脚本・バカリズム、豪華キャストが実在の西洋人物に扮し“音楽史上最大のスキャンダル”を描く映画『ベートーヴェン捏造』が12日から公開されている。これを記念し、山田裕貴(秘書シンドラー役)と古田新太(ベートーヴェン役)のメイキング写真と映像が公開された。

 原作は、かげはら史帆氏による歴史ノンフィクション『ベートーヴェン捏造 名プロデューサーは嘘をつく』(河出文庫)。「耳の聞こえない孤高の天才」という偉大なイメージは、実は秘書による“でっちあげ”だったという衝撃のスキャンダルの真相に迫る。

 耳が聞こえないという難病に打ち克ち、歴史に刻まれる数多くの名曲を遺した偉大なる天才音楽家、ベートーヴェン。誰もが知るそのイメージは、忠実な秘書シンドラーによる”でっちあげ”だった――シンドラーは憧れのベートーヴェンを守るため、死後に「下品で小汚いおじさん」という素顔を隠し、“聖なる音楽家”として後世に残した。シンドラーはどのように真実を覆い隠したのか。そして、その嘘は暴かれるのか。

 脚本は、ベートーヴェンの面白さに魅せられたバカリズム。本作ではノンフィクション原作を丁寧にひも解き、さらに緻密な取材を加え脚本化。「世紀の大スキャンダル」を、独自のユルい会話劇として描き出した。監督は映像演出に定評のある関和亮。

 親愛を込めて山田のことを「や~まだ」と呼ぶ古田と、また古田にそう呼ばれることを「うれしい」と語る山田は、『ヒノマルソウル~舞台裏の英雄たち~』(2021年)以来の共演。当時は山田が聴覚障がいのある役で、今回は古田が耳を患っているベートーヴェンという役どころ。山田は「前回いただいたアドバイスがすごくしっくりきて、ちゃんとお芝居を見てもらえていたことを覚えています。逆に今回は悩んでいたところを質問しても『どっちでもいいんじゃない?』と相手を縛らないのが古田さんらしいなと思いました」と古田への尊敬の念を語っている。

 古田は「前回は山田の方が障がいのある役で、すごく上手かったんですよ。それを本人に伝えたら『古田新太にほめられた!』と喜んでいて、なんてかわいいやつだろうと思ってました」と山田との共演を振り返っている。解禁となったメイキング写真でも、自然な笑顔を見せ、二人の親しい関係が伝わってくる。

 解禁となったメイキング映像は、ベートーヴェンの遺言状作成シーン。溺愛していた甥の自殺未遂以降、気落ちしていたベートーヴェンは、病に倒れてしまう。そんなベートーヴェンのために集まったのはシンドラー、友人ブロイニング(生瀬勝久)、そして弟のヨハン(小澤征悦)。3人はベートーヴェンの遺産が彼の希望通り甥に相続されるよう、遺言状作成を手伝うこととなる。尊敬する音楽家、長年の友、愛する兄の死が目前に迫った悲しい時間のはずが…。

 スタッフの笑い声で始まるメイキングではベートーヴェンの手を握り、ブロイニングが「あー、ぐちゃっとなっちゃた。これ大丈夫?読めるよね?」と世話を焼いている。さらにシンドラーが書く項目を説明すると、「ああ!もう!お前書け!」と癇癪(かんしゃく)を起こすベートーヴェン。それまでは敬愛するベートーヴェンに対して丁寧に接していたシンドラーが思わず、「いや、私が書いたら意味ないから」と思わずタメ口で返すと、関監督が「タメ口!」と大爆笑。

 ひたすら面倒くさそうに遺言状を書くベートーヴェンと、あれこれ横槍を入れるシンドラーとブロイニング。口数が少ないキャラクターのヨハンも、手にした遺言状の見本をありえないくらいベートーヴェンの目の前に差し出すなど、とにかく濃いキャラクターたちが全力で悪ノリを楽しむリハーサルに、キャストたちも思わず笑顔のメイキング映像となっている。

 本作は、大型LEDディスプレイに背景3DCGを表示し、その前で被写体を撮影するという最先端技術を駆使したバーチャルプロダクションでの撮影を実施。リアルなロケーションのようにバーチャル背景を活用して撮影することで、日本に居ながらにして19世紀のウィーンの世界を再現した。さらに、劇中ではベートーヴェンの珠玉の名曲を惜しみなく使用。リアルな映像と映画館の音響による新たな映画体験を観客に届ける。

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