現在放送中のドラマ『愛の、がっこう。』(毎週(木)よる10時~放送/フジテレビ系)で、ラウール演じるホスト・カヲルにハマる女子高生・沢口夏希を演じて話題の俳優・早坂美海。
2クール連続でドラマレギュラー出演を果たし、NHK2026年度前期連続テレビ小説『風、薫る』では、見上愛演じる主人公・一ノ瀬りんの妹・安(やす)役をオーディションで射止めた。今勢いに乗る新人俳優にデビューがインタビュー。『愛の、がっこう。』で演じている沢口夏希役、撮影現場の雰囲気から、デビューのきっかけ、オーディションのエピソード、演技に対する想いについて聞いた

■早坂美海インタビュー

――現在出演中の『愛の、がっこう。』のホストにハマる女子高生役が話題です。今回の役はオーディションで勝ち取ったとか。

「対面オーディションが3回ありましたが、そのうちの2回は集団オーディションでした。夏希以外にもいろいろな設定の役を演じましたし、その時点では夏希がメインキャラクターということも知らなかったので、どうなるんだろうと思いながらオーディションを受けました。3回目は、夏希役として個人での対面オーディションで、ほかの方と交互に会場に出入りしながら何度か違うシーンを演じました。待ち時間の間、今の演技どうだったかな…って考えてすごく緊張していたのを覚えています」

――3度目のオーディションは夏希役として受けていたわけですが、どのように役を捉えて表現しようと考えていましたか?

「監督から、先生(木村文乃演じる小川愛実)といる時と、カヲルといる時の差をつけたいとのことだったので、表情の作り方やセリフの言い方を、別人と思うぐらい変えられるように意識して演じました」

――撮影現場で夏希を演じる時も、その変化をつけていたのが伝わりますね。

「物語の最初の頃の、嫌いだと思っている先生といる時は、自分の本音を表情に出さないようにできるだけ無でいられるように演技をしていました。一方でカヲルといる時は、セリフ以外にも思っていることが全部顔に出るように意識して演じました。
自分を一人の人間として認めてくれるカヲルの前では、自分をさらけ出してしまうという感じで」

――夏希はこの物語の発端となり、愛実先生と関わることで互いに影響を与えながら成長していくキャラクターです。夏希はどんな子だなと感じていますか?

「良い意味でも悪い意味でも、とにかく誰かに認められたい子なんだろうなと思っていました。その気持ちを上手く表現できないだけで、本当は純粋な心を持った子なんだと思います」

――早坂さん自身も今春高校を卒業したばかりで、進路についても考える時期にこの役に出会ったと思うのですが、共感する部分も多かったのではないですか?

「オーディションを受けたのが3月頃で、少し前に進路の選択や大学受験を経験したばかりでしたので、夏希が感じているプレッシャーも演じていて共感できる部分が多くありました。その気持ちが役に投影されていたと思います」

――撮影現場の雰囲気について教えていただけますか?

「ホストクラブのシーンの撮影には、いろいろな方がたくさんいらっしゃって皆さん本当に面白いんですけど、特に竹千代役の坂口涼太郎さんが本当に面白いんです。周りをずっと笑わせていて、リハーサルやテストの時からみんな笑っていたり、カットがかかる前に監督やスタッフさんが笑っちゃってシーンが終わることもありました。坂口さんがいらっしゃったことで現場がすごく明るくなったと思います。ラウールさんは私が緊張しているのを見て、隣で話しかけてくださったので、リラックスして撮影に臨めました」

――実際にカヲルくんのように受け止めてくれるような雰囲気がありましたか?

「近いものを感じました。とても身長が高いので、見上げるのが大変です(笑)」

――今回の作品を経験した、自分として成長できたところはありますか?

「夏希は第1話から感情をむき出しにするシーンが多かったので、感情の出し方について監督とも話し合って、役が憑依するというか、夏希になり切るということを初めて掴むことができたと思います」

――特にどんなシーンで感じましたか?

「1話で先生にいろいろと言われて泣いてしまうシーンで、テストの時から泣いてしまったんです。これまでは“ここで泣かなきゃ”と思いながら泣くシーンを演じていたのですが、その時は、テストの段階で泣いちゃいけないと分かっているのに自然と涙が出てきてしまって…。そのとき夏希になれているのかもしれないと思えたことが嬉しかったです」

――作品の反響はいかがですか?

「大学の友達にはこういうお仕事をしているということは言っていなかったのですが、これまで話したことがない子からも声をかけてもらったりして、たくさんの方に観ていただけてるんだなと嬉しく思います」

――2クール連続でドラマレギュラー出演を果たすなど、俳優として順調に進んでいる早坂さんですが、デビューのきっかけを教えていただけますか? 子役からのキャリアがあるそうですね。

「もともと姉が先に演技の仕事を始めていたんです。でも私は人と話すことが苦手で人見知りの性格だったので、母と父が心配して、事務所には入るけどレッスンを受けるだけという形で、人前に立つ練習をさせてもらっていたのがきっかけです。
でも気付いたらオーディションに行くようになって…という感じの始まりでした」

――続けているうちに面白さを感じるようになったのでしょうか?

