鎌倉新書(東京)が運営する、死後の手続き支援サイト「おくやみ手続きナビ」が、このほど全面リニューアル。行政の手続きだけでなく、金融機関・保険・ライフラインなど民間領域の手続きもカバーし、死後手続き全体を一元的に確認できる総合メディアサイトへと進化した。

 戸籍や保険、年金などの行政手続きだけでなく、口座の解約や公共料金の名義変更といった民間の手続き・・・。大切な人を亡くした直後、遺族には、大きな悲しみの中で、1人の人が亡くなったことによるたくさんの手続きが求められる。手続きが行政・民間を問わずさまざまな領域にまたがっており、「何を・いつ・どこで行えばよいのか」を把握するのは簡単ではない。そうした遺族の不安や負担を少しでも軽減するために、同社は2023年8月、死後の公的手続きを支援するWebサービスとして「全国自治体おくやみ手続きナビ」の提供をスタートした。簡単な質問に答えるだけで必要な手続きをまとめて抽出できるシンプルな機能が評価され、2025年4月時点で、全国90を超える自治体が導入しているという。

 今回のリニューアルでは、これまで対応していた自治体手続きに加えて、年金・税金・保険・ライフライン・各種契約の解約など、民間領域にまたがる死後手続きの情報を大幅に拡充。遺族が、行政・民間を問わず必要な手続きを一つのサイトで確認できるようになった。また、検索性や導線設計も全面的に見直し、必要な情報に迷わずたどり着ける構成に刷新した。“死後手続きの最初の入り口”として、多くの人にとっての「頼れる場所」となることを目指し、機能面だけでなく、使いやすさ・見やすさといったユーザー体験の向上にも力を入れているという。 

 東京都江戸川区は、2024年12月に同システムを導入。Webでの情報提供ツールとして、既存の情報を生かしつつ、予算確保の必要がなく短期間で導入できた点が大きな決め手だったという。実際に利用した区民からは「事前に必要な手続きが分かったので、使ってみてよかった」、「来庁不要な手続きがあることを知り、助かった」などの声が寄せられているという。

一方で、すべての人がデジタルでの完結を望んでいるわけではなく、「窓口で直接話を聞きたい」「誰かに相談したい」という声も根強くあり、同区では、対面と非対面の両方のニーズに応えられるよう、住民の事情に寄り添った運用を続けている。

 鎌倉新書は今後も、利用者の声や各自治体からの要望をもとに、コンテンツの更新・追加を継続的に実施。各自治体と連携を強化し、地域を問わず誰もが正確な情報にアクセスできる“終活インフラ”の確立を目指していく。将来的には、死後手続きにとどまらず、介護や贈与に加え、遺言作成や財産の整理といった“生前の備え”にも対応する情報提供基盤へ進化させていきたいという。

 鎌倉新書は、1984年創業。日本の高齢社会に向け、「終活」をテーマに出版やインターネット事業を展開。「介護施設探し」「相続の準備や手続き」「生前の整理や片づけ」「葬儀の準備」「仏壇」「お墓選び」をはじめとした多数のWEBメディアを運営している。

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