲ができる。前作収録の「COMIC」も一緒に作ったんですけど、あのときも最初はサビしかできてなくて、「途中からジャジーなリズムにしてBPMも変えたい」とか音楽理論的にめちゃくちゃなリクエストを出して。藤家くんもすごく悩んで「こんなんどう?」って繰り返して作りましたね。
――とてもいいコンビネーションですね。
いつも楽しくやってますし、ライブをイメージして作るから、ライブ映えする曲になるのもいいところかなって思います。
■かなりのメモ魔 「いいな」と思った言葉はいつもメモしてる
――I Don't Like Mondays.と一緒に作った「Just Like That」はどうでした?
彼らがデビューした頃からずっと交流があって、2019年に「DON’T WANNA DIE」で一緒にやらせてもらったんです。このタイミングでまた一緒にやりたいと思って声をかけたんですけど、「どんなイメージの曲がいい?」って聞かれたときに、実は要望があったのに「俺っぽいので!」って、あえて悩ませました(笑)。
――カマかけたんですね。
自分がどう見えてるのかなって知りたくて。
――今回の作品で、レコーディングが大変だった曲や挑戦した曲はありますか?
「OMG!!」がしんどかったですね…。ラップがめちゃくちゃ早くて。この曲はMVをAIで作っているのも注目してほしいです。AIを使って、日本の文化を入れたら面白いかなって。宇宙服を着た人が寿司を食べてたり、渋谷を飛び回ったり、相撲とかも面白いし、クジラが出てきたり、海に潜ったりとか。
――夜中に打ち合わせしたんですか(笑)?
いや全然、夕方。むしろ午前中だったかな(笑)。
――午前中からそんなにぶっ飛んだ話を(笑)。
AIは普通ではありえないものを生成してくれるから、人間の想像を超える映像にできたら面白いなと思って。本来なら一緒にならないものをあえて混ぜたら何が出てくるかっていう、その大真面目さが面白いんです。
――よくわかりました(笑)。今作でも多くの作詞をされていますが、普段どんなシチュエーションで歌詞を書いているんですか?
僕、かなりメモ魔で。移動中とか散歩中に、「あっ」と思ったことをスマホにメモするんです。看板のキャッチフレーズとか漫画のフレーズとか、これいいなって思ったらすぐメモする。読み切り漫画って意外といいフレーズ多いんですよね。
――なんとなくわかります。
1冊の中に作者が伝えたいことを詰め込んでるから、いい言葉が多いんです。そういうのをメモして、あとから「あんな言葉あったな」って思い出して、もう一回自分で咀嚼して歌詞にしていたりします。
――いつ頃からメモ癖が?
10代、いや20代…どっちだろう。多分10代からですね。眠ってるメモ帳、どこかにあると思います。
――読みたいですね。昔のメモ帳の開封動画ぜひお願いしたいです(笑)。
やだやだ、めっちゃ恥ずかしい。全部モザイク(笑)。
■“尖ってる”部分を持ち続ける
――今作の制作を終えて感じたことは?
尖ってる部分がまだまだあるなって思いました。でも、その尖り方が単なるフラストレーションじゃなくて、エンタメとして表現できるようになったのは成長かなって思います。実は、この1年半で33曲作ったんですよ。大変ですけど、0から1を生み出すのってやっぱり好きなんですよね。友達の子どもが僕の曲を聴いて鼻歌を歌ってるのを聴いたとき、「あ、届いてるんだな。続けてきたよかったな」って思ったりもして。
――いい話です。
ちゃんと届いてる人には届いてる、そういう感覚を少しずつ持てるようになってきたかな。
――尖り続けることって、ご自身にとって大事ですか?
尖るって言葉が合ってるかはわからないですけど、進み続けること、挑戦し続けることなのかなって思っています。安定した活動も選ぶことはできたけど、自分がどこまでやれるかを知りたくて、環境を変える必要があった。そんな自分にとって、前に進むことは音楽を引き連れていくことだし、音楽を制作しながら「尖ってるな」「攻めてるな」って思えることは大事なことだなって実感しています。
――次のツアーではどんなパフォーマンスや演出を考えていますか?
今作はロックを基調に作ったので、ロックなサウンドがメインになると思います。バンドでのパフォーマンスになるので、今まで自分がやってきたエンタメとバンドという掛け算を、自分の体を通して届けるのがテーマです。自分を通じて新しいことをやってんなって思ってもらえたらうれしいです。
――おっと! 「やってんな!」出ましたね!
