首都圏では、JR東日本の交通系ICカード「Suica」を利用している人は多いでしょう。列車やバスへの乗車だけなくお店での支払いにも利用できるのが便利ですよね。

でも、実は鉄道に乗るときには、きっぷならできることがSuicaではできないこともあるんです! 

【1】Suicaで長距離移動しても途中下車はできない!

列車やバスの乗車だけなく、ショップでも利用できる便利なSuicaですが、鉄道に乗るときは、きっぷでできることがSuicaではできないことがあるのをご存じでしょうか?

まず、長距離移動での途中下車です。JRでは片道100kmを超えるきっぷは、途中駅で下車しても自動改札からきっぷが戻って来ます。しかし、Suicaでは途中下車という概念がなく、途中下車するとその都度精算されてしまうのです。

たとえば、JR「熱海駅」からJR「宇都宮駅」の移動距離は214.3キロで100kmを超えているため、きっぷなら途中下車することが可能です。そのため、JR「東京駅」やJR「さいたま新都心駅」で途中下車してから、JR「宇都宮」に向かうことが可能ですが、これをSuicaでやろうとすると、下車するたびに料金を支払うことになります。

きっぷなら3,740円で済むところが、Suicaの場合はJR「東京駅」で下車した場合、熱海−東京間で1,980円、東京−宇都宮間で1,980円かかるので、合計で3,960円となり、きっぷのほうが220円ほど安くなるんですね。

もちろん、首都圏は大都市近郊区間の特例があるため、日付をまたいだ利用はできませんが、長距離移動の場合はきっぷを購入するほうがお得になる場合があるのです。ちなみに、きっぷを分割購入すると総額で安くなる購入方法もあるため、これがすべての路線で当てはまるわけでありませせんので、その点はご注意ください。

知ってた? 実は「きっぷ」でできることが「Suica」ではで...の画像はこちら >>

長距離きっぷを利用すると、写真のような「東京発」−「東京着」といったきっぷも購入できます。運賃を節約しつつ途中下車ができるので、Suicaよりもかなりお得ですね!(筆者撮影)

【補足】今回の例であげた熱海駅-宇都宮駅間で途中下車できるのは「新幹線経由」としてきっぷを購入した場合です。

【2】SuicaだけではJR「東京駅」からJR「仙台駅」まで鈍行列車では移動できない!

Suicaは特急券や新幹線eチケットを登録することで、SuicaだけでJR「東京駅」からJR「仙台駅」まで行くことが可能です。しかし、鈍行列車だけを乗り継いで移動した場合、JR「仙台駅」で自動改札を出ることはできないのをご存じでしょうか?

基本的にSuicaは日本全国で利用できますが、実は利用可能エリアが大きく14に分割されており、エリアをまたいでSuicaを利用することはできないのです。

知ってた? 実は「きっぷ」でできることが「Suica」ではできないことがある!
【2】SuicaだけではJR「東京駅」からJR「仙台駅」まで鈍行では移動できない!

こちらがSuicaなどの交通系ICカードが利用できるエリア。Suicaは日本全国で利用可能ですが、囲まれたエリアとエリア間をまたいで移動できません(画像はJR東海公式サイトから引用)

つまり、SuicaでJR「東京駅」で入場して鈍行列車を乗り継いでJR「仙台駅」で降りると、自動改札を出ることができないため、この場合は有人改札で精算してもらうしかありません。

ご注意ください。

もちろん、特急列車や新幹線を利用した場合は、乗車券をあらかじめ購入する必要があるため、このようなことを心配しなくてもいいですし、新幹線eチケットなどに登録したSuicaであればエリアをまたいで移動することも可能となっています。

【3】Suicaを使って長時間移動していると自動改札を出られなくなる場合も!

