ガガの今回のジャパンツアーは、キャリア最大規模となる6夜の日本ドーム公演(大阪ドームで1月21日&22日、東京ドームで1月25日、26日、29日、30日)を即日ソールドアウトにし、絶大な人気を見せつけた。
このうち東京初日の1月25日の東京ドーム公演は、いつものようにガガの“Ball(舞踏会)”を楽しむべく思い思いに着飾った“リトルモンスター”たちが見守る中で開幕。今回の公演は過去のツアーと同じく章立てで、『Of Velvet and Vice(ベルベットと悪について)』『And She Fell into a Gothic Dream(そして彼女はゴシックな夢に没入する)』『The Beautiful Nightmare That Knows Her Name(彼女の名を知る美しい悪夢)』『Every Chessboard Has Two Queens(どのチェス盤にもクイーンはふたりいる)』の4幕と、フィナーレ『Eternal Aria of the Monster Heart(モンスターのハートの永遠のアリア)』で構成。ガガ自身がディレクションを担当し、壮大なビジョンを具現化するにあたってステージパフォーマンスのトップクリエイタたち――ショウ・ディレクションにベン・ダルグリーシュ(ポスト・マローン、ドレイク)、プロダクションデザインにエス・デヴリン(U2、アデル)、振り付けにパリス・ゲーベル(リアーナ、ドージャ・キャット)を起用。
ドームの一端を広く切り取るオペラハウスを模したステージに、20人近いダンサー(日本人ダンサーのAmi Takashimaも参加)とバンドを従えて立ったガガは、ポップミュージックとオペラ、ビジュアル、ダンス、シアターをミックスし、無数のコスチュームを身に付け、ガガならではのゴシックな様式美で貫いたスペクタクルを展開した。その壮大なスケールに、隅々に満ちわたる美意識に、一瞬たりともブレない圧巻の歌に、常に変わり続けるマジカルなビジュアルに圧倒されているオーディエンスからは、一幕終わるごとに拍手喝采が巻き起こった。
描かれたストーリーを要約するならば、冒頭で左右のスクリーンに映し出されたライトとダーク、ブロンドとブルネットの、ガガが内に持つふたつのペルソナの闘い。つまり『MAYHEM』でガガが向き合った内なるカオスの表出であり、「Abracadabra」と「Disease」のミュージックビデオのテーマとモチーフをスケールアップしたとも言えるのかもしれない。ダークサイドが主役を務める第1幕の終盤になって2人のガガは初めて対面し、以後ガガは2人を演じ分け、全キャリアから広くセレクトした曲を巧みにストーリーに落とし込んでいく。その数は計30曲。
第1幕のトーンを方向付けたのも、『MAYHEM』からの1曲「Abracadabra」だ。ここでガガが口にする“The category is, Dance or Die”こそ、この曲のミュージックビデオにもフィーチャーされていた『The MAYHEM Ball』のキーワードであり、今宵は「踊るか、死ぬか」と日本語で選択を迫る。もちろんガガが選ぶのは前者だ。
次いで第2幕は“ライトサイド”のガガの独り舞台。墓地で幕を開けたゴシック色が濃厚なこの章では、『MAYHEM』で鳴っていたインダストリアルなロックサウンドが前面に押し出されており、「Paparazzi」も「LoveGame」もダーク&ヘヴィにアレンジが刷新された。しかし第3幕では一転して、ステージ上の巨大な頭蓋骨がゴシック色を引き継ぎながらも、ファンキー&レトロな路線にシフト。「Zombieboy」「Applause」「Just Dance」と、華のあるポップソングが並んだ。また第4幕にも「Shadow Of A Man」を筆頭にラヴとエンパワーメントのダンスアンセムが詰め込まれ、中でもドームを揺るがさんばかりの歓声に迎えられたのは、クィアコミュニティに捧げた「Born This Way」だ。「あなたたちは私にとって本当にスペシャルな存在。世界にとっても。でもそんなこと、わざわざ私が言う必要はないよね。
2人のガガのストーリーはどうなったのか?第4幕の後半で2人の関係は、自他に重要な決断を迫る「Million Reasons」と「Shallow」の2曲で転機を迎える。そして本編を締めくくる「Vanish Into You」で、2つのペルソナは“あなたの中に溶け込む(=vanish into you)”ように、手を取り合って共存する道を見出した。
第4幕では、ガガがオーディエンスと対話をしながらじっくり歌を聞かせる、ピアノの弾き語りのコーナーが用意された。朗らかに笑い声を立てながら手を振って、「フォーマルな言い方しか知らないんだけど」と前置きし、まずは「愛してます!」と日本語であいさつ。ここで登場する曲は毎晩異なり、今夜は「The Edge Glory」と、オーディエンスにリクエストされたという「Always Remember Us This Way」を聞かせた。たっぷり歌ったあとだけに少しざらついた、一層深みが増した声で、歌い出しの“That Arizona sky”をさりげなく“That Tokyo sky”に変えていた。
「Shallow」と同じく映画『アリー/スター誕生』のサントラに収められていた後者について、「アリーのための曲だけど、みんなのために書いたとも言えるのかも」と語ったが、“今の私たちを記憶に刻みたい”という歌詞は、まさに今ここにいるオーディエンスとの絆を讃えているようでもあった。絆と言えば「The Edge of Glory」を歌った際に、20年近く続いている自分と聞き手の関係について話しながら、涙ぐんでいたシーンも印象的だった。ガガは、「今世界で起きていることを思うと圧倒されてしまって、息をすることも、微笑みを浮かべることも辛くなったりする。でもこの曲は、私たちにはお互いを支え合うコミュニティがあることを思い出させてくれる。微笑む方法を思い出させてくれる。
続くフィナーレでは、タイトルどおりにモンスターの姿で「Bad Romance」を披露した。一旦ステージをあとにし、ここで終わりかと思いきや、しばらくするとスクリーンには楽屋でメイクを落としながら「How Bad Do U Want Me」を歌う映像が映し出され、ほどなくしてガガは、リラックスした晴れやかな表情でステージに帰ってきた。シアトリカルな非日常性を極めたゴシックドリームから我々の目を覚まし、リアリティに引き戻す、素顔でのアンコールだ。そして最後は独りで「Disco Heaven」に乗せて、まるでランウェイのスーパーモデルのように颯爽とステージを歩くと、指先を少し丸めてモンスターの手に見立てた“Paws Up”――マザー・モンスターからリトル・モンスターたちへの愛情を込めたポーズをクールにキメた。
きょう2日午後7時からは、来日公演最終日のセットリストをもう一度楽しめるリスニングパーティーを、ユニバーサルミュージック インターナショナルのStationheadアカウントにて開催。ガガの日本プロモーション担当と歴代担当がボイスで参加することも決定している。
■セットリスト(1月25日東京ドーム公演)
M01. Bloody Mary
M02. Abracadabra
M03. Judas
M04. ScheiBe
M05. Garden Of Eden
M06. Poker Face
M07. Perfect Celebrity
M08. Disease
M09. Paparazzi
M10. LoveGame
M11. Alejandro
M12. The Beast
M13. Killah
M14. Zombieboy
M15. The Dead Dance
M16. LoveDrug
M17. Applause
M18. Just Dance
M19. Shadow Of A Man
M20. Kill For Love
M21. Summerboy
M22. Born This Way
M23. Million Reasons
M24. Shallow
M25. Die With A Smile
M26. Always Remember Us This Way
M27. The Edge Of Glory
M28. Vanish Into You
M29. Bad Romance
M30. How Bad Do U Want Me


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