1945年夏、原爆投下直後の長崎を舞台に、被爆者救護にあたった若き看護学生たちの青春を描いた映画『長崎―閃光の影で―』が全国公開中だ。このたび、本作の撮影の裏側を収めた約5分間のメイキング映像が解禁された。

 本作は2023年10月初旬にクランクインし、約1ヶ月間にわたり撮影が行われた。その模様を記録した膨大なアーカイブから厳選されたシーンを5分に凝縮。

 映像冒頭は、太平洋戦争末期の1945年、日本赤十字社の看護学校に通う17歳の田中スミ(菊池日菜子)が、幼なじみで学友の大野アツ子(小野花梨)、岩永ミサヲ(川床明日香)と共に、空襲による休校で長崎に帰郷する場面の舞台裏を収めている。久しぶりの故郷に思わずはしゃぐ3人は、スタッフからコメントを求められると「楽しい」「笑顔のシーンが少ないから」「貴重だから、楽しんでおきます」と笑顔を見せる。

 本編では、8月9日を境に状況が一変するまでの、登場人物や長崎の人々のささやかな日常も丁寧に描かれている。長崎出身で被爆三世の松本准平監督は、その理由を「こうした暮らしが破壊されることをきちんと伝えたかった」と語る。メイキングでは、菊池がスタッフに洗濯板の使い方を教わりながら練習する様子も記録されている。

 撮影現場には日本赤十字社のスタッフも立ち会い、当時の看護処置の方法について技術指導を実施。菊池と小野が患者の搬送方法を学ぶ場面も収められている。原爆投下後の過酷な場面が続く中、赤ちゃんとの対面に3人が思わず声を上げる微笑ましいシーンも映し出される。

 映像後半では、撮影中やクランクアップ時に収められた3人のコメントも紹介。救護列車に乗り込む場面で撮影を終えた川床は、泥にまみれた姿で「スミちゃんアッちゃん(アツ子)はじめ、役としても助けられた瞬間がたくさんありました。ミサヲになれた瞬間があって、それはやっぱり自分だけじゃできないものだったと思います」と振り返る。

 小野はクランクアップのあいさつで「まだまだ頑張っていかなければならないと思いましたし、頑張っていけるとも思わせていただいた時間でした」と感謝の言葉を述べた。

 映像の締めくくりには、撮影終盤に看護服姿のままインタビューに答える菊池の姿が映る。「題材もすごく重くて、演じる私たちとしては集中力も必要だったり、すごくつらいシーンが多くて、自分自身のメンタルも削られちゃったりするところがあって…」と語る中で、「気を抜くといつでも涙が出てきそうだったから…」と涙をこらえる姿からは、初主演作に臨む真摯(しんし)な姿勢と現場の緊張感が伝わる内容となっている。

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