1996年の結成から今年で30周年を迎えるASIAN KUNG-FU GENERATIONの、30周年イヤーの開幕を告げるアニバーサリーライブ『Thirty Revolutions』。開演前からソールドアウトの満場の客席を満たしていた熱気と期待感が、バンド全史を代表するアンセムの数々と響き合い、超弩級のロック祝祭空間を生み出していた。
音楽とともに旅から旅へと渡り歩くライブバンドとしてのASIAN KUNG-FU GENERATIONの在り方を象徴するように、レトロなキャンピングカーが並ぶパーキングの如き舞台装飾が施されたステージ。場内が暗転する中、“新世紀のラブソング”のイントロが流れ、広大なアリーナ狭しと高らかな歓声が湧き起こっていく。
そこへ後藤正文(Vo&Gt)・喜多建介(Gt&Vo)、山田貴洋(Ba&Vo)、伊地知潔(Dr)の4人にサポートメンバーのAchico(Cho/from Ropes)、George(Key/from Mop of Head)を加えた6人が登場、シリアスな時代に向き合う想いをロックに託した“新世紀のラブソング”が、会場を強烈な一体感で包んでいった。
さらに「アフターダーク」「エンパシー」と楽曲を畳み掛けると、有明アリーナは早くも序盤にして歓喜のレッドゾーンへと突入している。「横浜で結成して30年、ここまでバンドが続いてきたことを幸せに思いますし。いろんな時期がありましたけども、こうやって一番上までたくさんの人に囲まれて演奏できることを、幸せに思います」…万感の想いで語る後藤の言葉に、熱い拍手喝采が広がる。
「すべての人が幸せでありますように」と願いを込めて響かせた「ライフ イズ ビューティフル」に続けて、人気曲「ソラニン」のイントロが響くと、オーディエンスの歓声がひときわ熱量を増し、アリーナが高らかな歌声で満たされていく。さらに「ブルートレイン」「君の街まで」「君という花」と人気曲が惜しげもなく連射される展開に、客席のクラップとシンガロングは高まる一方だ。そんな客席の様子を目の当たりにして、「ASIAN KUNG-FU GENERATIONのライブには、楽しみ方の決まりはないんで。自由に、自分らしく、誰の真似もしなくていいんだよ。
「30年のキャリア──レコードを出してからは23年ぐらいかな? でも、音楽なんて、いつ好きになってもいいと思うんだ。一回離れて戻ってきてもいいし。“今回のアルバムすごくよかった”みたいな感じで、みんなと毎回、毎曲、出会い直せたら嬉しいなと思ってる」。そんなシンプルで揺るぎない後藤の言葉が、ASIAN KUNG-FU GENERATIONが時代を超えて愛され続けてきた理由を克明に伝えていた。
「今日ここに居合わせてくれている人たちに伝えたい言葉は“やあ”じゃなくて“おかえり”」という後藤のコールに続けて、静岡県藤枝市にオープンした滞在型音楽スタジオ「MUSIC inn Fujieda」でレコーディングされた『フジエダ EP』から「おかえりジョニー」を披露。「俺たちも、その辺の街中にいたら、いい曲いっぱい書けてたかって言ったら、そうじゃなくて。いい機材とか、いいスペースとか、いいエンジニアとかに出会うことによって、少しずつ扉が開いていく感じがあったから」。「出町柳パラレルユニバース」で観客の歌声と共鳴したあと、後藤が「誰にも見つけてもらえなかった時代」を振り返りつつ、「出会い」の重要性についてしみじみと語る。「ありのままですごい人なんてほとんどいない。ある程度、環境とか機会とか、そういうものと巡り会って、初めてその人の可能性とか才能が開いていけるから」。自身が中心となって『MUSIC inn Fujieda』を開設するに至った背景を語る後藤の言葉からも、音楽への惜しみない愛と信頼が窺えた。
サポートのAchico&Georgeが一時退場、舞台にはメンバー4人だけが残った。石川・能登の木材で新たに作ったという、インディーズ時代を彷彿(ほうふつ)とさせるギブソン・マローダータイプのギターを構えた後藤。そして、山田の力強いベースイントロに導かれての「遥か彼方」から、「羅針盤」「Hold me tight」とメジャーデビュー前からのライブアンセムを次々に繰り出していく。
