静岡・焼津発祥の「魚河岸シャツ」を耳にしたことはあるだろうか? 本染めの木綿晒の反物を丁寧に仕立てたシャツで、通気性が抜群。エアコンのない時代に焼津の漁師が生み出した“夏の知恵”だ。
CAMPFIRE「MIRUIプロジェクト」でプロジェクト「魚河岸シャツの涼しさを多くの人に知って欲しい」を立ち上げたのは、焼津市で魚河岸シャツの店を営む「濱いち屋」オーナーの川合優基さん。祖父は漁師で、昭和時代後期まで釣具店も営んでおり、川合さんも幼いころから父や兄と釣りに親しんできたという。
本染めの手ぬぐい生地の反物を仕立てた襟無し・半袖の「魚河岸Tシャツ」は、手ぬぐいを縫い合わせて仕立てたシャツ「てぬぐい襦袢」が進化したもの。昭和初期に、焼津市の海沿いの地域を中心に、漁師や水産加工業者が日常的に着用していた。仕立て屋の森要三さんによって魚河岸ロゴや魚河岸マークが用いられるデザインになりブランド化され、昭和50年代ごろから「魚河岸シャツ」という名称で親しまれるように。「魚河岸シャツ」は商標登録もされ、夏季のクールビズとして、市役所職員や市内事業者が勤務中に魚河岸シャツを着用する「魚河岸スタイル」も評判になっているという。
その伝統と品質を守るために、素材や製法や形状などに厳格な定義が定められ、焼津魚河岸シャツ協同組合加盟店だけに通常使用権が与えられ、魚河岸シャツを販売することができる。しかし、現在、組合会員数の減少に直面し、今年も2店舗が閉店するなど、文化継承の危機に直面しているという。
プロジェクト「魚河岸シャツの涼しさを多くの人に知って欲しい」の支援コースは1000円から。「焼津市民以外の方にも気軽に楽しんでほしい」と、リターンには、うちわや髪飾り、手ぬぐいなどの小物も用意。1万円以上のコースのリターンには、新しく開発された普段使いしやすい「新感覚の魚河岸シャツ」も用意している。