本作は、外務省医務官を経て、現在も在宅訪問医として活躍する久坂部羊のデビュー作を原作にした衝撃作。「映像化は絶対不可能」とも言われた問題作が、ついに映画化される。
主人公は、医療の限界を超えようとする医師・漆原糾。理想を追い求めるあまり、合理性と狂気の狭間へと踏み込んでいく人物を、染谷が体現する。共演には、編集者役の北村有起哉、患者役の六平直政、妻役の瀧内公美らが名を連ねる。
監督・脚本は吉田光希。原作と出会ってから約20年にわたり温め続けてきた企画で、国際映画祭でも評価されてきたキャリアの集大成ともいえる作品だ。
解禁された本予告は、漆原が穏やかな笑みを浮かべながら「切断」と口にする衝撃的なシーンから幕を開ける。彼が提唱するのは、介護負担軽減のために高齢者の“不要な手足”を切り落とすという治療法「Aケア」。患者たちは「憑き物が取れたみたいに体も心も軽くなった」「ここだけ若返ったみたい」と、どこか晴れやかな表情を浮かべる。
さらに、「Aケア」の書籍化を持ちかける編集者・矢倉(北村有起哉)は、「本当に革命が起こるかもしれません」と期待をにじませるが、ある出来事をきっかけに状況は一変する。
「なんか恐ろしい気がしてしまって」と不安を口にする看護師、「こんな姿になるなんて、思ってなかった」と声を震わせて訴える患者家族。次第に変化していく周囲の空気が映し出される中、物語は予測不能な展開へ。不穏な踏切の音とともに、漆原の虚ろな表情で映像は途切れ、強烈な余韻を残す構成となっている。
あわせて公開された場面写真では、歪んだ枯れ木を抱えた漆原の不気味な姿や、患者に寄り添う場面、執筆に没頭する姿など、多面的な表情が切り取られている。 踏切の前に佇む漆原の空虚なまなざしは、言い知れぬ胸騒ぎを呼び起こす。また、妻・菊子や看護師・内野(中井友望)の不安げな様子も、物語に漂う不穏さを際立たせている。
“画期的な医療”か、それとも“倫理を逸脱した狂気”か。現実と地続きのテーマを突きつける本作は、観る者に強烈な問いを投げかける問題作となりそうだ。
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