性別や国籍、肌の色などを理由に、ひどい言葉を投げかける人たちがいる───。

第二次世界大戦当時の軍隊にも「黒人のくせに」「女性のくせに」と差別され、しいたげられた人たちがいました。
けれど彼女たちは屈するどころか、力を合わせて歴史に残る偉業を成し遂げたのです。

毎週金曜は各配信サイトで観られるオススメ作品を紹介する日。

今週もよく頑張った……週末はおうちでゴロゴロしながら、Netflix映画『6888郵便大隊』を観て、カウチポテトになっちゃお~!

【あらすじ】
第二次世界大戦真っただ中の1942年、黒人女性のレナは恋人の戦死をきっかけに陸軍への入隊を決意。

しかし、レナが配属された「有色人種女性部隊」は日ごろから人種差別や性差別にさらされており、重要な任務を与えてもらえません。ところがある日のこと「戦場の兵士たちに手紙を届ける」という大仕事を任されるのです。

簡単な任務のように思えるけれど、手紙の量が膨大なうえに、あて名が読めないものも多く、部隊は並々ならぬ苦労を強いられることに。果たして彼女たちは無事に任務を遂行することができるのでしょうか……。

【ココが見どころ!】

<その1:実在した女性部隊を描く実話です>
第二次世界大戦中、戦地では物資の輸送が優先されるため、兵士たちは長いあいだ家族や恋人からの手紙を受け取れずにいました。

大切な人の手紙がなければ、兵士たちの士気も上がらない。この問題を解決するために誕生したのが、黒人女性のみで結成されたアメリカ陸軍で唯一の部隊「第6888大隊」だったのです。

なんと本作は実話から着想を得ているのだそう。恥ずかしながら本作を鑑賞するまで、このような部隊が存在することすら知らなかったわ……!!

<その2:差別に次ぐ差別…悔しさをバネに成し遂げた偉業>
第6888大隊を率いるアダムス大尉は、知性も体力も兼ね備えたトップレベルの兵士であり、彼女の部下たちも皆優秀でした。


それなのに「黒人だから」「女性だから」という理由で実力を認めてもらえないうえに、話すら満足にさせてもらえません。おまけに、人が到底住めないような劣悪な環境で仕事をさせられそうになるのです。

彼女たちに課されたミッションは「1700万通の郵便物を6カ月以内に配達する」というもの。お察しのとおり、どう考えても無理なのですが、彼女たちは負けなかった!

兵士たちが手紙に盛り込んだ小さなヒント、「手紙に振りかけた香水のにおい」といった女性ならではの視点から手紙を振り分けていき、驚きのはやさでミッションをこなしていきます。そのすがすがしいことったら……実力でねじ伏せる女たちがカッコよすぎるんだわ(涙)。

<その3:女性同士の絆=シスターフッド映画でもあります>
困難なミッションをこなしていくうちに、第6888大隊のメンバーのあいだに “たしかな絆” が生まれていきます。

彼女たちが陸軍に志願した理由はさまざまで、パートナーや父親による暴力から逃れるために入隊した人も。ほかに頼れる存在がなかったからこそ、よりいっそう仲が深まっていったのかもしれません。

差別や困難に立ち向かうために、彼女たちが一致団結する姿は、絵本のスイミーに出てくる “大きな魚” のようにも見えました。これぞまさしくシスターフッド!

【終戦記念日だからこそ鑑賞しておきたい】
21世紀を迎えてから20年以上が経過したというのに、いまだ戦火は止まず、差別もなくなりません。だからこそ、現代に生きる私たちが、この問題について真剣に考える必要があると思うのです。

今年は戦後80年目の夏、そして本日8月15日は終戦記念日。


あの日あのとき、戦火の中で過ごした人々の記録を見て、戦争というものに想いを馳せてみませんか。

■今回ご紹介した作品
『6888郵便大隊』(原題:The Six Triple Eight)
2024年12月20日からNetflixで独占配信中

※カウチポテトとは:ソファや寝椅子でくつろいでポテトチップをかじりながらテレビやビデオを見て過ごすようなライフスタイルのこと。

執筆:田端あんじ (c)Pouch
Photo:Laura Radford, Bob Mahoney/ Perry Well Films 2 / Courtesy of Netflix、© 2024 PERRY WELL FILMS 2, LLC. All Rights Reserved

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