「元アイドルの女性に賠償命令」が言い渡された実際の裁判に着想を得て、約10年にわたる構想の末に完成した、深田晃司監督の最新作『恋愛裁判』(2026年1月23日公開)。監督自らが企画・脚本(共同)を手がけた本作より、物語の核を担うメインキャラクター6人の“せりふ入り”ビジュアルが解禁された。


 本作は、アイドルグループ「ハッピー☆ファンファーレ」のセンター・山岡真衣(齊藤京子)が、「恋愛禁止ルール」を破ったことを理由に裁判にかけられる物語。華やかで夢を振りまく存在として消費されるアイドルの世界の裏側に潜む孤独や犠牲、そして個人が自分自身を取り戻すための闘いを、痛切なリアリティと繊細な人間描写で描き出す。

 恋愛という、ごく自然で誰もが抱く感情は、なぜ「罪」として裁かれなければならないのか。本作は、観る者に対し、無意識のうちに内面化している「正しさ」や、社会や集団が個人の心を縛るルールの本質を鋭く問いかける。

 日本の現代社会において、アイドルは大きな熱狂と経済効果を生み出す一方で、人間としての感情や本能を厳格なルールによって制限されるという矛盾を抱えた存在でもある。『恋愛裁判』は、日本独自のアイドル文化と、その暗黙の了解として受け入れられてきた価値観に、真正面から切り込む意欲作だ。

 今回解禁されたのは、物語を動かす6人のキャラクターそれぞれに印象的なせりふが添えられたキャラクタービジュアル。恋愛禁止ルールと自身の感情の狭間で揺れ動く主人公・真衣をはじめ、真衣と恋に落ちる相手、同じグループで活動するメンバー、彼女を管理するチーフマネージャー、そして所属事務所の社長など、異なる立場と価値観を持つ人物たちが並ぶ。

 それぞれのビジュアルには、登場人物の信念や葛藤を象徴するかのような鮮烈なせりふが刻まれ、物語が単なる恋愛の是非にとどまらず、社会構造そのものを映し出すドラマであることを強く印象づけている。

■山岡真衣(齊藤京子)

 アイドルグループ「ハッピー☆ファンファーレ」のセンター。「恋愛禁止ルール」を破ったことで、所属事務所から訴えられる。自身が子供のころから思い描いてきた、煌びやかなアイドル姿から一転、スーツに身を包み、ありのままの姿で裁判に臨む真衣には、「もう、自分の気持ちに嘘をつくのが嫌だったからです」と、自らの選択と向き合う揺るぎない覚悟が表れている。


■間山敬(倉悠貴)

 偶然再会した真衣と恋に落ちる大道芸人。真衣との未来を信じ、自分なりの答えを探しながら行動する敬だが、徐々にふたりが見据えている“未来”に、ズレを感じ始め、「俺たちのこれからの人生の方が裁判よりよっぽど大切だと思ってる。真衣はさ、何と戦ってんの?」と真衣の覚悟を前に戸惑いを見せる。

■清水菜々香(仲村悠菜)

 アイドルグループ「ハッピー☆ファンファーレ」のメンバーでグループ最年少。「お願い。私アイドルやめたくない」。そう訴えるのは、自分が本当につき進みたい道を自らに問い直した菜々香。ステージ上では、ひたむきで切実なパフォーマンスを見せる。

■大谷梨紗(小川未祐)

 アイドルグループ「ハッピー☆ファンファーレ」のメンバーであり、真衣とは良き友人でもある。真衣や菜々香とともにアイドルとして歩んできた梨紗だが、「やっぱり私、自分の歌、歌いたくて。」と、真衣、菜々香とはまた異なる想いを抱えている。

■矢吹早耶(唐田えりか)

 アイドルグループ「ハッピー☆ファンファーレ」のチーフマネージャー。かつて自らもアイドルとして夢を追った経験をもち、現在はチーフマネージャーとして「ハッピー☆ファンファーレ」を支える早耶は、「本気度に差はありますが、ファンはアイドルに恋をしています。
恋愛禁止は当然のルールだと思います」と法廷で証言する。

■吉田光一(津田健次郎)

 アイドルグループ「ハッピー☆ファンファーレ」の所属事務所の社長。アイドルを“管理する側”に立つ吉田光一だが、「夢を叶えてほしい。僕たちは心からそう思ってる。もちろん、君のファンも。それにご両親も。だからこそ全力で応援してるんだよ」と、事務所の代表としての想いをアイドルらに伝える。
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