ニュースなどでよく耳にする生成人工知能 (生成AI)。大量のデータを学習させることにより、さまざまなコンテンツを新たに生み出すのが特徴だ。

業務効率化などの理由で、ビジネスシーンでの利用も増えつつあるというが、実際はどのように活用され、どのような点が問題視されているのだろうか。アンケート調査の結果を見てみよう。

生成AIのビジネス利用 活用方法は「文章要約」、目的は「業務効率の向上」が最多

ビジネスでの生成AI活用への依存度は56.0%、文章要約・メ...の画像はこちら >>

(「MMD研究所」調べ)

ビジネスでの生成AI活用への依存度は56.0%、文章要約・メール文章作成などが最多
ビジネスで生成AIを活用する目的は?

生成AIは議事録作成や校正チェックなどにも利用可能で、活用できる幅が広い(「MMD研究所」調べ)

株式会社MMDLaboは2024年4月24日から26日まで、ビジネスでの生成AI活用経験者402人に対して「生成AIのビジネス活用に関する調査」を実施。その結果を公表した。

生成AIの活用方法としてもっとも多かったのは「文章要約」60.4%。次いで「情報収集」60.2%、「メール文章作成」「翻訳」が59.7%だった。また、半数以上が音声を文章化する「書き起こし」や「議事録作成」のほか、「画像作成」にも生成AIを活用したことがあると回答している。

また、生成AIを活用する目的を聞くと「業務効率の向上」が56.5%と最多で「作成物の精度向上」41.0%、「人件費などのコスト削減」29.9%という声が続いた。少子化が進み人手不足が深刻化しつつある昨今の状況を踏まえると、業務効率化とコスト削減を同時に実現することができる生成AIの導入は今後ますます広がっていくだろう。

生成AI活用における各職場でのルールや規則

ビジネスでの生成AI活用への依存度は56.0%、文章要約・メール文章作成などが最多
生成AIに関する職場の活用推進度と自身の職場での活用度

回答者の職場によって、活用推進度がかなり違うようだ(「MMD研究所」調べ)

次に、調査の回答者に「生成AIに関する職場の活用推進度」と「自身の職場での活用度」についてそれぞれ10点満点で評価してもらった。すると、職場での活用推進度は5点、自身の職場での活用度は8点とする声がもっとも多かった。これらの結果から、生成AIを活用したいと考えている人は多いものの、実際には活用できていないギャップが浮き彫りに。

ビジネスでの生成AI活用への依存度は56.0%、文章要約・メール文章作成などが最多
生成AI活用における職場でのルールや規則の内容は?

入力する情報によっては、情報漏洩する危険性がある(「MMD研究所」調べ)

ビジネスシーンでの活用が進まない要因として「生成AIをどこまで信用すべきか」といった不安や、「そもそも使い方がわからない」という人が一定数いるということも考えられる。

実際に「生成AI活用における職場でのルールや規則がある」と回答した人にその内容を確認したところ、「顧客や従業員の個人情報を入力しない」(39.7%)、「データに偏りがないようにする」(38.8%)、「会社の機密情報を入力しない」(38.5%)という回答が上位を占めていることが判明した。

入力した情報は生成AIの学習材料として活用されるため、その情報が別の回答に利用されてしまう可能性がある。そのため、個人情報や機密情報など、外部に漏れてはいけない情報が流出するというリスクがあるのも事実だ。また、学習させる内容により、出力されるデータなどに偏りや誤った情報が含まれる可能性も否定できないことから、企業側としては慎重にならざるを得ないというのが本音だろう。

欧州連合(EU)の立法機関である欧州議会は2024年5月に人工知能(AI)規制法案を承認し同法を成立するなど、その活用ルールについて公的に規制する動きが世界でも見られ始めている。今回の調査では「今後日本で生成AIがビジネスで活用されていくにあたり、法規制が必要だと思いますか」という設問に対し、「必要性がある」と回答したのは95.0%にものぼっている。

日本でも経済産業省が2024年4月に「AI事業者ガイドライン(第1.0版)」を取りまとめるなど、ルール策定が進みつつある。今後の行方を見守りたい。

出典元:【MMD研究所

※サムネイル画像(Image:Tada Images / Shutterstock.com)

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