あっ、今のはたまたまです(笑)。ライブも期待してください。
■プロフィール
北山宏光(きたやま・ひろみつ)
1985年9月17日生まれ。神奈川県出身。2023年9月17日にTOBEとともに新しいエンターテイメントに挑戦していくことを発表。1stシングル「乱心-RANSHIN-」でデビュー。楽曲制作やライブの演出も手がけるほか、俳優活動など幅広く活動している。6月16日に2ndアルバム『波紋-HAMON-』を発売。7月8日から全国11都市17公演のライブツアーも開催する。
リリースを記念して、盟友の藤家和依氏との楽曲制作の裏話や、自身の“癖”、そして活動の原動力となっている信念についてもたっぷりと語ってもらった。
■ラウドなロックに乗せた「やってんな」
――ニューアルバムの『波紋-HAMON-』ですが、タイトルに込めた思いを教えてください。
この作品が聴いた人のあいだで波紋のように浸透していって、その波紋がまた波紋を呼ぶっていうことができたらいいなと思ったんです。あとは、いま世の中で起こっていることには、見方によってはどっちが正論を言っているかわからないこともたくさんあるだろうなと思っていて。そういうことを歌詞に乗せてるんです。答えは聴いた人それぞれの心の内にあるものだと思うんですけど、そういうことを改めて考えるヒントにもなってくれればいいかなとも思っていて。
――最近は波紋を呼ぶニュースが続いていますからね。北山さんもいろいろ思うところがあるんですね。
いま見えているものが正しいものなのか、そういうところはすごく考える日々ですね。
――『ZOO』は多彩なジャンルが収められていましたが、今回はロックを基調にした作品になっていますね。
小さい頃からロックが好きだったんです。それに、自分の表現として、まだ出し切れていない部分があるなとも感じていて。
自分の好みだったり、昔から好きだった音楽を選ぶことで、より個性を出したいなと思ったんです。パフォーマンスを含めて、ここまで振り切っちゃった方がライブとしても逆に面白くなるんじゃないかっていう気持ちもありました。サウンド的にも、そこが個性になっていくのかなって。
――ラウドロック系が好きな人も楽しめそうです。
ラウドロック系はやっぱりかっこいいなと思っていて、昔からそういう音楽が好きなんです。今回は気分的に、こういうジャンルで“踊る”というか、そういうところも見せていけるかなと思って制作しました。
――リード曲はまさにラウドなサウンドだと思うんですが、藤家和依さんとのタッグでどのように制作したか、エピソードなど教えていただきたいです。
ご飯食べてて、「やってんな」の曲作ろっか、みたいな感じで(笑)。
――歌詞に出てくる「やってんな!」ですね(笑)! どうやってこの歌詞が生まれたのか気になりました。
もともといろんな人が使ってる言葉ではあると思うんです。僕も多用していますし。料理が美味しくて「やってんな」っていう使い方もあるし、「あいつすごい尖ってんな」っていうときも使うし、ネガティブな意味もあったり。
「やってんな」ってめちゃくちゃ万能だなって。それを大真面目に取り入れるのがキャッチーでいいなと思ったんです。
――「やってんな」のワードが先にあったんですね。
「やってんな」と「波紋」が同時ぐらいですね。
――じゃあ「やってんな」っていうタイトルになった可能性も?
一瞬よぎったんですけど、やっぱちげぇなって(笑)。
――「やってんな」をロックなサウンドに落とし込むことでインパクトも大きいですね。
そうですね。すごくちょうどいいなと思って。藤家くんも「いいね、やってみようか」みたいな感じで。制作もイントロの部分がどんどん変わっていったりして、面白かったです。
――イントロも長くて、ライブ映えしそうな曲だなと感じました。
そうなんです。
アタマのドラムだったり、入り口とかもすごいこだわって作って。音が鳴った瞬間にハッとさせたいっていうのがまずはあって。で、そのまま走っていって、Aメロをまた最後に持ってきて盛り上げる構成にして。Bメロはしっかり落としたいとか、間奏に管楽器を入れたら面白いんじゃないかとかいろいろ考えました。あと“和”の雰囲気も出したくて「チリン」って鳴る音を入れたりもして。
――あの音、印象的ですね。
あの音に1週間かかりました(笑)。除夜の鐘みたいな「ゴーン」ってパターンもあるかなとかいろいろ試して、結局3つぐらい混ぜてます。ニワトリのオモチャでお腹を押すと「カー」って鳴くやつ、あの声も加工して入れようとしたんですけど「これは違うな…」ってなったりもして(笑)。
――仲良しだから、そういう面白いアイデアも出てくるんですかね?
藤家くんはオーディションが一緒で、業界に入った日もまったく同じ。同じステージを経験していて、そういう関係性だから共通の「画」と「音」と「演出」が見えてるんです。だからすごく作業が早いんですよね。
――エモい話です。
共有してきたものってやっぱり変わらない。だから華がある曲ができるんですよね。あと、固定概念にとらわれない曲ができる。前作収録の「COMIC」も一緒に作ったんですけど、あのときも最初はサビしかできてなくて、「途中からジャジーなリズムにしてBPMも変えたい」とか音楽理論的にめちゃくちゃなリクエストを出して。藤家くんもすごく悩んで「こんなんどう?」って繰り返して作りましたね。
――とてもいいコンビネーションですね。
いつも楽しくやってますし、ライブをイメージして作るから、ライブ映えする曲になるのもいいところかなって思います。
■かなりのメモ魔 「いいな」と思った言葉はいつもメモしてる
――I Don't Like Mondays.と一緒に作った「Just Like That」はどうでした?
