俳優の齊藤京子、深田晃司監督が23日、大阪で行われた映画『恋愛裁判』公開記念舞台あいさつに登壇。完成までの経緯や、オーディション、撮影現場での裏話などを語った。


 「元アイドルの女性に賠償命令」が言い渡された実際の裁判に着想を得て、日本独自のアイドル文化と暗黙の「恋愛禁止ルール」に鋭く切り込んだ本作。主演を務めるのは、元・日向坂46でセンターを務めた経験を持つ齊藤。共演には、倉悠貴、唐田えりか、津田健次郎など実力派俳優陣が集結した。

 第78回カンヌ国際映画祭ではカンヌ・プレミア部門正式出品を果たし、世界最速となる公式上映を実施。その後も、韓国・釜山、中国・平遥(ピンヤオ)、タイ・バンコクなどの国際映画祭に出品したほか、10以上の映画祭への出品。そんな本作がきのう23日に公開となった。

 オーディションによって本作への出演が決定した齊藤は「最初この脚本を見たときは、正直衝撃でした。私が山岡真衣を演じることで、私のファンの皆さんだったり、アイドル業界のファンの皆さんにどう思われるのかという葛藤がすごくありました。でも、まずは第三者として物語がとにかく面白いと感じました。山岡真衣というキャラクターが何に対しても真面目なところは、私自身がアイドル活動をしていた時と似てるなと思った」と告白。

 そんな作品のオーディションに覚悟を持って臨んだといい、「歌って踊ってお芝居もしましたが、一般的なオーディションっていう感じではなく、監督とアイドルについてや、この作品についてとにかく話したことがとても印象的です。結果に自信があったわけではないですが“このオーディションは楽しかった”と思って帰れました」と、オーディションを受けるうえでの覚悟やエピソードについて話すと、深田監督はオーディションのスタイルについて「人となりやアイドルとして活動されていたときのキャリアやその時間も含めて、色々と齊藤さんのお話しをお聞きしたかったので、会話する時間も作りました。
僕もあのオーディションは楽しかったです」と振り返った。

 また、齊藤の第一印象について「山岡真衣役は、もともとアイドルが演じるほうが、リアリティを出せるだろうし、作品コンセプトとしても、絶対その方がいいと思って探っていた中で齊藤京子さんが来てくださり、最初に歌とダンスを実際に見させてもらって、自信に満ちているという印象がありました。日向坂46に在籍していたころの曲で歌って、踊ってもらったのですが、もちろんとても素晴らしくて。本人にも“いいですね”と伝えたら“本家ですから”と言われたことを覚えています(笑)」と明かす。

 ラブロマンスの芝居も良かったそうだが「それより法廷の場面で淡々とあのしゃべる時の芝居もさらに良くて、非常に艶のある低い声というのもすごく印象的でした。今まで自分の中にあったアイドル像を打ち砕き、実際に8年間もアイドルをやって、センターを務めていたという説得力がある部分が非常に面白くて、齊藤さんに山岡真衣役をぜひお願いしたいと思ったことを覚えています」と語った。

 今回は、事前にSNSで質問を募集。「現役のアイドルさんにこの映画の良さを伝えるとしたらどんな言葉をかけたいか?」という質問に対しては、齊藤は「本編の始まりからドキュメンタリー映画でありそうなぐらいリアルで、アイドルが誰でも経験したことがあるようなシーンから始まっています。この映画は、監督と実際に私のアイドル時代での話をして、反映されているところもあるので、アイドルパートは解像度が高く、アイドルの裏側のようなものを作品として、物語として、エンタメとして見れるというところがポイントです。私はアイドル活動が楽しかったし、今でも天職だったと思っていて卒業コンサートの時に生まれ変わっても絶対にアイドルになりますと言って卒業したぐらい大好きな職業でした。もしアイドルを目指している方がいらっしゃったら、本当に楽しいのでおすすめします」と自身のエピソードを交えてアピール。

 続いて深田監督も「この作品の中で気をつけて描いていたのは、この作品のようなアイドル物や、いわゆる芸能を描いたものはメンバー同士の諍いや争い部分を強調して書かれがちだけれど、実際に元アイドルたちにインタビューすると、そうでなく連帯感のある方が多かった。
この作品ではなるべくそういった状況は避けて描きましたので、メンバーや仲間をこれからも大切にしてほしいなと思っています」と述べた。

 また、「齊藤京子さんが思うアイドル齊藤京子とアイドル山岡真衣の違いは?」という質問には「今までやってこなかった髪型をしてみたり、この作品で初めて髪の毛を染めました。役作りとしては、アイドル時代の齊藤京子がこの作品を邪魔したくないという思いがあったので、役作りは一生懸命監督と話し合いながら行いました」と答えていた。

 最後に、齊藤は「昨日公開初日を迎えて、前日の日付が変わるころからドキドキしていました。私自身とても覚悟を持ってこの作品に参加させていただいたので、何度でも劇場に足を運んでいただけたらうれしいです。本日は本当にありがとうございました」と改めて感謝を述べた。
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