Suicaで入場して長時間移動を行った場合、同じSuicaのエリア内でも自動改札を出ることができなくなるのをご存じですか? これはSuicaの不正利用を防止するための仕組みで、JRから具体的な制限時間の発表はありませんが、およそ5~6時間程度でこのエラーが発生するようです。

もちろん、きっぷを購入していた場合は、使用期限は購入した日の終電までですので、自動改札でエラーが発生することはありません。もし、長時間改札内を移動することがあるなら、きっぷを利用するようにしましょう。

ちなみに、「大都市近郊区間の特例」を利用した、いわゆる“大回り”移動をする際には、上記のような理由から、Suicaよりもきっぷを利用するほうがオススメです。

知ってた? 実は「きっぷ」でできることが「Suica」ではできないことがある!
【3】Suicaを使って長時間移動していると自動改札を出られなくなる場合も!

Suicaで入場した場合は制限時間が設定されていますが、きっぷには使用期限が印字されており、その日の終電まで問題なく利用可能できます(筆者撮影)

【4】今でもSuicaが使えない地域がある!

基本的に、Suicaは日本全国の鉄道やバスなどで幅広く使えますが、まだまだ交通系ICカードに未対応の地域もたくさんあります。その代表的な地域が四国です。そもそもJR四国には自動改札対応駅が少なく、JR四国は交通系ICカードも発行していません。24年7月現在、四国で交通系ICカードが利用できるのは香川県のほんの一部で、多くのエリアでSuicaを利用することができないのです。

もし、四国で旅行するときはSuicaでの乗車は諦めて、きっぷを購入したほうがいいでしょう。ちなみに、香川県の琴平電鉄ではSuicaが使えますし、愛媛県の伊予鉄道は2025年春から、全線でSuicaなどの交通系ICカードが使えるようになる予定です。

知ってた? 実は「きっぷ」でできることが「Suica」ではできないことがある!
【4】今でもSuicaが使えない地域がある!

こちらがJR四国のICカード対応エリア。ご覧の通り瀬戸大橋からつながる香川県の一部でしかSuicaなどの交通系ICカードは使えません……(画像はJR四国公式サイトより引用)

【5】Suicaだと運賃が高くなる区間がある!

現在、多くの鉄道会社ではきっぷの運賃とは別にIC運賃の2つを設定しているのは、皆さんご存じでしょう。首都圏では、山手線の初乗り運賃が150円ですがIC運賃のほうは146円で、基本的にきっぷよりSuicaのほうが運賃が安くなりますよね。

しかし、一部の地域ではSuicaの運賃のほうが、逆に高くなる場合があることはご存じでしょうか?

たとえば、JR「大宮駅」−JR「宇都宮駅」間では、きっぷが1,340円なのに対しSuicaは1,342円で、なぜかSuicaのほうが2円ほど高くなってしまいます。このようにSuicaのほうが高くなるカラクリは、それぞれの運賃の算出方法が違うから。

Suicaでは税抜き運賃に1.1を掛けて、小数点以下を四捨五入して算出しています。これに対し、きっぷは税抜き運賃に1.1を掛けて、“1の位を四捨五入”します。そのため、きっぷのほうがSuicaより運賃が安くなる場合もあるんですね。

●JR東日本「「IC運賃」が安い場合と「きっぷの運賃」が安い場合がありますが、なぜですか。」は→こちら

知ってた? 実は「きっぷ」でできることが「Suica」ではできないことがある!
【5】Suicaだと運賃が高くなる区間がある!

JR東日本公式サイトの「IC運賃について」には、IC運賃が高い場合についても注記されています(JR東日本公式サイトより引用)

まとめ

いかがでしょうか? Suicaは、今や首都圏に住む人にとって欠かすことのできない便利な交通系ICカードです。

しかし、きっぷとまったく同じように使うことができない部分もあり、それぞれのメリット・デメリットを理解していないと、実は損したり旅行先で面倒なことになる場合もあります。

とくに、長距離移動を行うときは、基本的にきっぷを購入したほうが、無用なトラブルを回避できることを覚えておきましょう。

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