今年も暑さ対策が話題にのぼるようになってきた。暑い日に意識的に水分をとったりエアコンを上手に使うのはもちろん大切だけれど、暑くなる前の準備も重要。
大正製薬(東京)が5月に全国の20代以上の1000人に調査したところ、暑熱順化を意識していなかった人が262人。意識している人は、「水分をこまめにとる」(480人)、「睡眠をしっかりとる」(336人)、「汗をかく程度の活動(軽い運動など)をする」(319人)、「入浴を欠かさない・こまめにする」(251人)などが具体策だった。
熱中症に詳しい医師の谷口英喜氏(済生会横浜市東部病院 患者支援センター長/周術期支援センター長/栄養部部長)は、人間は汗をかいて気化させることで体温を冷やすが、そのためには自律神経がきちんとコントロールできること、汗をかくことに慣れていることが必要とし、「暑熱順化を効果的に行うためには、少なくとも2週間程度の継続的な取り組みが必要」だと話す。酷暑の中で急に暑さにさらされるのではなく、今の時期から意識してライフスタイルを整えておくことが夏の不調の予防につながるそうだ。
食事と栄養面への配慮、水分補給のほかにも、ウォーキングやジョギング、サイクリングなどの軽い運動を1日30分程度、週に5日ほど行うことも暑熱順化に役立つという。やや汗ばむ程度の負荷で、暑くなる前の時期であれば10時から15時の比較的気温が高い時間帯に実施することで、発汗機能や血液循環が促され、順化効果が高まる。栄養と運動で筋肉量と機能を保ち、入浴で汗腺機能を呼び覚ます。今からできることはたくさんありそうだ。