日本には、糖尿病患者とその予備群が合わせて約2000万人いると推定されている。そのうちの9割以上が「2型糖尿病」。

2型糖尿病の多くは、遺伝的要因に、食生活の乱れや運動不足などの生活習慣が加わって発症するという。糖尿病は、心筋梗塞、脳卒中、認知症などのさまざまな疾病のリスクを高め、生活の質を低下させるとともに、医療費を増大させる一因となっている。

 近年、複数の研究において、ヨーグルトの摂取が2型糖尿病の発症を減少させることが報告されており、国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所(大阪府茨木市)と明治(東京)は、ヨーグルトの摂取量を適量まで増やすことで医療費の削減につながる可能性があることをシミュレーションにより試算。7月9日に国際学術誌「Nutrients」に掲載された。

 この研究は、健康への意識が高い人だけでなく全ての人が、意識せず自然に健康になれる食環境の構築を目指す取り組み「食環境整備推進のための産学官等連携共同研究プロジェクト」の一環。ヨーグルトを1日160g摂取する場合、10年間で2型糖尿病の発症が16.1%減少して糖尿病関連の医療費が2.4%(約1440億円)削減でき、ヨーグルトを1日80g摂取する場合は、発症が5.9%減少して医療費が0.9%(約520億円)削減できる可能性が示唆された。もちろん取り過ぎはよくないが、糖尿病を患っている人やその予備軍、あるいはヨーグルト好きにとっては、朗報だろう。

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