「第12回 コナミスポーツ ジュニアカップ」決勝大会(コナミスポーツ・東京)が9月14日、栃木県那須塩原市にある那須ハイランドゴルフクラブで行われた。
今年5月に日本選手として5人目となる海外メジャー大会を制覇した西郷真央選手(23)、8月に全英女子オープンで優勝した山下美夢有選手(24)、22年に全米女子アマチュア選手権で優勝、現在も米国女子ツアーで活躍する馬場咲希選手(20)など、プロゴルフ界では、10代20代の、特に女子選手の台頭が目覚ましい。
朝は雨交じりだったが、昼からはおおむね晴れた各コースで好ショットが連発。そんな中で小学生低学年の部は野村美波さん(小3)、高学年の部は常住美結さん(小4)、中学生の部では小筆一颯さん(中1)が優勝を果たした。
野村選手は「今日は前半ショットが安定しましたが、後半からショットやパターがあまり安定しませんでした。優勝するために来たのですごくうれしい。今日悪かったことをたくさん練習したいと思います」、常住選手は「パターがなかなか入らなかったけどショットがうまくいきました。ドライバーがなるべく飛ばせるよう頑張りました。次の大会ではアンダーを出したい」、小筆選手は「今日はドライバーからパッティングまでかみ合った。難しくて頭を使うコースだったので、頭をどれだけ使って自分の実力を出せるかが勝負だった。これから世界で活躍できるように頑張っていきたい」と話した。3人は笑顔を見せながら冷静にプレーを振り返り、さらなる成長を見据えた。
優勝選手は、ジュニア世代の育成を目的とする後援団体の上月財団(東京)に、助成対象者候補として推薦される。
今回で12回目を迎えるこの大会。馬場選手もジュニア当時、目標にしていたという。一方で、開催するコナミスポーツにはさらに大きな意図がある。室田健志社長は「ゴルフ人口の裾野を広げたい」という。
日本のゴルフ界にも「2025年問題」が存在する。長年日本のゴルフ産業を支えてきたいわゆる団塊の世代が2025年に全員75歳以上、後期高齢者となる。ゴルフ人口の拡大が急務だが、道具をそろえる必要がある、ゴルフ場が郊外にある場合が多いなど、初心者が気軽に始めにくい面がある。
それに対し室田社長は「当社は、44店舗でゴルフシミュレーターを活用したゴルフスクールを運営しています。お子さまの生徒さんも増えてきていますので、日本のゴルフ人口がこの先厳しくなる中、子どもの年代を支援していくのが日本のゴルフ界にとっても良いのではないか。それが『より多くの方の健康で豊かな人生をサポートしたい』というわれわれの創業からの思いと重なることです」と語る。
大会の予選で、各店舗にあるゴルフシミュレーターを使用することもその一環。「予選を各店舗で行うのは、お子さまが気軽に一人でも参加できるようにするためです。ただ決勝はリアルのゴルフ場なので、決勝の日がコースデビューという選手もいます。一方、シード選手で全国レベルの選手もいます。始めたばかりの選手がトップレベルのプレーを見ればいい目標に映るはず。良い循環が起こればという思いです(室田社長)」。
同社では競泳競技の大会「コナミオープン 水泳競技大会」も開催している。コナミオープンはジュニア選手からオリンピアンまで、さまざまな層の競泳選手が一つの会場で競い合う大会だが、ジュニアカップも将来的にはさまざまな層が出場できる大会にしたいという。
大会実行委員長の日野雄大さんは「今は1日で実施していますが、大会日数を増やしながら参加人数とカテゴリーを増やしていきたい。ここ那須ハイランドゴルフクラブは、コナミグループ所有のコースです。一般のゴルフ場を秋の連休に貸し切ることはなかなかできません。保護者も含めて参加しやすい日程で実施できるのは、コナミグループ所有のコースがある当社ならでは。
「他の大会ではジュニア選手に親がついて一緒にコースを回ることはありませんが、この大会では父母と一緒に回れることにしています。家族の一大イベントとして楽しんでいただけるところもジュニアカップの魅力です」と続ける日野さん。祖父と一緒に回る選手もいたそうで、「孫と一緒にできるスポーツも、なかなかないでしょう。ジュニアとシニアの課題を、ゴルフは両方解決できるかもしれません」とさらなる裾野の拡大に意欲を見せた。