日本を含めた世界中の河川をさまざまなテーマから分析し、過去と現在、未来の観点からまとめた決定版、『世界の河川 地球科学大図鑑』(河出書房新社、税込み1万2980円)が発売された。写真、地図、イラスト、グラフなど500点以上の図版で、世界の河川、河口、三角州をダイナミックに解説。
利根川、信濃川からメコン川、セーヌ川、ミシシッピ川まで、地球上の全ての河川は、地形を刻みながら河口や三角州を通って海に注いでいる。川の流れは堆積物などを運ぶことでさまざまな生命を生み出し、地球上の豊富な生態系を支えている。農業や都市の発展という視点から見ても、川による水や豊かな堆積物は、文化や芸術の源にもなってきた。一方で、都市の発展やダム・堤防の構築などによる地球への負荷や影響は大きく、河川は環境問題の最前線に立っているとも言える。
川に関するさまざまなトピックスについて分かりやすく解説するこの図鑑では、川の構造や形状、仕組みから、生物多様性、人間との関係、資源管理や未来などのテーマについて明らかにする。米・プリンストン大学の出版部が2024年に刊行した『The World Atlas of Rivers, Estuaries, and Deltas』の日本語翻訳版で、アメリカ図書館協会から卓越した内容と重要性を持つ書籍に贈られるダートマス賞の佳作を受賞した一冊だ。