26年前にリリースされたMMORPG「Dark Ages」をご存じでしょうか。1999年にサービスを開始し、当時はプレイヤー主導で経済や政治、宗教までもが動くという斬新な仕組みで話題を呼びました。
ところが年月とともに人口は減少し、ここ10年以上は「過疎ゲー」「死んだゲーム」「限界集落」と呼ばれる存在に。
……にもかかわらず、サーバーは今も細々と稼働を続けていました。
そんなタイトルをたったひとりのYouTuberが30日間プレイして動画にまとめたところ、予想外の展開に。なんと人が集まり、復活してしまったのです。
■ 「誰もいない世界」に飛び込んだひとりのYouTuber
挑戦したのはYouTuberのBindさん。月額9.95ドルを支払い、勇気を出してログインした「Dark Ages」の世界は、やはり閑散としていたもよう。

初日から「誰もいない……」と歩き回るものの、やはり人影はなく……。ところが数時間後、偶然出会ったベテランプレイヤーに助けられ、さらにギルドに加入。少しずつコミュニティとの交流が始まっていきます。

過疎の極みにあったゲームでは、新規プレイヤーの登場はビッグニュース。ベテランたちはこぞって装備を渡し、ダンジョンに同行し、初心者を全力で歓迎しました。
さらに噂はコミュニティ全体へ広がり、レンジャー(ゲーム内警察役)から案内を受けたり、歴史を物語る銅像に出会ったり。時には宗教イベントに参加し、プレイヤー同士で「ミサ」を開くという体験まで。

気づけばBindさんは「30日間でマスター昇格」という大目標に挑み、かつての伝統に倣いパーティーを開催。多くのプレイヤーに盛大に祝福されるまでになっていました。

■ 動画が呼び起こした“奇跡の復活”
この30日間をまとめた動画 「I Spent 30 Days in a Dead MMO (and it was amazing)」 が公開されると、状況は一変。再生数は 350万回超 に達し、限界集落と化していた街に人が戻ってきたのです。

続編動画では「復活前と後」を比較する映像も披露。がらんどうだった広場が、プレイヤーであふれる姿へと変わっていました。
運営元の「Kru Interactive」も、この盛り上がりに呼応。序盤の遊びやすさ改善、ショップの補充、イベント開催など小さな修正を重ねながら、動画のコメント欄で次のように感謝を表明しました。
「あなたが消えかけていた炎に再び息を吹き込み、いまはかつてないほど激しく燃えている。コミュニティの間では、あなたを讃えるゲーム内トリビュートを望む声もあります。あなたは本物の炎を灯し、このゲームの魂を蘇らせたのです」
もちろん課題も残されています。エンドコンテンツにおける「ボット依存」問題や、少人数ゆえの運営不信など。
中には「15年前に遊んでいた友人と動画をきっかけに再会した」という感動的な手紙も寄せられ、コミュニティは一気に活気を取り戻したのです。

ネットやゲームの移り変わりが激しい現代にあっても生き残り、そして再び注目を浴びることとなった「Dark Ages」。26年の時を経て復活した「Dark Ages」は、古き良きMMORPGの魂を今に伝える存在となっています。
「ゲームは何をするかではなく、誰と一緒にするかだ」というBindさんの言葉通り、プレイヤー同士のつながりこそがMMOの原点であり、最大の魅力。MMORPGの歴史においても、プレイヤーコミュニティの力がゲームを蘇らせる稀有な出来事として記録されることになるでしょう。
<参考・引用>
Youtube「Bind」
Dark Ages
(山口弘剛)
Publisher By おたくま経済新聞 | Edited By 山口 弘剛 | 記事元URL https://otakuma.net/archives/2025091603.html