1993年の第1作『ジュラシック・パーク』は、マイケル・クライトン原作を革新的な映像表現で映画化し、世界的ヒットを記録。以降、3部作2組・全6作に発展し、累計興行収入は世界で60億ドルを超える。
最新作では、シリーズ初期の『ジュラシック・パーク』『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』(1997年)の脚本を手がけたデヴィッド・コープが28年ぶりに復帰し、製作総指揮のスティーヴン・スピルバーグと再タッグ。
コープへの依頼は、前作『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』(2022年)の公開後にスピルバーグから直接電話で届いた。「スティーヴンと物語を作るのは本当に楽しい。腕がいいのは当たり前ですが、僕と波長もバッチリ合います」とコープは振り返る。
スピルバーグとコープが物語の構成を始めると、全てのシリーズを通して描かれてきた “生命は必ず道を見つける”というテーマに立ち返りながら、『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』以降の世界がどのような状態になっているのかを想像しながら、自由に意見を交わしていった。
コープは改めてマイケル・クライトンの原作小説を読み返し、著者の科学的根拠などから「人類と恐竜はこのまま長くは共存できないだろう」というリアルな結論に行き着いた。そうした議論を重ねた末に、本作では“恐竜が再び絶滅の危機に瀕している”という物語が生まれ、唯一彼らが生き延びられる場所があるとすれば、それは赤道直下の熱帯地域だという舞台設定が構築されていった。
そんな背景のもと、熟練の秘密工作員ゾーラ・ベネット(スカーレット・ヨハンソン)が、心臓病に奇跡的な治療効果をもたらす新薬の開発のため、陸・海・空に生息する3大恐竜のDNAを確保するという極秘ミッションに挑むストーリーが紡がれていった。
彼女が精鋭チームを率いて向かうのは、初代『ジュラシック・パーク』の極秘研究施設が存在した禁断の島。実は、原作小説には、浅瀬でまどろむTレックスが登場する場面がある。しかし、1990年代当時はCGの制約や予算の都合で実現できなかった。今回、スピルバーグとコープはそれを再現する決意を固めたという。それは、登場人物たちの目の前に、狩ったばかりの獲物を食べ終え、浅瀬でまどろむTレックスが現れるという印象的な場面だ。
コープはこう振り返る。「マイケルの原作小説に登場するあの描写が、僕らは昔から大好きでした。当時、最初の映画でも盛り込もうとしていました。ところが、あの頃はCGで再現できるショットの数が限られていたうえに、テンポや予算の兼ね合いで泣く泣く断念せざるを得なかったんです。だから今回こそは、スティーヴンとあのシーンを物語に入れようと早い段階で決めていました」
さらに本作では、ゾーラたちのミッションとは別に、もうひとつの軸となる物語が展開される。海で遭難したデルガド一家が、偶然ゾーラたちと出会い、結果として禁断の島へ足を踏み入れてしまうのだ。そして彼らは、まさにそのTレックスと遭遇!なんと“泳ぐTレックス”に命を狙われるという、かつてないスリリングな場面が待ち受けている。そんな緊迫の瞬間を捉えた本編映像もYouTubeで公開中。ボートで逃げるデルガド一家に、Tレックスが水面を割って迫り、水中から襲い掛かる衝撃の映像が収められている。
シリーズを重ねるごとに撮影技術が進化し、当初は実現できなかった数々のシーンも多く取り入れられてきた「ジュラシック」シリーズ。革新的な技術と圧倒的な映像体験で常に観客を魅了してきた。
コープは「Tレックスはこのシリーズにおけるスターですからね。せめてチョイ役は必要でしょう。その点、あのシーンならTレックスの見せ場としても十分すぎるほどなんです」と人気恐竜であるTレックスの活躍シーンに自信をのぞかせる。シリーズ初期ではかなわなかった、水面を割って迫るTレックスのダイナミックな姿と迫力満点のシーンは、劇場の大きなスクリーンで楽しみたい。