さらに、「まだ全然歌いたいこともやりたいこともわかってなくて、誰にも見つけてもらえなくて、ただ鬱屈としてた時代の歌──30周年のステージに相応しいかはわからないけど、当時の俺たちの鬱屈を、みんなと一緒に成仏させたい」と演奏したのは「サンデイ」。「君を深く突き刺してしまった」から始まるシビアな歌と、格段にパワフルに磨き上げられたバンドアンサンブルが、30年の重さと強さを如実に物語っていた。レーザー光線の雪景色と切実なミディアムバラードがせめぎ合う「粉雪」。喜多がボーカルを取り、客席一面のハンドウェーブを呼び起こした「嘘とワンダーランド」、1曲また1曲と進むたびに、会場の高揚感が刻一刻と増幅されていくのがわかる。
ここで再び6人編成に戻ったところで、「世界中にはいろんな暮らし方の違い、考え方の違いがあるけど、俺たちの音楽で少しずつ、シェアできるものを増やしていって──この道路はきっと、みんなが暮らしてる道路のどこかに繋がってると思ってるから。そんなことを考えて組んだステージです」と今回の舞台セットについて後藤が語る。「音楽の可能性っていうのは、鳴らした音楽のメッセージが世界を直接変えたりすることではなくて。考え方の合わない奴とか、生まれた場所も全部違う誰かと、短い人生のこの時間をシェアできること──“どこか似たところがあるんだ”って実感できることだと思う。そういう方が、音楽の本当の力なんじゃないかなと思います。
そして、3日に配信リリースされたばかりの最新楽曲「スキンズ」。「止めろ/僕らの 傷だらけの/日々も歴史も書き留めて/敵も味方も この星の上/今のあなたを/ただ抱きしめていたい」――舞台上のLEDビジョンには、切迫したリリックとともに「NO WAR」の文字が映し出され、観る者すべての心を揺さぶっていった。
終盤は「センスレス」から「Standard/スタンダード」、さらに「Re:Re:」へ。熱気あふれるアリーナはさらなるクライマックスへと昇り詰めていく。大歓声を受けて鳴りわたった「リライト」では熱いコール&レスポンスに続き、ラストのサビを委ねる後藤に応えて観客の割れんばかりの大合唱が突き上がる。満場のシンガロングとクラップとともに弾けた「荒野を歩け」に続き、ロックバラード「ボーイズ&ガールズ」の「まだ はじまったばかり/We've got nothing」のフレーズが、バンドの「これから」への冒険心そのものとして響いた。
アンコールでは、20年前=2006年にリリースした3rdアルバム『ファンクラブ』を完全再現するライブハウスツアー『ASIAN KUNG-FU GENERATION Tour 2026 "Midage Fanclub”』を開催することを告げると、場内からはさらなる歓喜の声が湧き上がる。「30周年のタイミングで、こんなにたくさんの人が居合わせてくれて。この後またライブハウスを回って、いろんな人に会えるかと思うと、本当に嬉しくて。
ASIAN KUNG-FU GENERATIONは4月にインドネシア・ジャカルタ公演、6月~7月の中南米ツアーを行ったあと、10月~11月には仙台GIGSとZeppを巡る6会場12公演のライブハウスツアー『ASIAN KUNG-FU GENERATION Tour 2026 "Midage Fanclub”』を開催。さらに、来年1月~3月には19都市21公演におよぶホールツアー、同4月には兵庫・GLION ARENA KOBE/神奈川・ぴあアリーナMMを巡るアリーナツアーも開催されることが決定している。
■セットリスト
01.新世紀のラブソング
02.アフターダーク
03.エンパシー
04.ライフ イズ ビューティフル
05.ソラニン
06.ブルートレイン
07.君の街まで
08.君という花
09.おかえりジョニー
10.出町柳パラレルユニバース
11.遥か彼方
12.羅針盤
13.Hold me tight
14.サンデイ
15.粉雪
16.嘘とワンダーランド
17.さよならロストジェネレイション
18.転がる岩、君に朝が降る
19.スキンズ
20.センスレス
21.Standard / スタンダード
22.Re:Re:
23.リライト
24.荒野を歩け
25.ボーイズ&ガールズ
En1.今を生きて
En2.MAKUAKE


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