シリーズ第7部となる同作は、19世紀末のアメリカが舞台で、史上初の乗馬による北米大陸横断レースを描いた物語。
――今作では大陸横断レースが繰り広げられます。映像の表現としては、どのような演出を取り入れていますか?
木村 今回はアメリカを横断するロードムービーでもあるので、旅情を大事にしています。『黄金の風』でも少し感じたのですが、『ジョジョ』シリーズは旅の途中で食事をしている場面が意外と少ないんです。食事をしようとすると、だいたい敵に襲われてしまう(笑)。だから今回は、野営をしたり、料理や食事をしたりするシーンを、原作にない場合でもなるべく入れたいと考えました。旅の空気をきちんと出したいので。
美術としても建物のある場所もあれば、何もない荒野もある。その広大さを感じてもらえる背景づくりを意識しています。地域ごとに変わる画面の印象を楽しんでいただきたいですね。
――1890年代のアメリカを描くうえで、資料探しに難航されたとうかがいました。
木村 かなり大変でした。日本では資料がほとんど手に入らず、ネットにも十分な情報がないので、時代考証の先生に入っていただいています。服装や風俗、食事、建物……当時存在していたものと、存在していないものを調べる必要がありました。しかも、日本には西部時代の専門家がほとんどいらっしゃらないんです。それで、アメリカ史を研究されている西川秀和先生に監修をお願いしています。
――「1st STAGE」で特にこだわったポイントはどこでしょうか?
木村 『SBR』がレースの物語であること、ですね。疾走感や実況の入れ方など、レースの雰囲気をどう出すかを詰めていきました。特にレース後半は力が入っています。
――乗馬のレースということで、馬はどのように表現されようと考えましたか?
木村 馬は最初の大きな関門でしたね。僕の仕事は、クオリティの高い馬を描くことではなく、作品全体を通して品質を落とさずに走り切れる馬の作画システムを作ることでした。もし、「1st STAGE」だけのアニメ化ならもっと高クオリティも狙えたと思います。
――馬に関して、何か参考にしたものなどはあるのでしょうか?
木村 乗馬を体験したのですが、意外と背中が三角で、目線も高くて不安定なんだなと知りました。こんなものに乗ってアメリカを横断するなんておかしいよ!と(笑)。
――ははは(笑)。
木村 ただ、アニメとしてはリアルな馬をそのまま再現しているわけではありません。馬の走り方はたくさん勉強しましたが、調べれば調べるほど複雑で……。そのまま再現するなんて到底できないので、要素をそぎ落として『SBR』用の走りを追求しました。『SBR』全体で馬は5000カット以上を想定しているので、すべてを手描きでまかなうのは現実的ではありません。コストや人員も含めて計算し、どこまでクオリティを保てるかを考えて設計しています。
――3DCGと手描きは、どのように使い分けているのでしょうか?
木村 基本的には馬が足先まで映るときは3DCGが多いです。ただ、キャラクターが映る特定の角度は作画で対応しています。必要なカットだけ作画にして、それ以外を3DCGにすることで負担を調整しています。
――ジャイロの鉄球の表現が気になっている原作ファンも多いと思います。
木村 鉄球は作画と3DCGを使い分け、「1st STAGE」では波紋の表現も取り入れています。これは原作にはない、アニメオリジナルの要素ですね。過去のシリーズとのつながりを持たせたいという意図がありました。完全に波紋そのものではありませんが、音も波紋っぽさが入っていると思います。その一方で、鉄球らしい質感も出そうとしていて、音響効果の小山(恭正)さんは回転音をどう作るか、かなり悩まれていました。実際に鉄球を買って、生音も録っていたみたいです(笑)。
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