舞台は1930年代のシカゴ。自らを創造した博士の名前を借り“フランケンシュタイン”と名乗って生きてきた怪物は、人々に忌み嫌われ誰とも心を通わせられない孤独に耐えきれなくなっていた。そこで、フランケンシュタインは、高名な研究者・ユーフォロニウス博士に「伴侶を創ってほしい」と依頼。墓から掘り起こした女性の遺体を花嫁ブライドとしてよみがえらせる。
やがて、とある事件をきっかけに2人は追われる身となるが、不条理で腐った世界への怒りをぶち撒けるブライドの姿は抑圧された人々の感情を揺さぶり、社会全体に波紋を広げていく。
主演は、クロエ・ジャオ監督最新作『ハムネット』(2025年)で「第98回アカデミー賞」主演女優賞に輝いたジェシー・バックリーと、『ザ・ファイター』(2010年)で「第83回アカデミー賞」助演男優賞を受賞したクリスチャン・ベール。
100年もの孤独を抱える怪物という難役に挑んだベールは、感情の高ぶりを表現するため、撮影現場で日常的に絶叫。声をハスキーにするため、あえて叫び続けて声を枯らすという徹底ぶりを見せた。
さらに驚くべきは特殊メイクの工程だ。フランケンシュタインの外見を作り上げるため、全身に最大25ピース(顔・頭部だけで11ピース)ものパーツを装着。毎回2時間半、最長で7時間以上を要したという。長時間のメイクを経て撮影に臨んだベールは、そのエネルギーを解放するかのように叫び、やがてスタッフも次々と叫び始め、現場は“合唱”のような熱量に包まれたという。
この体験についてベールは「最高だったよ」と振り返り、「原始的な叫びをしなければならなかった。それがフランクに変化するための良い習慣になったんだ」と語る。マギー・ギレンホール監督との綿密な議論を重ね、約1年をかけてキャラクター造形を完成させたことも明かし、人間らしさを失わずに、怪物としての説得力を持たせるバランスにこだわったという。
また、「フランケンシュタインの怪物は数えきれないほど映像化されているので、本当にたくさんのバージョンを観たんだ。多すぎて全部は追いきれないくらい。さまざまな要素を組み合わせて、フランケンシュタインをより人間的に解釈した人物像を作り上げた」と語っている。
本作については「これはまさにジェットコースターのような映画。自分たちは何者なのかを問う物語であり、天に向かって叫ぶ物語。勢いと興奮に満ち、巨大なスケールで撮られながらも親密さを持ち、怪物的でありながら同時に人間的でもある。そしてこれは劇場で観るべき作品だと思う。音響、暗転、これから壮大な旅に出るというあの感覚。リビングルームでは決して再現できない体験だ」と自信をのぞかせた。
愛と破壊の衝動に突き動かされる2人の逃避行は、やがて社会をも揺るがす。既存の枠組みを打ち破る挑発的な物語と、俳優陣の圧倒的な熱量が融合した本作。観客は劇場で、その“叫び”を体感することになりそうだ。
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