コロナ禍以降、観客動員数の減少が続くミニシアター業界。全国に約150館を数える日本のミニシアターは、世界的にも稀有な映画文化を育んできたが、現在約3割の劇場が閉館の検討を余儀なくされているとも言われている。
こうした状況に対し、コギトワークスとフジデノロは「ミニシアターと協力し、恒常的で前向きな“新たな一手”が必要」とし、「一過性の支援ではなく、観客との物理的・感覚的な接点を通じてミニシアターを再び人々の日常へと結びつけていく、第一歩」として今回のプロジェクトを位置づけた。
■映画館で“ガチャ” 劇場ロゴをコレクション
「ミニシアター・カプセルトイ」は、全国各地のミニシアターのロゴをデザインしたアクリルキーホルダーをカプセルトイ(ガチャ)として販売する取り組み。8日から、ユーロスペース(東京・渋谷)、シネマテーク高崎(群馬・高崎)、名古屋シネマスコーレ(愛知・名古屋)の3館で試験設置を開始する。
初期ラインナップには、計11館のロゴが採用されており、今後は全国のミニシアターと連携し、ラインナップの拡大が予定されている。「劇場ロゴを集める」という“遊び”を通じて劇場同士のつながりや観客の回遊性も促し、メディアやSNSでの話題喚起も視野に入れる。ライト層に向けた新たな来館動機の創出にもつながる取り組みだ。
▼参加劇場(全11種)
1. ユーロスペース(東京・渋谷)
2. シネマテーク高崎(群馬・高崎)
3. 横浜シネマリン(横浜・長者町)
4. シネマスコーレ(名古屋・椿町)
5. 伏見ミリオン座/センチュリーシネマ
(名古屋・中区錦)
6. ナゴヤキネマ・ノイ(名古屋・今池)
7. 京都シネマ(京都・四条烏丸)
8. 第七藝術劇場(大阪・十三)
9. シネ・ヌーヴォ(大阪西区)
10. シネマ5(大分市)
11. 桜坂劇場(沖縄那覇市)
■映画館の“幕間”が文化支援の場に 企業CMをシネアドで展開
もう一つの施策が、「シネアドプロジェクト」。シネアドとは、映画館で本編上映前に流れる動画広告のこと。上記11館のミニシアターにて、フジデノロの企業CMを幕間に上映し、各劇場に出稿料を支払う仕組みだ。制作および広告代理業務はコギトワークスが担当し、8日より順次上映を始める(※一部劇場はスケジュールが異なる)。
上映されるCM「人に伝わらないアイディア -60s-」は、映画『風のマジム』(9月12日全国公開)で長編デビューを飾るCMクリエイター・芳賀薫が監督を務めた作品。撮影には『るろうに剣心』シリーズなどを手がけたカメラマン・石坂拓郎を迎え、フジデノロの「意外な結果を生む会社」という企業理念をショートドラマ形式で表現している。
今後は、【シネアドプロジェクト】への賛同企業をさらに増やし、安定的な支援モデルの確立を目指す。