昨今、人気を集めている “考察系ホラー”。情報や伏線といった物語の断片を頼りに観客自身が真相を探っていくことで、より深い恐怖を味わえるといわれています。
今回、試写で鑑賞しご紹介するのは、この冬には、「この10年でいちばん怖い」と評されたホラー映画『ロングレッグス』を手がけた気鋭スタジオ・NEONによる2025年12月12日より公開される新作『シェルビー・オークス』。
廃墟と化したシェルビー・オークスという町で起きた失踪事件を描いている、というのだけれど……これってフィクション? それとも現実? 真実をたしかめたくてインターネットで検索してみたら、事件に関する情報を集めた捜索サイトもあって、ますます混乱しちゃうんですけど!
【どんなお話?】
アメリカ・オハイオ州にある廃墟と化した町、シェルビー・オークスで人気ホラー実況チャンネル「パラノーマル・パラノイド」の撮影チームが忽然と姿を消した。
それから12年後、撮影チームのひとりでありチャンネルの中心的人物でもあったライリー・ブレナンの姉ミアのもとに、失踪の瞬間を映した1本のビデオテープが届けられる。現場に残った奇妙な刻印、幼少期の悪夢、呪われた町の歴史と言い伝え。ミアは映像を手掛かりに事件の真相を探っていく。
これはフィクションなのか、はたまた現実に起きたお話なのか───。その答えを探るためにオンライン試写に参加してみました。
【3つの注目ポイント】
映画本編を観ることで、ようやく作品の実態がつかめましたよっ。注目ポイントは次の3つ!
①リアルと錯覚しそうなモキュメンタリー
本作はフィクション……なんだけど、まるで実際に起きたドキュメンタリーのよう。現実を追う展開から一転し「物語」へとつっこんでいく、フェイクと真実の境目がわからなくなる構成に引きこまれます。
モキュメンタリー(=フィクションをドキュメンタリー風に見せて演出する映像表現)ならではの、ひたひたと忍び寄る恐怖に背筋が寒くなること必至。考察系ホラー×モキュメンタリーって、やっぱり怖ろしいほど相性いいわね。
②ライリーはなぜ消えたのか
撮影チームはなぜ消えたのか、そしてどこへ行ったのか。
事件のカギを握るのは、撮影チームの中心人物だったライリー。「ライリーの失踪」と「ライリーの姉・ミアによる捜索」が、時を超えて交錯していき、驚愕の結末へとたどり着きます。
真相を探るには、ライリーの幼少期について知らなければなりません。彼女は幼いころから事あるごと、窓の外に「謎の男」の姿を見てきました。この男の正体は人間なのか、それとも怪異の類いなのか。そもそも事件と関係があるのか、ないのか……。
③本当の狙いは「誰」なのか
失踪事件の犯人は、いったい誰を狙っていたのでしょうか。おそらく、多くの人がライリーを狙ったのだろうと推測するでしょうが、果たして本当にそうかな?
【映画の枠を飛び越えた「仕掛け」にゾクゾク】
新作『エクソシスト』シリーズ最新作を手がけたマイク・フラナガンさんをエグゼクティブプロデューサーに迎えた本作。監督を務めているのは、YouTuberであり新鋭ホラー作家でもあるクリス・スタックマンさんです。
映画を鑑賞した各メディアからは「まるで悪夢、トラウマ必至の恐ろしさ」「ホラージャンルを完全に再定義する作品」といった賞賛の声も寄せられているそう。公開が待ちきれない人は、ひとまずYouTubeにある予告動画を観て、ボルテージを高めておきましょう。
ところで……本作には映画の枠を超えた「怖すぎる仕掛け」が散りばめられております。
※捜索サイト内には刺激的な画像が含まれます。閲覧にはご注意ください。
■その1:架空の捜索サイト
物語の軸となる未解決失踪事件に関する情報を集めた架空の捜索サイトがオープン。少々ネタバレになってしまうため、映画より先に見ることはおすすめできないのだけれど、まァ作り込みがハンパないのよ。
人気ホラー実況チャンネル「パラノーマル・パラノイド」が事件前に公開した動画やメンバーのプロフィール、シェルビー・オークスの町の歴史、ニュース映像や新聞記事、地元警察の公式声明といった資料を掲載。さらに、掲示板では情報提供者たちによる考察が繰り広げられているのです。
ちなみに、このサイトを開設したのは「事件の行方を見守る “何者か”」なのだとか……。映画を見た人にだけわかる物語への伏線がいくつも仕掛けられているので、考察が捗りますわよ。
■その2:情報提供用の電話番号
なんと「情報提供用の電話番号(050-1794-5586)」まで公開されております。ぜひ指定された番号に電話をかけてみてください。最後の最後に、戦慄の恐怖を味わえるので。
こうした仕掛けも含めて体験することで、ますますフェイクと現実の境目がわからなくなりそう。ぜひ自ら、混沌のなかへと飛び込んでみてください。
『シェルビー・オークス』
公開日:2025 年 12 月 12 日(金)
脚本・監督:クリス・スタックマン
エグゼクティブプロデューサー:マイク・フラナガン
原案:サマンサ・エリザベス&クリス・スタックマン
出演:カミール・サリヴァン、ブレンダン・セクストン三世、キース・デヴィッド、サラ・ダーン、デレク・ミアーズ、エミリー・ベネット、チャーリ ー・タルバート/ロビン・バートレット/マイケル・ビーチ
2025/英語/91 分/シネスコ/カラー/5.1ch/
原題:Shelby Oaks
日本語字幕:杉山緑
配給:KADOKAWA
参考リンク:捜索サイト
執筆:田端あんじ (c)Pouch
Photo:© 2024 SHELBY OAKS LLC All Rights Reserved
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