徐々に流通量が増えてきたNintendo Switch2。入手後、「まるごと転送」機能を利用したことで、もともと持っていたNintendo Switchを使わなくなったという方も多いのではないでしょうか。
不要になったSwitchについて、中古ショップへ売りに行ったり、フリマサイトに出品したりと様々な方法が考えられるなか、Xユーザー・なつさんが辿り着いたのは「児童養護施設に寄贈する」でした。
■ Switch2の「まるごと転送」を用いると、もともとあったSwitchを持て余してしまう
Switch2には、本体の初回起動時のみ利用することができる「まるごと転送」という機能があります。
こちらはもともと持っていたNintendo Switchのセーブデータや各種設定を、ローカル通信で“まるごと”Switch2へと引き継ぐことができる機能。
ボタンの割り当てや、言語・地域・日付と時刻の設定など、一部引き継ぐことができないデータはあるものの、慣れ親しんだ自身のSwitchとほぼ同じ環境のままSwitch2を始めることができる、非常に便利な機能です。
この「まるごと転送」を使用した後のSwitchは、もちろんSwitchとしての機能を保持しているため、遊ぶうえではまったく問題ありません。しかし、一部ソフトを除いて原則下位互換可能なSwitch2が手元にあり、そこにSwitchのデータが引き継がれてしまっている以上、不要になるケースも少なくありません。
その状況に着目し、「この不要になったSwitchを活かすことはできないか」と考えたのが、ゲームのリアルタイムアタックを行うイベント「RTA in Japan Summer 2025」にて、「悠遠物語 ~空の大陸とアイテム屋さん~」の解説を担当する、Xユーザーのなつさんです。

自身ののnoteに「こんなにも大規模にSwitch1本体が世間で持て余されるタイミングは後にも先にもないはず」という考えをつづったなつさん。
かねて頭の片隅にあった「児童養護施設の子どもたちに何か寄贈をしたい」という気持ちと、自身が生きがいとしている「人にゲームを布教したい」という気持ちが合致。
自分も子どもたちもどちらにも喜びがある「不要になった手元のSwitchを児童養護施設に寄贈する」というアイデアを思いついたとのことです。
■ なつさんが実際に施設に連絡を取って分かった、子どもたちの遊びの格差
実際になつさんは施設に寄贈してよいかどうかの連絡を取り、その結果をXに投稿しました。

なつさんが投稿に添付した施設からの返信メールのスクリーンショットには「近年の猛暑により室内で過ごす機会も増え、ゲームを楽しむ子も多くおります」とあり、Switchを所持する子どもが増えているという施設の事情が綴られています。
一方で「保護者の金銭的事情や、保護者のいない児童においては購入が難しく」と、施設内で遊びの選択肢に格差が生まれがちであることにも言及。
また一時的に来所する子どもたちについても「持ち込みの制限や破損のリスクからゲーム機を持参できないことも多く、遊びに参加できず寂しさを感じる場面もございます」と、やはりここにも心苦しい事情があることが明かされています。
そのうえで施設は、なつさんの申し出に感謝を述べ「所持していない児童や短期利用の児童への貸出用として、丁寧に管理・活用させていただきたく存じます」としています。
施設からの好意的な反応を受け、なつさんは「もちろん嬉しかったですね!不要と言われる可能性、ご迷惑をおかけしてしまう可能性、色々考えていましたから」と喜びを語りました。
なつさんの投稿はXで少しずつ拡散され続けており、引用欄には「メルカリで売ろうかと思ってたけど寄付しちゃうのアリだなー」「良いこと知れた」「自分もSwitch2手に入れたら寄付検討しようかな」と賛同の声が集まっています。
■ 寄贈を考えるなら、必ず事前に相談と確認を
一方でなつさんは、投稿が拡散されることで生じる施設側の負担を危惧。Xに「※寄贈をご検討の際は迷惑にならないようまず施設へご相談ください」と記載しました。
実際、善意から寄贈を申し出ても、「突然の送付」や「使用条件・管理方針が不明なまま届く物品」は、施設にとって大きな負担になる場合もあります。
また、一度に多量の寄贈が集中した場合、保管や運用の体制が整わず、本来の業務に支障が出てしまう可能性も考えられます。
寄贈を希望する場合は、必ず事前に施設や団体に連絡を取り、ニーズや条件を確認したうえで行動することが大切です。こうした配慮が、寄贈を受け取る側・贈る側の双方にとって心地よい形につながります。
記者の取材に対してなつさんは改めて、「ご相談の際は必ず該当施設のホームページ等をご参照の上、Switchが寄贈対象外項目に指定されていないことをご確認ください」とコメント。
それを踏まえたうえで「移行により余っているSwitchを寄贈するという選択肢をみなさんに知ってもらえれば、子どもたちの間の格差を全国的に減らす契機になるのではないかと考えました」とし、不要になったSwitchの寄贈を「ぜひご検討ください」と呼びかけました。
なお、ちょうど記者が取材した日に梱包材を手に入れたなつさん。自身のSwitchに関しては「明日発送を行います!」と話しています。
Switch2へのまるごと転送により不要となったお古のSwitchを児童養護施設に寄贈したい!というわけで連絡を取ってみたところ以下の返信を頂けました。
Switchなら単体で遊べて何台あっても困らないはずという見立てが大きく外れてはいなそうで安心しました。
多くの方が施設の実情を知る機会になれば。 pic.twitter.com/ts3Pgj2zc9
— なつ (@kanitabetai666) July 23, 2025
<記事化協力>
なつさん(@kanitabetai666)
なつさんのnote記事「Switch2へのまるごと転送により不要となったお古のSwitchを児童養護施設に寄贈したい!」(7月24日公開)
(ヨシクラミク)
Publisher By おたくま経済新聞 | Edited By YoshikuraMiku | 記事元URL https://otakuma.net/archives/2025072801.html