お寺を訪ねて仏像を見る機会も、歴史を感じる古い彫刻に胸打たれることもあるけれど、「分かっているか」となると答えは「ノー」だ。有名な絵画を見てすごいなあと思うのと同じレベル。
現代の「大仏師」が、制作にたずさわる仏師ならではの視点で、奥深く新鮮な仏像の見方を紹介するまったく新しい仏像の入門書。6世紀に日本に仏教とともに伝来して以来、仏像は人々の信仰を受け止めてきた。運慶や快慶など多くの名仏師・工房によって制作され、その技術や構想は蓄積し、現代まで濃密な伝統を作り上げてきている。そこで現代の「大仏師」である著者が、国宝・重要文化財の仏像、自作の仏像の数々を例に挙げながら、仏像の礼拝、鑑賞・解釈において欠かすことのできない基本要素の紹介に加えて、技法、表現の工夫、制作の意図などの見どころを語り尽くしている。