7人組グループ・なにわ男子の道枝駿佑が主演、俳優の生見愛瑠が共演する映画『君が最後に遺した歌』(3月20日公開)。歌によって結ばれ、運命に翻弄(ほんろう)されながらも一途に愛を育む男女をみずみずしく、繊細に演じている。
このほどオリコンニュースでは道枝、生見にインタビューを実施。役柄や作品に込めた想いはもちろん、自分の“居場所”や、それぞれの人生を変えた出会いについても話を聞いた。

 今作は、デビュー作『今夜、世界からこの恋が消えても』で「第26回電撃小説大賞」を受賞した作家・一条岬氏の同名小説が原作。詩作が趣味の春人(道枝)と、文字の読み書きが難しい「発達性ディスレクシア」の症状を抱える綾音(生見)による“たった10年のラブストーリー”。

■生見愛瑠、別の現場にもギターを持ち込み…共演者の目をごまかす「趣味でやってて…」

――今回、初共演ということで、お互いに共演前後で印象に変化はありましたか。お二人とも人見知りだったそうですが…。

道枝:共演前はバラエティーですごく盛り上げて笑いを取っているから、ユーモアがあって面白い人なのかなと思っていました。でも、本読みの時に全く目が合わなかったので、生見さんも僕と一緒で人見知りなんだろうなと(笑)。実際、人見知りと聞いて「あ、そうなんや」と思いましたが、話せば明るい方なので、バラエティーに出ている時の印象とはあまり変わらなかったですね。

生見:道枝さんは、完璧なイメージというか、歌もダンスもバラエティーもできて、オールマイティーなイメージ。

道枝:いやいや、バラエティーは得意じゃないですよ(笑)。

生見:でも、すごくバラエティーにも出演していらっしゃるからそのイメージがありました(笑)共演しても本当にイメージの通りだったんですけど、どこか抜けている部分、かわいらしい部分が現場で垣間見えて、そこにスタッフの皆さん含めて全員が癒やされて。
あったかくて、でもちょっと抜けた座長。それが癒やしでしたね。

――どんな時に抜けている一面を見ましたか。

生見:途中まで自分が主役って知らなかった(笑)。ダブル主演だと思っていたみたいで、そんな腰が低い座長いるんだ…と。それも素敵だなと思います。

道枝:撮影中に気づきました(笑)。

生見:撮影中に監督から言われて「俺、主演なんですか!?」って(笑)。

道枝:撮影の割と後半だったので…(笑)。

――道枝さん的にはダブル主演でも単独主演でもそこまで意識として変わることはないのでしょうか。

道枝:そうですね。主演であることには変わりがないので、しっかりやろうという気持ちでした。


――生見さんは劇中ですてきな歌を披露されていますが、歌に挑戦すると聞いた時はどんな印象を持ちましたか。

生見:1年半ほどかけて練習させていただいて、こんなに前から決まっている作品で、作品に入るまでにこんなに準備期間があることが初めてだったので、逆にとてもドキドキがありました。その期待に応えなきゃという感じだったんですけど、1年半準備してきたからこそ自信をつけたまま作品に臨めて、すごく楽しく新鮮な時間でした。

――ボイトレとギターを約1年半かけて練習されたとのことですが、なかでも大変だったことはありますか。

生見:やっぱりギターも歌もできるようになっても、それを同時に、しかも芝居を乗せなきゃいけないのが、もう難しいとも言えない、できないかもしれない…みたいな感じでした(笑)。その間にもいろんな作品をやりながら、ちゃんと毎日ギターを持ち歩いていて…。共演者の方から「何をしてるの?」と不思議がられて。でも解禁前はまだ言えないから「趣味でやってて…」みたいな(笑)。やっとみんなに言えるのでうれしかったです。

道枝:趣味で(笑)。本当に、未経験とは思えないぐらいにすごくよかったですね。路上ライブのシーンは本当に引き込まれましたし、未経験からここまで仕上げていたのがすごいなと思いました。


――ライブシーンがありましたが、普段は出演する側の道枝さんが、お客さんとして観る側を体験するのはどのような気持ちでしたか。

道枝:こう見えてるんだな、と(笑)。普段客席から見ることはありますけど、立つことの方が多いので。しかも割とステージが近い距離なので、「あ、こうやって見てくださっているんだな」というのはありましたし、割と新鮮さもありました。

――今回、生見さんは“発達性ディスレクシア”という文字認識が難しい症状を持つ女性を演じました。

生見:この作品でこの症状名を知りました。どう演じようかなと迷っていたんですけど、実際にその症状の方々とたちと何人もお会いして、皆さんがすごく明るくて、個性として捉えている方が多かったんです。だからこそ、この症状名があることにあまり重きを置かないように、考えすぎないように演じようと思いました。実際に監督からもそう言われていました。意外と役に入ってみたらそんなに難しくなく、あくまで個性として演じていました。

