同作は、阪神タイガースで将来を嘱望されながら、脳腫瘍を発症し、引退を余儀なくされ、28歳で亡くなった横田慎太郎さん(2023年死去)の生涯を映画化。
ちょうど6年前、横田さんが引退試合で「奇跡のバックホーム」を披露した9月26日、甲子園での中日ドラゴンズ戦のファーストピッチセレモニー。マウンドに“横田慎太郎”松谷があがった。背番号「24」を背負い、横田さん本人から譲り受けたグローブを手にした。
何かを語りかけるようにバックスクリーンを見つめる松谷。その姿を見守っていた鈴木がマウンドに歩み寄り、ボールを手渡されると、松谷は意を決したように矢のようなストレートを投げ込んだ。大きな拍手が沸き起こった。
松谷は「甲子園は高校時代から憧れていた場所」だったと語り、「甲子園のマウンドで投げられたことは信じられない気持ちです」と感無量。「きょう、9月26日は横田さんが引退試合で奇跡のバックホームを決めた特別な日だったので、タイガースファンの方や慎太郎さんの思いも背負って、慎太郎さんの分まで投げようと思いました」と目に涙を浮かべ、「無事にストライクが入って安心しました」と語った。
実は松谷はプロ野球選手だった父を持つ元高校球児で、ピッチャー出身、高校時代には大谷翔平と戦った実績もある。投手用のグローブを使用していたところ、横田さんから「僕が使ってた外野用のグローブで練習してください」と手渡され、「撮影でも使わせてもらっていたので、きょうも使わせていただきました」と明かした。
鈴木は「歴史と伝統を感じました。皆さんの憧れの場所なので、そんな場所に立つことができて幸せでした」、秋山監督は「きょうという日が来ることをずっと夢見ていたので、胸がいっぱいですし、慎太郎さんにありがとうございます」と感謝を伝えた。