「最初は習い事感覚だったんですが、いつの間にかレッスンやワークショップで人と話すことがすごく楽しくなって、人前に立って何かを発表したり表現することも楽しくなりました。そして、その成果をオーディションという場で見てほしいという気持ちになりました」

――演技をお仕事として続けていきたいと思うようになったきっかけは?

「『旅屋おかえり』というドラマに出演したときに、オーディションを何度も受けて、たくさんの方の中から選んでいただいたことが自信に繋がりましたし、多くの方から“観たよ”と言っていただけて、もっとたくさん大きなお仕事をやりたい、俳優の仕事を頑張ろうと思うようになりました。観てくださる人がいるからこそ、このお仕事があると思うので、感想をいただけると、すごくやりがいを感じます」

――早坂さんもたくさんのオーディションを受けてこられたと思うのですが、オーディションに臨むときに一番大事にしてることはなんですか?

「オーディションで、特に同じ年代の子がたくさんいる集団オーディションのときには、あまり役を作り込みすぎないで行くようにしています。自分の中で固めてから行ってしまうと、監督の演出等に応えられなくなってしまうので、周りの方の演技を受けて、役になり切って、“この子だったらどうするのかな”というのを、その場で考えながら演じるように心がけています」

――その方法はご自身で掴んでいったものですか?

「以前、女優養成プロジェクト『アクトレスインキュベーション』という企画に参加したとき、監督にたくさん演出したいただいて、毎週違うシナリオをネット生放送のカメラの前で演じたことで鍛えられました。そのときも役を作り込みすぎないようにとのことだったので、今はセリフをしっかり入れていくだけで臨んでいます」

――俳優として、ターニングポイントになったと思うお仕事を教えてください。

「アクトレスインキュベーションのメンバーで、初めて一人芝居の舞台をやらせていただいたのですが、目の前のお客さんに伝えることの大切さを知ることができて、大きな経験に繋がりました。お客様に向けた演技がちゃんと伝わり、返ってくるものも感じることができました」

――そして、NHK2026年度前期連続テレビ小説『風、薫る』にて、見上愛さん演じる主人公・一ノ瀬りんの妹・安(やす)役をオーディションで射止めました。”朝ドラ”出演は夢だったそうですね。

「マネージャーさんから聞いた時にすごくびっくりして、役柄を聞いたらまさかの妹役で、現実なのか分からなくなるくらいびっくりしました(笑)」

――これまで何度も”朝ドラ”の主人公オーディションを受けてこられたと聞いていますが、今回は何か違いましたか?

「今回のオーディションでは、監督からこの物語が伝えたい意図や、役柄の性格について、事前にたくさん教えていただいてから挑むことができましたし、演技をしている間もいっぱい笑っていただけました。“次はもっとこうやったら面白いかな”など演出していただいて、いろいろな俳優の方がいろいろなお芝居を見せていて、ワークショップのような雰囲気で楽しかったです」

――ドラマの公式サイトには「家族を明るく照らす存在でありながら、まだ幼さや繊細さも残る女の子」とありますが、安という役をどんなふうに演じたいと考えていますか?

「私にも二つ上の姉がいるので、リアルなお姉ちゃんにしか見せない顔を表現できたらいいなと思いますし、明るく照らす存在であっても、家族を一番に考えて心配しているというところも表現できたらいいなと思っています。顔合わせのときに見上さんにお会いしたのですが、すごく気さくで優しくて、もう本当のお姉ちゃんっていう感じでした」
――撮影はこれからだと思うのですが、この作品に対して期待していることを教えてください。

「個人的にはお笑いが好きで、今回は芸人さんたちも出演されるので、いろいろなジャンルの先輩方の演技を間近で見て刺激をいただくのが楽しみです」

――ここから少しプライベートなことも伺いたいのですが、趣味や特技、ずっと続けてきたことなどはありますか?

「最近は編み物を始めたり、アニメを観るのも好きです。
あと、小学生の時にずっと書道をやっていたので、文字を書くのが好きです。プロフィールの趣味と特技に書いている料理ですが、父が元々お店をやっていて家でも料理をしていたので、小さい頃からそのお手伝いをしていたのがきっかけで、今もよく自分で料理をします。大学生になってからは都内に行く機会が増えたので、東京のカフェに、講義の空きコマとか学校帰りに行ってみようって思っています。読書も好きなので、カフェに行って本を読むとか、落ち着いた空間が好きです」

――今年大学生になって、生活は変わりましたか?

「高校生の時は週5で授業があったんですが、大学生になったら講義が全くない日もあったり、自分のライフスタイルに合わせてコマを決めることができるので、余裕のある時間の使い方ができますし、仕事と向き合う時間も増えました」

――最後に、俳優デビューを目指すデビューのユーザーにエールをいただけますか?

「私も何百回と数えきれないくらいのオーディションを受けてきて、落ちることが当たり前というくらいだったんです。でも自分は負けず嫌いなので、落ち込むよりは“次頑張ろうって!”っていうタイプでした。皆さんも、挑戦することを諦めないでほしいと思います」

■早坂美海
はやさか・みう●2006年7月29日生まれ、東京都出身。2025年は、TBS4月期火10『対岸の家事~これが、私の生きる道!~』、CX7月期木曜劇場『愛の、がっこう。』と、地上波ドラマに2期連続出演。NHK2026年度前期連続テレビ小説『風、薫る』にて、主人公・一ノ瀬りんの妹・安(やす)役を演じる。
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