本作は『ジョン・ウィック:パラベラム』(2019年)の時間軸と交差する形で描かれる、新たな“復讐の女神”イヴ(アナ・デ・アルマス)の物語。リーブスはシリーズ5度目となるジョン・ウィック役で出演している。
映像は『パラベラム』と『ジョン・ウィック:コンセクエンス』(2023年)の間にあたる時期を切り取ったもの。左手の薬指と亡き妻との思い出の象徴である結婚指輪を失い、心身ともに満身創痍のジョンが船旅の途中、日本人から声を掛けられる場面が映し出される。
「次の旅を待っているでしょう。でも、少しばかり予定を変更するという連絡を受け取りました」という言葉に、ジョンは「何が変わったんだろう」と日本語で応じて受話器を受け取る。相手は、ジョンの古巣ルスカ・ロマを仕切るディレクター(アンジェリカ・ヒューストン)だった。
ディレクターは「群れから離れた一匹の羊が、私の部下を殺しながらハルシュタットに近づいている。イヴ・マカロという女よ」と告げる。父の死の謎を追い、復讐のため単身で休戦協定を結んでいる暗殺教団の拠点ハルシュタットへ殴り込むイヴに業を煮やしていたのだ。
しかし、イヴの父を知るジョンは「ハビエルの娘を殺せと?」と問いかけるが、ディレクターは「この旅を殺し屋に狙われず続けたいなら、答えはイエスよ」と冷淡に言い放つ。
この未公開映像は、ジョンとイヴの父親が旧知の仲だった事や、ジョンがなぜイヴの前に立ちはだかったのかという謎を解き明かし、『パラベラム』と『コンセクエンス』の物語をつなぐ重要な意味を持っている。
レン・ワイズマン監督は「本作はジョン・ウィックとは真逆の物語」と強調。まだ“最強”ではない駆け出しの殺し屋イヴの視点で描かれることで、伝説の殺し屋ジョン・ウィックの視点では見えてこなかった「ジョン・ウィック」ワールドのもうひとつの側面が見えてくる。〈安息〉を求めるジョンと〈戦い〉を望むイヴ。共に復讐心を抱えながらも対照的な2人の姿が、物語に新たな緊張感と深みを与えている。