テレビアニメ『僕のヒーローアカデミア』(ヒロアカ)の第8期となる最終章『僕のヒーローアカデミア FINAL SEASON』(読売テレビ・日本テレビ系/毎週土曜 後5:30)が、4日から放送中。オリコンニュースは主人公・緑谷出久(デク)の声を演じる山下大輝、デクの最大の宿敵・死柄木弔の声を演じる内山昂輝にインタビュー。
9年を経てついにFINAL SEASONを迎える本作への思いを語ってもらった。

 本作は“個性”と呼ばれる超常能力を持つ人々の存在が当たり前の世界を舞台に、主人公・デクが、社会を守り、“個性”を悪用する犯罪者“敵”に立ち向かう“ヒーロー”になるため、ヒーロー育成の名門・雄英高校で仲間たちとともに成長する物語。「FINAL SEASON」は、原作コミックス40巻の物語から始まるシリーズ最終章となり、デクと死柄木、オールマイトとオール・フォー・ワンの戦いの決着へと向かっていく。

■ずっと隣にあった『ヒロアカ』/キャラクターの変化に奮闘した毎シーズン

――ついに10月からFINAL SEASONに突入ですね。これまでのシリーズを振り返って、『僕のヒーローアカデミア』という作品がご自身にとってどんな存在になりましたか。

山下:9年もやれる作品って昨今本当にめずらしい。こんなに長く続いて、しかもFINAL SEASONを迎えるなんて。本当にゴールまで駆け抜けられるってどれだけ幸せなことなんだろうかというのを、今めちゃくちゃ噛みしめてる最中です。ここまでできることってなかなかないし、僕の声優人生の大半がヒロアカと一緒に過ごしてきているので、だからこそ、それが終わるって思っても、なんかちょっとあんまりピンとこない。まだ終わった後にどういう気持ちになるのかもわからない、不思議な気持ちでアフレコに臨んでいる最中です。

それだけ僕にとってあって当たり前というか、ずっと隣にあったような作品。毎週のようにアフレコがあって、同じメンバーで顔を合わせてアフレコをする景色が当たり前だったからこそ、今、FINAL SEASONって言われて、まだまだちょっと…。
最後までやるってことはすごいことだよなっていう冷静な部分もあるけれども、終わるのか…なんだかよくわかんない…みたいな部分もあって、変な気持ちです。

内山:ヒロアカのアニメに関わり始めたときは、こんなに長くお世話になるとは思っていませんでしたし、キャラクターがこうやって変化していくっていうことも全然知りませんでした。それに、シーズンごとに展開されていくストーリーの中で、敵は特に、ずっと出ていたわけではないので関わり方の“濃い”“薄い”はどうしてもあります。それでも毎シーズンごとのキャラクターの変化に合わせて自分がどういう表現がフィットするかと奮闘し、なんとかついていこうと頑張って表現し続けて、気がついたらFINAL SEASON。未来は予想がつかないものだなという気持ちです。

――長年演じてこられると、キャラクター自体の変化のほかにも、ご自身の演じ方の変化もありましたか。

山下:キャラクターが変化していくのと同時に、こちらも自然と変わっていっている感じはやっぱりしましたね。デクは物語の中心だから、緻密に描かれている部分が多い。だからこそ、どういう風に変化していくのかというところは分かりやすく出てると思います。僕の中でもデクの一つひとつの変化というものがしっかり根付いていっているかなと感じています。

テクは、体が筋肉質になったり、次々に歴代継承者の“個性”が発現していくとか、新たに生み出した「シュートスタイル」や、「エアフォース」だったりという分かりやすい変化とかもありました。自分の中でも、とにかく思いっきり100パーセントの力でパンチをするというところから、100パーセントの中でもいろいろコントロールして、周りの状況を考えて、どのぐらい距離あるのか考えてとかっていう分析ができるようになって。
いわゆる声の出し方のコントロールを、「ワン・フォー・オール」という“個性”をコントロールするのと同じように、自分の中の声をただただ100パーセント大きくするだけじゃなくて、細かいところを加味したコントロール、息の抜き方とか出し方とかを考えるようになっていくのが、変化として一緒に成長できていると実感できる部分かな、なんて、今振り返ると思います。

内山:演じ方の変化はあります。最初は顔が見えてなかったですからね(笑)。手が顔についているところから始まって、そのうちに顔がわかるようになって。キャラクターは変化していくので、それに合わせてその時々に合う表現を取り入れました。後半からFINAL SEASONにかけては、オール・フォー・ワンと死柄木の精神の主導権を取り合う戦いもあって、オール・フォー・ワンに乗っ取られると、オール・フォー・ワンの雰囲気を死柄木に乗せるというところもありました。そこではまた新しい挑戦があり、やっぱりシーズンごとに“挑戦”というようなイメージがあります。

■キャラクターに共通する“純粋さ”

――お2人が演じている緑谷出久と死柄木弔は、正反対の立場でありながら、どこか似てるような背中合わせのキャラクターですよね。共通点はどんなところにあると思いますか。

山下:いろんなものをめくっていけば、きっとその純粋な部分って、通じ合えそうな部分って大いにあるなって思います。ここから明かされていくことも大いにあって、むしろそこかな。

内山:ね。
いろいろ見えてくるけど、簡単に言うのは難しいですね。

山下:FINAL SEASONを見ていただくとさらに見えてくると思いますが、純粋な部分で分かり合えることがあるのではないかなとは思いますね。それはデクと死柄木にかかわらず、他のキャラクターもみんなそう。みんな大きくなるにつれて、自分を守るためだったりとか、周りの影響を受けて、いろんな膜を張っていきますけど、それで自分らしさみたいなものを隠しているところが大いにあると思うんです。でも、そういうものを取っ払ってしまうと、みんな一緒の気持ちにたどり着くんじゃないかな。そう思うと、デクと死柄木に限らず、みんなが共通している部分があるんだろうなって思いますね。

内山:敵も、死柄木に限らず、すごい能力を持っているというのは共通しています。でも、人生の節目節目で違う人生への道もあったかもしれない。“個性”をどう使うのかという点で、世の中に対する影響としては全然違いますが、すごい能力を持っているという意味では共通する。それが人生の中でいろいろあって、誤った使い方をしてしまうんです。
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