今年もさまざまな“ラヴィットアーティスト”が、アカペラあり、弾き語りあり、バンドあり、演劇ありの個性豊かなパフォーマンスを次々と披露。『ラヴィット!』らしい企画で、3時間半以上にわたり、会場を訪れた1万1000人、さらに配信で5万5000人もの“観客”を大いに楽しませた。
本編終盤、今回のメインアクトでもあるおだみょん(おいでやす小田)の感動的な弾き語りが終わり、会場に温かい空気が流れると、田村アナが「ところで川島さん、今年も『ラヴィット!』を支えてくださるファンの皆さんに、今の気持ちを伝えていただけますでしょうか?」と切り出す。川島も「ちょっとよろしいですか?5分ほどお時間いただいて」と呼応。過去の同イベントで、感動的なスピーチを残してきた川島が話し始めると、観客席は静寂に包まれた。
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■川島明スピーチ全文(ほぼそのまま)
『ラヴィット!ロック』盛り上がってますか?盛り上がってますか?「ほぼ見えない席」見えてますか?ありがとうございます。今年も5分ほど、『ラヴィット!』を代表してお話させていただきます。MCの麒麟・川島明です。よろしくお願いします。
『ラヴィット!』の皆様のおかげで、今年5年目を迎えることができまして、本当にありがとうございます。この番組、始まった当初のコンセプトは『ライフアイデア発見バラエティー』というジャンルだったんですけども、いわゆる笑える情報番組で目指してたんですが、いつの間にか5年目を迎え、『ラヴィット!』は現在、何の情報もお届けできてない、そういう番組になりました(笑)。
自分のことを「ハンバーグボーイ」と言い、子どもをひき連れて踊り、そう言い切る中年男性を見ても何の情報もないと思いますし、「今から音楽が流れます、太鼓を叩いてください。でも4発しか叩けません」。その姿を見て主婦は何を思うのかと思いますが、精一杯、バラエティーをやらしてもらっている、そんなつもりで2025年も走ってきました。でも、ただのバラエティーではないような気がしてて。なんか今年は、ひとつ“特別な場所”になったんじゃないかなと思う出来事が、7月28日にありました。
月曜日だったんですけど、月曜メンバー、ぼる塾とか丸山さん、本並さんとかみんながいて、そこになすなかにしの2人ももちろん出てたんですけど。那須くんは皆さんご存じの通り、2023年の年末にちょっと脳梗塞を患って、突然緊急入院して、突然手術して、もう戻ってこれないのかもしれないなんて状況を、「なすなかにし」という看板を、中西くんが守り抜き、そして那須くんの奥さん、家族、皆さんが懸命なリハビリにサポートしたおかげで、驚異の5ヶ月というスピードで那須くんは『ラヴィット!』に帰ってきてくれました。帰ってくる番組として『ラヴィット!』を選んでくれました。
那須くんが帰ってきた時は、僕はもうほんまたまらなくてハグしてしまったんですけども、そこから1年3ヶ月、なすくんは“ビリビリ”を受けることはできなかったんです。そらそうですよね、お医者さんに脳梗塞で倒れて、4ヶ月リハビリしてるんですけど、「『ビリビリイス』受けていいですか?」と言って、「どうぞ」っていう医者はこの世にはいないと。「知らないことなんで、ちょっとやめといた方がいいんじゃないですか?」ということが続いて、那須くんは『ビリビリイス』を受けられなかったんですね。那須くんも悔しかったと思うんですよ。
そして、またそこからリハビリがあって、リハビリを完全に終えて今年の7月28日、なんと那須くんのお医者さんが『ビリビリイス』を受けてもいいという判断を下しました。聞いたことない判断だったんですけども、もし(ゲームに)失敗したらっていうことだったんですけど。覚えてる方もいるかもしれないんですけど、つい1ヶ月前のことなんで。みんなでぼる塾とか僕らとか、月曜メンバーみんなで食パンの値段を当てたり、デニーズのオムライスの値段を当てたりという。近似値が出ればそのチーム優勝みたいなことだったんですけど、結果、蓋開けたら全員が大きく値段を外しまして、全員がビリビリっていうことになったんです。
もちろん那須くんがそこにいて、僕は初めてのことなんで、那須くんに何かあったらどうしようっていう不安ももちろんありました。自分もビリビリをくらうんですけど、那須くんの方ばっかり見てました。で、無情に3・2・1というカウントが流れて、全員にビリビリが来ました。那須くんも、もちろんバンッとくらって、僕はつい那須くんに「どうですか?」と振ったんですけども、そん時に「痛い」とか、「なんやねん、これ」とか言わず、那須くんは「ただいま」って言いました。