――お芝居をする上で、意識したことはあったのでしょうか。

生見:文字にあまり目を向けないようにとか、レコーディングしているシーンでも、歌詞は横にあるけどそこは見ない…みたいな、不思議な感覚の撮影ではありましたが、そこまで強く意識はしていなかったですね。


――実際にその方々に会ってみて発見はありましたか。

生見:皆さん意外と明るいんです。強い女性が多くて、この作品をきっかけにこの症状をもっと知ってほしい、「広めてください!」みたいな(笑)。明るい方が多くて、勇気をもらいました。

――一方で、春人はあくまで“普通”の人。とはいえ道枝さんはキラキラしたアイドル。ご自身とのギャップのある役だと思いますが、演じる上で意識したことはありましたか。

道枝:割と“普通の人になれるよね”と言っていただける機会が多くて、僕はその感覚があまり分からないのですが、意識して“普通を演じる”というのは結構難しいと思うので、おのずとそうなっていたのなら、そう見えていたのならうれしいなとは思います。春人としては、『セカコイ』の透ほど暗くなりすぎず、でも明るくなりすぎず、本当に平凡な感じを心がけました。これぐらいのテンションなのかな?と探りながらやっていたので、僕のお芝居のニュートラルな状態、何も考えず意識せずに演じていたのが春人にピタッとはまったのかなと。もちろん意識した部分もありますが、大半は自然体で、フラットに、あまり考えすぎず演じていました。

――そんな春人とご自身に共通するな、というところはありましたか。


道枝:あまり自分の気持ちを言わないところですかね。人に本音を言わないところ。

――では台本を読んでいても春人の行動や心情は理解しやすかったのでしょうか。

道枝:例えば部室に入るシーンで「言葉にできない気持ちを文字に込める人もいるんだよ」というセリフがあるんですけど、僕は文字に込めるというよりは仕事をする上で表現したりしますが、“言葉にできない気持ち”を持つ春人にはすごく共感できました。セリフを言っている時も、お芝居をしているというより勝手に体が止まって、自然と鍵を開けていた。その世界観に入れたなという記憶があります。

■道枝駿佑、三木孝浩監督からの手紙を胸に撮影「台本に挟んで現場に行きました」

――今回、春人と綾音は高校時代に出会い、大人時代も演じられています。実年齢より下の高校生から、実年齢よりも上を演じる上で時間経過をどのように作り上げましたか。

道枝:僕は綾音と出会った頃は結構動きがクイックになっているんですよ。声のトーンもちょっと高め。大人になっていくにつれて声のトーンを下げてほしいと三木さんにも言われたので、そこがすごく合っていてよかったです。撮影の順番はバラバラで、高校3年間の部室のシーンは3日間にまとめて撮影していて、この時の2人はこれくらいの距離感、というのを整理していました。


生見:綾音は逆に、コンプレックスを抱えている学生時代だったので、春人と出会うまでは暗い感じの、ちょっと孤立した存在。でも春人に出会って大人になっていくにつれ、逆に子どもに返るように演じようと原作を読んで思いました。なのでどんどん無邪気に、明るく、忘れていた青春を取り返すように笑顔が増えていくし、声のトーンも上がっていく。春人とは逆の流れで、最初は綾音が引っ張っていくけど、大人になるにつれ春人が引っ張って、それについていく。そこで自然な笑顔が出てくるような大人を演じようと考えました。

――ちなみに、お二人とも高校時代はいくつくらいまで演じたいですか。

道枝:う~ん(笑)。難しいですよね。

生見:葛藤が(笑)。

道枝:ちょっと(葛藤が)出てきたかなぐらいですけど…。

生見:全然大丈夫じゃないですか。私はもう何も考えていない。「いいんですか?逆にありがたい!」みたいな感覚です(笑)。

――お互いに刺激を受けたシーンやお芝居はありましたか。

道枝:部室のシーンで、入口からソファの定位置に座る綾音が逆光に照らし出される姿を見て、ミステリアスで儚(はかな)くて、綾音の雰囲気に合っているなと印象に残りました。

生見:先ほどの「言葉にできない思いを文字に込める人もいる」というセリフもそうですが、いかにもセリフっぽくなってしまいそうなものもナチュラルに言ってくださっていた。台本を読んで、自分だったら言うのが難しいだろうなと感じたセリフを、動きも踏まえて演じられていたのですごく刺さりましたね。