彼らがデビューした頃からずっと交流があって、2019年に「DON’T WANNA DIE」で一緒にやらせてもらったんです。このタイミングでまた一緒にやりたいと思って声をかけたんですけど、「どんなイメージの曲がいい?」って聞かれたときに、実は要望があったのに「俺っぽいので!」って、あえて悩ませました(笑)。
――カマかけたんですね。
自分がどう見えてるのかなって知りたくて。
そうしたら、ちょっとチルっぽい曲になったんですよね。激しい曲ではないですけど、ロックのジャンルの中に入れてもおかしくはないし、フェスに出るとしたら、音楽好きな人にはこういう曲のほうがハマるのかもしれないです。
――今回の作品で、レコーディングが大変だった曲や挑戦した曲はありますか?
「OMG!!」がしんどかったですね…。ラップがめちゃくちゃ早くて。この曲はMVをAIで作っているのも注目してほしいです。AIを使って、日本の文化を入れたら面白いかなって。宇宙服を着た人が寿司を食べてたり、渋谷を飛び回ったり、相撲とかも面白いし、クジラが出てきたり、海に潜ったりとか。
――夜中に打ち合わせしたんですか(笑)?
いや全然、夕方。むしろ午前中だったかな(笑)。
――午前中からそんなにぶっ飛んだ話を(笑)。
AIは普通ではありえないものを生成してくれるから、人間の想像を超える映像にできたら面白いなと思って。本来なら一緒にならないものをあえて混ぜたら何が出てくるかっていう、その大真面目さが面白いんです。
――よくわかりました(笑)。今作でも多くの作詞をされていますが、普段どんなシチュエーションで歌詞を書いているんですか?
僕、かなりメモ魔で。移動中とか散歩中に、「あっ」と思ったことをスマホにメモするんです。看板のキャッチフレーズとか漫画のフレーズとか、これいいなって思ったらすぐメモする。読み切り漫画って意外といいフレーズ多いんですよね。
――なんとなくわかります。
1冊の中に作者が伝えたいことを詰め込んでるから、いい言葉が多いんです。そういうのをメモして、あとから「あんな言葉あったな」って思い出して、もう一回自分で咀嚼して歌詞にしていたりします。
――いつ頃からメモ癖が?
10代、いや20代…どっちだろう。多分10代からですね。眠ってるメモ帳、どこかにあると思います。
――読みたいですね。昔のメモ帳の開封動画ぜひお願いしたいです(笑)。
やだやだ、めっちゃ恥ずかしい。全部モザイク(笑)。
■“尖ってる”部分を持ち続ける
――今作の制作を終えて感じたことは?
尖ってる部分がまだまだあるなって思いました。でも、その尖り方が単なるフラストレーションじゃなくて、エンタメとして表現できるようになったのは成長かなって思います。実は、この1年半で33曲作ったんですよ。大変ですけど、0から1を生み出すのってやっぱり好きなんですよね。友達の子どもが僕の曲を聴いて鼻歌を歌ってるのを聴いたとき、「あ、届いてるんだな。続けてきたよかったな」って思ったりもして。
――いい話です。
ちゃんと届いてる人には届いてる、そういう感覚を少しずつ持てるようになってきたかな。
――尖り続けることって、ご自身にとって大事ですか?
尖るって言葉が合ってるかはわからないですけど、進み続けること、挑戦し続けることなのかなって思っています。安定した活動も選ぶことはできたけど、自分がどこまでやれるかを知りたくて、環境を変える必要があった。そんな自分にとって、前に進むことは音楽を引き連れていくことだし、音楽を制作しながら「尖ってるな」「攻めてるな」って思えることは大事なことだなって実感しています。
――次のツアーではどんなパフォーマンスや演出を考えていますか?
今作はロックを基調に作ったので、ロックなサウンドがメインになると思います。バンドでのパフォーマンスになるので、今まで自分がやってきたエンタメとバンドという掛け算を、自分の体を通して届けるのがテーマです。自分を通じて新しいことをやってんなって思ってもらえたらうれしいです。
――おっと! 「やってんな!」出ましたね!
あっ、今のはたまたまです(笑)。ライブも期待してください。
■プロフィール
北山宏光(きたやま・ひろみつ)
1985年9月17日生まれ。神奈川県出身。2023年9月17日にTOBEとともに新しいエンターテイメントに挑戦していくことを発表。1stシングル「乱心-RANSHIN-」でデビュー。楽曲制作やライブの演出も手がけるほか、俳優活動など幅広く活動している。6月16日に2ndアルバム『波紋-HAMON-』を発売。7月8日から全国11都市17公演のライブツアーも開催する。
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