本作は、『最後から二番目の恋』シリーズなどで知られる脚本家・岡田惠和の最新作。完全オリジナル脚本となる本作は、二人の子を持つ小倉渉(おぐら・わたる/北村有起哉)と、その妻・あん(仲間由紀恵)を中心に、登場人物たちの人生模様をユーモラスかつ、温かくお届けするホームコメディー。
物語は、19年前、小倉夫婦があることがきっかけで「子どもが二十歳になったら離婚する」という約束を交わすところから始まる。その言葉をすっかり忘れてマイペースに生きてきた夫・渉と、その言葉を心の支えとして過ごしてきた妻・あん。全く異なる想いを抱えた二人の何気ない日常の中で、少しずつ心を揺らしていく姿を、繊細かつ軽やかに描いていく。
小野が演じるのは、渉やあんたちが住む三階建てのレトロマンション「たそがれステイツ」の二階の住人で、スーパー銭湯で働く樋口奈央(ひぐち・なお)。明るく社交的な性格で、誰とでもすぐに打ち解けるところが魅力の奈央は、職場でも丁寧で品のある笑顔が好評で優秀。
一方、石井が演じるのは、奈央のパートナー・高村志保(たかむら・しほ)。同じく二階で奈央と暮らす志保は、奈央とはまるで正反対の性格。人見知りで、とりわけ男性が苦手な一面もあり、つい奈央の陰に隠れてしまうことも。けれどその内面には、思いやりにあふれた優しさと、自分なりの信念を秘め、芯のある女性。そんな志保は料理上手で、奈央と同じ職場内のフードコートで厨房(ちゅうぼう)の仕事に励んでいる。
小瀧が演じるのは、小倉家の長男・順(じゅん)。幼い頃から消防車が好きだった順は、その夢をかなえ、現在は消防士として奮闘中。実家を出て、寮生活を送りながらも、家族への思いやりは変わらず、どこかヒーローのような存在感を放っている。礼儀正しく、誠実で、誰に対しても優しく接する順は、まるで“天使”のような爽やかな青年。
そして、小倉家の長女・ゆずを演じるのは、若手注目株の近藤。ゆずは私立大学に通う2年生で、映画研究会に所属し、将来の夢は映画監督。現在は自主映画作りに熱中している。実家暮らしをこよなく愛し、自立心はゼロ。両親にはつい甘えてしまいがちだが、どこか憎めない末っ子気質で、マイペースに日々を楽しんでいる。
草刈が演じるのは、元・レコード会社勤務の永島慎一(ながしま・しんいち)。
そんな慎一の妻・さとこを演じるのは阿川。さとこもまた、若い頃は慎一と同じレコード会社で働いていた。慎一とは職場恋愛の末、結婚。一見、慎一の方がモテているように見えるが、実はモテモテだったのはさとこの方で、慎一の猛アタックが実を結んだ。現在は、やたらと家事に張り切る慎一に時折ツッコミを入れながらも、どこかうれしそうに見守っている。さとこのことが大好きな慎一と、誰よりも慎一を大切に思っているさとこ。そんな二人の間には、長年連れ添った熟年夫婦ならではの、温かい空気が流れる…。