俳優・二宮和也が主演する映画『8番出口』(8月29日公開)が、5月のフランス・カンヌ国際映画祭に続き、カナダ「第50回トロント国際映画祭」、スペイン「第58回シッチェス・カタロニア国際映画祭」への出品が決定した。さらに、近年勢いを増す映画製作・配給会社「NEON(ネオン)」による北米配給も決定している。


 本作は、2023年にインディーゲームクリエイター・KOTAKE CREATE氏が一人で制作し、全世界累計170万ダウンロードを突破した社会現象的ゲームを、川村元気監督が映画化したもの。地下鉄の無限通路で“異変”を探しながら出口を目指し、間違いを一つでも見逃せば最初からやり直し――という絶望的なループを、二宮演じる「迷う男」は脱出できるのか。

 本作は、「第78回カンヌ国際映画祭」オフィシャルセレクション【ミッドナイト・スクリーニング部門】に正式招待され、世界三大映画祭の一つでワールドプレミア(世界初上映)を果たした。

 さらに、現地時間9月4日~14日に開催される「トロント国際映画祭」では、【センターピース部門】への選出が決定。この部門は、ストーリー性や芸術性に優れた長編作品を対象とし、他の映画祭で高評価を得た作品や注目の監督による作品が紹介される。

 一方、現地時間10月9日~19日に開催される「シッチェス・カタロニア国際映画祭」では、【コンペティション部門】への出品が決定。ホラー、ファンタジー、SF、アニメーションなどジャンル映画に特化した、世界三大ファンタスティック映画祭のひとつであり、日本作品では『リング』『座頭市』がグランプリ、『君の名は。』がアニメーション最優秀長編賞を受賞するなど、注目度が高い。

 また、北米配給を担うのは、アカデミー賞受賞作『パラサイト 半地下の家族』や『Anora』などを手がけてきたNEON社。『8番出口』がアメリカでも話題を呼ぶか、期待が高まっている。

■トロント国際映画祭ディレクターのコメント

 『8番出口』は唯一無二の視覚体験を提供してくれる作品です。意図的に繰り返されるゲームプレイに基づいて、これまでで最も優れたビデオゲームの映画化と言っても過言でもないでしょう。


 本作はその繰り返しを、驚くべき創作性で昇華させています。主人公は閉鎖的で非現実性に満ちた地下鉄の通路をループしながら巡ることにより、疎外感と孤立を表現していきます。

 川村元気監督は原作に忠実でありながらも、そこに斬新な創造性と大胆さを吹き込みました。これは本当に驚異的です。私が『8番出口』を観た瞬間に、もう一度観たくなり、この体験をできるだけ多くの人に共有したいと思いました。

 この反復的なデザインを生かすことで、本作は単調さを心理的な冒険へと変貌させます。欲望と不安が次第に真実の断片へと収束していく、無意識への降下の物語です。

 鋭い政治的、社会的な視点を持ちながら、本作は現代社会の無関心や、スマホ画面に麻痺して環境から切り離された世界で自らの責任に立ち向かう勇気を映し出しております。これはまさに、精神の冒険です。

■シッチェス・カタロニア国際映画祭ディレクターのコメント

 本作は、新たな物語の道を開拓している映画です。ゲームからの影響を取り入れつつも、映画的な構成と独自のビジュアルアプローチに到達しています。
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