【最新公開シネマ批評】
映画ライター斎藤香が皆さんよりもひと足先に拝見した最新映画のなかから、おススメ作品をひとつ厳選してご紹介します。
今回ピックアップするのは、ライアン・ゴズリングさん主演映画『プロジェクト・ヘイル・メアリー』(2026年3月20日公開)。
では、物語から。
【物語】
未知の原因により太陽エネルギーが奪われ、地球が氷河期に突入してしまうという危機に直面している地球。謎の権力者・ストラット(ザンドラ・ヒュラーさん)のもとに世界の叡智が集まったのですが、その中から彼女が選んだのは子どもたちに科学を教えている中学教師のグレース(ライアン・ゴズリングさん)。
Ryan Gosling stars as Ryland Grace in PROJECT HAIL MARY, from Amazon MGM Studios.
Photo credit: Jonathan Olley
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ストラットは彼に「宇宙へ旅立ち、太陽と地球のピンチを救ってほしい」「あなたに80億人の命がかかっているのよ」と頼みます。
グレースは、このヘイル・メアリー(イチかバチか)プロジェクトと名付けられた地球に帰還することを想定していない片道切符の任務を押し付けられてしまうのです。
【地球を救うミッションに挑む中学教師】
SF映画というと未知の世界を深掘りしていくイメージがあるので、SFが得意でない人は「宇宙の知識ゼロだけど大丈夫かしら」と不安になるかもしれません。しかし、本作はそんな心配ゼロ。なぜなら従来のSF映画とテイストが違うんです。
ストラット女史は学校で子どもたちにのんびりと勉強を教えていたグレースに声をかけます。困惑するグレースが「え?僕は中学校の先生ですけど?」と返してもストラットはめっちゃ強引。
加えて、宇宙へ飛んで太陽エネルギーが奪われていくという謎を解くミッションを押し付けながら、「片道切符だからね」とか言うんですよ。え~帰ってこられないじゃん! って見ているこちらもビックリですよ。
【宇宙船で出会った岩石みたいなエイリアン】
望まずして選ばれたグレースは宇宙へと飛ばされるのですが、さすが科学の教師だけあって、あれこれ知識はあるわけです。とにかくたった1人でなんとか乗り越えなければならない……と思っていたときに出会ったのが岩石みたいなエイリアン。
想像するエイリアンのイメージと違うルックスで、岩顔なので表情はわからないけれど、動きがチャーミング。ちょっとゆるキャラっぽいんです。
Ryan Gosling stars as Ryland Grace in PROJECT HAIL MARY, from Amazon MGM Studios.
Photo credit: Jonathan Olley
グレースはそのエイリアンを「ロッキー」と名付け、翻訳機能で会話ができるようにするんです。ロッキーは天才的なエンジニアの腕を持っていたので、お互いに力を合わせようってことになります。ここから一気に映画は宇宙のバディものに。
気が合うグレースとロッキーが友情を育んでいく様子が微笑ましくて、かわいくて……。
【気づいたら涙が…】
中盤以降はほぼ宇宙船のシーン。グレースとロッキーが力を合わせて頑張るのですが、もちろんすべてがうまくいくわけではないので、観客はハラハラと見守ることになります。
ネタバレになるので詳しくはお伝えできませんが、グレースがピンチになったかと思うと、今度はロッキーが危機に直面したり、究極の選択を迫られたり……。
人間とエイリアンの物語でもあり、エモーショナルな気持ちを後半にググッと押し上げられ、見ているこちらの感情も高まり、気がついたら泣いていました。
【ライアン・ゴズリングが映画化を熱望】
本作は、主役を演じたライアン・ゴズリングさんが原作に惚れ込み、映画化を熱望して実現した作品。フィル・ロードさん&クリストファー・ミラーさんを監督に抜擢したのもライアンさん本人だそう。
この映画は、作家アンディ・ウィアーさんの同名原作の映画化なのですが、ウィアーさんの著作『火星の人』は、マット・デイモン主演映画『オデッセイ』として映像化されています。
マット・デイモンさんが火星でぼっちになる映画で、構成が本作に似ているんですよ。そして「知識が命を救う」という点も。『オデッセイ』も本作も乗り越えるべき壁は壮大な宇宙で、彼らの命綱になっているのが教養・知識。本作はそれにプラスして、ロッキーとの友情!
フィル・ロード&クリストファー・ミラー監督は「IMAXを想定して制作した」と語っているので、興味があったらIMAXで観てほしい。ちなみに私はIMAX上映で鑑賞。没入感ハンパないですよ。
グレースとロッキーの宇宙で育まれる友情をぜひ大スクリーンで。
執筆:斎藤 香 (c)Pouch
『プロジェクト・ヘイル・メアリー』
2026年3月20日(金) より全国ロードショー
監督:フィル・ロード&クリストファー・ミラー
脚色:ドリュー・ゴダード
原作:アンディ・ウィアー「プロジェクト・ヘイル・メアリー」(早川書房刊)
出演:ライアン・ゴズリング、ザンドラ・ヒュラー
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
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