本作は、本日(6月12日)より東京・新宿ピカデリー、ユーロスペースほか全国で公開。劇場公開初日に朗報が飛び込んできた。
ニューヨーク、マンハッタンで開催されている同映画祭は、俳優のロバート・デ・ニーロらが2002年、“9.11からの復興”を目的に創設した北米を代表するインディペンデント映画祭の一つ。、サンダンス映画祭と並び、新たな才能の登竜門として知られている。今年のインターナショナル・コンペティション部門には世界各国から12作品が選出され、日本映画としては『メモリィズ』のみが出品されていた。過去には、福永壮志監督の『アイヌモシリ』が同部門に長編日本映画として初出品され、審査員特別賞を受賞している。
審査員は受賞理由について、「小さくも精緻な物語を鮮やかに語りながら、構造やリズム、語りの声において果敢な挑戦を重ね、映画ならではの豊かさと広がりを表現している。現代的でありながら決して陳腐さに陥ることなく、私たちを物事の核心へと導いてくれる、長く心に残る作品」と高く評価した。
受賞した坂西監督は、京都芸術大学在学中に映画制作を始め、卒業後は石井裕也監督の助監督や土井裕泰監督作品のメイキングカメラマンとして経験を積んできた。本作が長編デビュー作となる。
受賞を受け、坂西監督は「賞をいただけて、すごくうれしいです。初めて撮った映画が受賞できたことで、とても勇気をもらえました」と喜びをコメント。
同映画祭での上映後、「映画を見てくれた方が、『感動した』『ビューティフルだった』と声をかけてくれました。泣きながら感想を伝えてくださった方もいて、僕は英語は話せませんが、映画を通してコミュニケーションができたことが本当にうれしかったです」と振り返り、「今日から日本での公開が始まるその朝に、こんなに良いニュースがあって幸せです」と感謝を語った。
映画は、家族の記憶と記録を静かに見つめるヒューマンドラマ。主人公・雄太(柄本)は、骨折した義父の世話をするため九州の田舎町を訪れる。義父が営む写真館を手伝いながら、東京にいる妻や娘とスマートフォンの映像を通じて交流を続ける日々の中で、家族が積み重ねてきた時間や記憶が浮かび上がっていく。
妻・ゆき役を穂志もえか、義父・誠役をイッセー尾形、そして家族の大切な記憶を象徴する存在として香椎由宇が出演する。
あわせてメイキング写真も解禁された。公開されたのは、主人公・雄太を演じる柄本と、義父・誠役のイッセーが撮影の合間に言葉を交わす様子や、物語のクライマックスを彩る“野焼き”のシーン、さらに柄本が馬と触れ合う姿など、大分県竹田市の豊かな自然の中で行われた撮影の裏側を捉えたカットの数々。
“野焼き”のシーンは、一発勝負で撮影されたという。風向きや炎の広がりなど自然条件が重なって初めて成立した撮影だった。メインキャストの後ろで炎が一気に燃え広がる印象的なバックショットは、まさに奇跡的な瞬間を捉えた貴重なカットとなっている。
さらに、本作の空気感を語るうえで欠かせない存在が、劇中に登場する馬や犬のコムギ(ハナ)。
柄本は「この映画は動物や火、ひいては空気感のような、“自然”に身を委ねながら撮っていた感覚があります。撮影が思うように進まない時も、大らかに現場にいようと思っていました。(僕が演じた)雄太という人物もどこか天然なところがあって、それもつながっている気がします」と振り返っている。
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