――三木監督とはどのようなやり取りをされましたか。監督ならではの印象に残った演出などがあれば教えてください。

道枝:本読みの時にお手紙をいただきました。「素直な気持ちで春人を演じてくれればうれしいです」と書いてくださっていたので、すごくそれを大事にして、撮影中もたまに読み返しながら台本に挟んで現場に行きました。現場では、例えば部室のシーンで「ここは立った方が良いですかね」「ここは座って言った方が良いのかな?」とか、3人で話し合いながらできました。

生見:クランクインするまでも、歌やギターの練習の段階でもずっと付き添ってくださっていたので、いろんな打ち合わせや擦り合わせをして、本当に細かい部分まで教えてくださいました。でも意外とお芝居は「1回やってみて」という感じで委ねてくださるので、すごくやりやすかったです。本当に小さな仕草も見逃さないでいてくれて、「今のは綾音っぽいからもう1回やってみて」と繊細に見てくださる監督でした。

――生見さんも、三木監督からお手紙をいただいたんですか。

生見:いただきました。曲の練習をして歌詞を何回も聞いていると慣れてきてしまうのですが、監督の手紙を読み返して新鮮な気持ちになって、気持ちを入れ替えていました。

――そこにはどんなことが書いてあったのでしょうか。

生見:「春人と綾音で音楽のような芝居をしてほしい」。その意味が最初はよく分からなかったんですけど、終わってからやっと「ああ、ああいうことで良かったんだな」と思えました。

■道枝駿佑&生見愛瑠の人生を変えた“憧れの人”の存在

――春人と綾音が2人で歌を作り、曲を作っていく工程が、2人の居場所を作っていくことともリンクしているように受け取りました。お二人が毎日忙しい日々を過ごされているなかで、自分自身に戻れる場所、リセットできるような大切な時間、空間はありますか。

道枝:僕はいくつかあって。まずベッドの上。そこで携帯で漫画を読むのが好きです。あとは車を運転するのがすごく好きなので、ドライブしている時間。あとは愛犬に会う時間もすごく好きです。愛犬に顔を近づけて口の周りの匂いをかいだりとかしちゃいます。「ただいま~」「いってくるね~」とか。大きい子と小さい子の2匹いるんですけど、大きい子はすごく通じているなという感じです。小さい子はそんなに…僕のことがあまり好きじゃないのかも(笑)。

生見:私は地元の友達に会うときですね。東京にもたまに来てくれるんですけど、自分から地元に行って友達と何も考えずに遊んでいる時が一番素に戻れるし、リセットしてまた頑張ろうって思います。今回、撮影でも愛知に行ったんですが、やっぱり好きな場所ですね。落ち着きます。友達に会うと方言が出てしまって、次の日に仕事でなまりを指摘されるくらいです(笑)。友達が東京に来てくれるときは、どこに行くとかでもなく、ただただ数時間しゃべってバイバイ。私が大変そうにしていると、みんなで会いに来てくれるんです。仕事のことも聞いてこないし、プライベートも聞いてこないし、何も聞いてこないけど、ただただ話す。それが幸せ。私がいろんなテレビで東京に友達がいないって言っているのを知っているので、心配して来てくれるんですよ。

――互いとの出会いが大きく人生を変える春人と綾音ですが、お二人がこれまで生きてきて、人生を大きく変えた出会いはありましたか。

道枝:僕は山田涼介くんです。山田くんがいなかったら、『金田一少年の事件簿』を観ていなかったら、多分、芸能界には入っていないと思います。元々アイドルというものに興味はあったんですが、「この人みたいになりたい!」と思ったのは山田くんでした。今も変わらず人生を変えてくれた人です。

――今は後輩にとって道枝さんがそういった存在になっているかもしれないですね。

道枝:そうなのかな?そう言ってくれる子たちはいっぱいいるので、山田くんが僕に見せてくださった背中のように、自分もちゃんと大きい背中を見せていけたらいいなと思います。

――生見さんはいかがですか。

生見:私は最初に安室奈美恵さんに「かわいいな」と憧れて、それをきっかけにダンススクールに通って、今の事務所の人にスカウトされたので、安室奈美恵さんです。お仕事で絶対に会いたいと思っていたけど、なかなか会えなさそうなので残念です。だから今こうして音楽でお仕事できているのはすごいなと思いました。やらないことだと思っていたので、すごくありがたいです。

――撮影の時に安室さんの曲を聞き直したりしましたか。

生見:もう毎日のように聞いています。「HERO」とかも大好きなので、いまだに聞いていますね。安室さんに出会えなかったら、こういった芸能界のお仕事を知ることはなかったし、別の世界だったと思います。
編集部おすすめ