すごいなと思って。なんか『ラヴィット!』ってみんなが帰ってこれる場所になってるんだなと、そこではっと思ったんです。
でも、今の世の中というのが、そういった方々に対する「休め」っていう判断はすごく早いんですけど、彼らが何かを成し遂げて、気持ちを整理した時に、帰ってこられる場所がないんですよ。世の中全体そうかなって思うんですけど、それがすごいなんか反省したり、いいことしたのに悲しいなと思って。だから『ラヴィット!』という番組は、みんなが、そういったみんなが帰ってこられる場所になったらいいなと思って、スタッフさん、そして演者、メンバーが、相変わらず楽しいバラエティーをずっと守り続けております。(客席から拍手)ありがとうございます。
皆さんもそういうことがあると思うんです。今から受験のある方とか、就活したり、なんでしょうね、人生の大きな決断があったり、ちょっと、自分のせいじゃないのになと思って、日常からちょっと離れるなんてことがあるかもしれません。だから、『ラヴィット!』見たかったんだけども、ニュースしか見ることが許されなかったり、ニュースっていうのかテレビを見ることもできなくなるっていう方々も、今いるかもしれませんし、これからそういう人がいるかもしれないです。
だけどまた、一生懸命頑張って夢中になるというのは、人間とって1番すてきなことなんですけど…そこでやっぱ疲れたなとか、ちょっと休みたいな、しんどいなと思った時は、ぜひ『ラヴィット!』をつけていただきたいと思っております。
そうですね。そうやって、別に『ラヴィット!』が皆さんに寄り添うなんておこがましいことは言いたくないんですけど、つらかったり、しんどかったり、ちょっと嫌やな、自分を肯定できないなっていう時はぜひ『ラヴィット!』に持たれてください。
ふとテレビをつけたら、またぼる塾がハンバーグを食べ、どこのチェーン店のハンバーグか一生懸命悩んでると思います。またある時は、若槻さんにビビる大木さんがタメ口で怒られてると思います。そしてまたある時は、ラッピーに盛山が飛びかかり、スタッフ全員に取り押さえられてると思います。ある時は、屋敷が5メートルのロングパットを決め、その30分後に嶋佐がカラオケで大きな声で歌ってると思います。金曜メンバーがカメラに向かってキス顔を披露し、全員が顔を赤くしてキツネに襲いかかるという瞬間もあると思います。その一部始終を見ていた田村真子さんが、さっきまで爆笑していたのに、急に「報道フロアから最新のニュースです。高柳光希アナウンサーお願いします」と、本業に戻ったみたいな顔してると思います。
つまり、変わらない日常というのを皆さんにお届けできたらと思って、出演者、スタッフ一同頑張っております。これからもよろしくお願いいたします。
(客席から拍手)
ありがとうございます。最後になりますが、今日ほんとに365日『ラヴィット!』を支えてくれて、今日のライブのために、ほんと大成功するため、もうステージに上がらず、ステージの裏、もしくはこのステージの下で、『ラヴィット!』演者を支えてくれている方々がいます。みなさん、(ペンライトを)『ラヴィット!』のメインカラーである水色にしていただいてよろしいですか?
ありがとうございます。水色にしていただいて、ちょっと後ろにも、そして下にも聞こえる、振りながらでいいので、拍手をお願いいたします。スタッフさん、本当にありがとうございます。皆さんのおかげで『ラヴィット!』ができていて、『LOVE IT! ROCK(ラヴィット!ロック) 』を今年もできることになりました。本当にありがとうございます。そして、今日お越しの皆さん、配信をご覧の皆さん、『ラヴィット!』をこれからもよろしくお願いします。ありがとうございます。
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SNSが発達し、つながりが増えた一方で、なにかにつまずいたり、失敗してしまった時に、当事者以上に周囲がその責任を必要以上に追及する様子も可視化されるようになった。そのある種の息苦しさは、川島の言う「『休め』の判断が早い」「でも帰ってこられる場所がない」ことにつながっていると思われる。
謹慎をはじめとした少しネガティブにとらえられる形で、活動を休止していた芸人たちが、なぜ復帰の舞台に『ラヴィット!』を選ぶのか。
朝の忙しい時間に、報道番組ではなく、情報番組とも一線を画すバラエティーで、笑いを届け続けることの意味。ある種の“寛容さ”を失った現代だからこそ、演者、そして視聴者にとっても、『ラヴィット!』という“帰ってこられる場所”は、今後も求められ続けていきそうだ。
なお、この様子を見られる特典映像付き配信チケットは、23日午後11時59分までオンラインで見逃し配信中(チケット販売は同日午後8時まで)。