物語の舞台は海沿いの街。旅を共にする香里(福地)と健流(寛一郎)は、恋人というよりも家族のような関係だった。しかし入籍を目前に控えたある日、健流は突然、自ら命を絶つ。お互いを一番の理解者と信じていた香里は深い衝撃を受け、健流と出会う前のように他人に心を閉ざしてしまう。そんな中、健流の親友だった作家・中野慎吾の存在を思い出した香里は、彼のもとを訪ね、健流の知られざる一面を探るため共に街を巡り始める。
本作の原案は、映画作家で詩人の中川龍太郎(『走れ、絶望に追いつかれない速さで』『四月の永い夢』)。中野慎吾役として俳優としても出演する。監督・脚本は中川の盟友であり、『今、僕は』『蜃気楼の舟』『の方へ、流れる』などで知られる竹馬靖具。静ひつな映像と誠実な語り口で、誰かと共に生きる難しさと希望を描き出す。兒玉遥、朝倉あき、筒井真理子らが脇を固める。
今回解禁された特報「-side 香里-」と「-side 健流-」では、香里と健流それぞれのモノローグが流れ、唯一無二の存在との“出会い”と“喪失”を予感させる内容に。
ティザービジュアルは、海辺の船上に佇む香里と、物思いにふける健流を捉えた2種類。「嘘でも 特別だった」(香里)、「本当のことは 言えなかった」(健流)というコピーが添えられ、互いの間に秘められた感情を詩的に想起させる仕上がりとなっている。
■監督・脚本:竹馬靖具のコメント
中川さんから原案を受け取ったとき、正直に言えば、私にはこの脚本は書けないと思いました。
けれど、主演の福地さん、中川さん、寛一郎さんという3人の存在から強いインスピレーションを受け、この物語は、自然と輪郭を持ちはじめたように思います。
福地さんは、非常に難しい役柄に真正面から向き合い、見事に演じてくれました。この役を演じられるのは、やはり福地さんしかいない──作品が完成した今、あらためてそう感じています。
■原案・中野慎吾役:中川龍太郎のコメント
”演じる”ことによってのみ癒すことができる痛みがあることを竹馬監督に教えていただきました。”中野慎吾”という小説家は、自らの痛みから目を背けることで大切な人たちを傷つけつづけてきた人物です。その姿には、自分が監督として映画に関わる中では表現できなかった感情や言葉が詰め込まれています。
拙作『走れ、絶望に追いつかれない速さで』が公開されてちょうど十年。あの時、観客の皆様との対話を通して、自分の抱えていた問題にわずかな光明が見えた気がしました。あの日々のように、この作品を見ていただいた方々と対話できる日を楽しみにしています。
■主演・香里役:福地桃子のコメント
私たちはどこまで行けるのだろう。深い繋がりがあると信じるふたりの人生の1ページです。
信じたい気持ちと信じるということが、すれ違うことを知っている。“ほんとう“を知りながら、人はどこまで信じることができるのだろう と考えます。
じっくり流れていく時間の中には沢山の学びがあり、大切な時間を過ごさせてもらいました。この作品を通して、彼らの人生を通して、皆さまに何が届くのか、楽しみにしています。
■健流役:寛一郎のコメント
自分自身の一つの節目を刻んだ作品。
大切な作品です。
監督共演者共に素敵な出会いでした。
少しでも多くの人に見てもらえることを願ってます。