※本稿は、本山裕輔『仕事ができる人がキリの悪い時間にやっていること』(サンマーク出版)の一部を再編集したものです。
■休憩中の過ごし方の「致命的な間違い」
上手に休憩を取るための代表的な手法に「ポモドーロ・テクニック」があります。この方法について最も的確でわかりやすい説明をしているのが、バーバラ・オークレー氏とオラフ・シーヴェ氏の著書『学び方の学び方』(アチーブメント出版)でしょう。
同書によると、ポモドーロ・テクニックの基本的な手順は以下の通りです。
1 勉強する場所に座り、邪魔になりそうなもの(PCのポップアップや電話の音など)を排除する
2 タイマーを25分にセットする
3 25分間、勉強に集中する
4 25分間が終わったら、5分間の休憩時間を取る
この手順自体は、インターネット上の記事でもよく紹介されています。しかし、私が長い間大きく勘違いしていたのが、4ステップ目の「5分間の休憩時間を取る」という部分でした。『学び方の学び方』を読み進めると、次のような興味深い研究結果が紹介されていました。
ラトガーズ・ビジネススクールのサンゴーン・カンとテリー・クルツバーグ両教授の研究によって、休憩中に携帯電話をいじると、携帯電話にまったく触れずに休憩時間を過ごすのと比較して、頭脳の回復が効果的におこなわれないことが明らかになった。
『学び方の学び方』より
これを読んで、私は自分の致命的な間違いに気づきました。それは「作業の合間の休憩時間に、スマホを操作していたこと」だったのです。
■真の休憩とは脳を空っぽにすること
「何かLINEが来ているのではないか」「Xでコメントが届いているかもしれない」といった具合に、SNSを眺めながら休憩を取っていました。
しかし、これでは休憩の意味がありません。
それどころか、「LINEをチェック→Xを確認→YouTubeを視聴」というように、次々とアプリを切り替え、処理する情報も変わるため、スイッチングコスト(別の課題に適応して集中し直すための労力)が無駄に消費されてしまいます。その結果、脳はかえって疲弊してしまうのです。
では、本当に効果的な休憩とはどのようなものでしょうか。答えは明確です。休憩時間は、とにかく脳を空っぽの状態にすることが重要なのです。
具体的には、昼寝をする、散歩に出る、瞑想(めいそう)をする、窓から遠くの緑を眺めるといった活動が理想的です。これらの行為こそが、本当の意味での「休憩」と呼べるものなのです。
効率的な学習や作業のためには、集中する時間と同じくらい、質の高い休憩時間が欠かせません。スマホの誘惑に負けず、脳に真の休息を与えることを心がけてみてください。
■10分で事務処理を完結させる2つの考え方
隙間時間が短い場合は、考え事をしたり休息したりするには余白が足りません。
そこで、隙間時間が10分前後の際に、私がやっていることは3つあります。
1 溜(た)まっている事務処理を捌(さば)く
2 生成AIに依頼をする
3 振り返りをする
忙しい日々の中で、まとまった時間を確保するのは難しいものです。しかし、10分という短時間でも、適切なアプローチを取れば溜まった事務処理を着実に進めることができます。
ただし、闇雲に手をつけるだけでは時間を無駄にしてしまいます。限られた時間を最大限に活用するため、私は次の2つの考え方を軸に作業を進めています。
事務処理の原則① 完結性があるタスクを優先的に処理する
最初に重要なのは、10分で完全に終わらせられるタスクを優先的に選ぶこと。逆に、短時間での作業において最も避けたいのは、中途半端な状態で作業を終えることです。なぜなら、次にそのタスクに取りかかる際、再び「思考の立ち上げ」が必要となり、余計なコストが発生してしまうからです。
■隙間時間の効率を向上させるタスク
具体的には、以下のようなタスクが10分枠に適しています。
・短いメールやチャットへの返信
・書類や申請の承認作業
・簡単な情報整理や資料の分類
これらのタスクは、一度着手すれば途中で止めることなく10分以内に完了まで持っていけるため、時間効率が格段に向上します。
事務処理の原則② 長期的なタスクへの「種まき」
一方で、10分では完結しないタスクについても、決して放置するわけではありません。こうしたタスクには「種まき」のアプローチが効果的です。
例えば、時間のかかるメールが複数ある場合を考えてみましょう。
この手法の優れた点は、次の隙間時間が生まれた際に、件名を見るだけで「こういう方向性でメールを書こうとしていた」と瞬時に思い出せることです。これにより、迷いなく作業に取りかかることができます。
10分で完結しないタスクに対しては、もう1つ効果的な方法があります。それは、現時点で気になることを書き出すことです。
この手法は、デビッド・アレン氏の著書『ストレスフリーの整理術』(二見書房)の考え方を参考にしています。具体的には、以下の3ステップで進めます。
■10分で完結しないタスクも効率的に
ステップ① 把握する
頭の中にある「気になること」を、目に見える形でメモに書き出します。この段階では、情報の整理や分類は一切行いません。重要なのは、とにかく頭の中から外に出し切ることです。
ステップ② 見極める
書き出した各項目について「これは何か?」「行動が必要か? 不要か?」を判断していきます。
行動が不要なものは、以下のいずれかに分類します。
・ゴミ箱 不要な情報は捨てる
・参考資料 今後の参考情報として記録しておく
・いつかやるリスト 現時点では行動しないが、将来的な検討事項として記録しておく
行動が必要なものについては「~する」と動詞の形で表現して、行動リストとして書き出します。
ステップ③ 整理する
ステップ②で作成した行動リストに優先順位をつけ、実行可能な形に整理します。
この3ステップのプロセスを10分で行うだけでも、頭の中がスッキリと整理され、次の作業により集中して取り組めるようになります。
10分という短時間であっても、完結性を重視したタスク選択と、長期タスクへの戦略的な種まきを組み合わせることで、事務処理を効率的に進めることが可能です。重要なのは、限られた時間の中で何を優先すべきかを明確にし、中途半端な状態を避けることなのです。
■生成AIへの依頼・壁打ちは10分がベスト
事務処理が溜まっていないときや、どうしても気になって仕方がない疑問があるとき、私は空いた10分間を生成AIとのやりとりに活用しています。
私は記事や動画のコンテンツを書く仕事が多いため、そうした創作の源泉となるような疑問や違和感を、忘れないうちに言語化しておく必要があります。例えば、先日とあるSaaS系ツールの営業を受けた際、「この営業の時間は心地よかったな」と感じる瞬間がありました。そのとき私の頭には、「なぜあの人の営業には心地よさを感じたのだろうか? 事前にこちらのことを徹底的に調べてくれている安心感と、そのうえで鋭い質問をピンポイントで投げかけてくれる姿勢が、あの心地よさを生み出したのではないか?」という疑問が浮かびました。
こうした疑問や気づきが生まれたとき、私はまず付箋に書き出し、PCを投影しているモニターに貼りつけるようにしています。そして後日、その付箋に記された疑問について生成AIに尋ねるのです。
プロンプト(生成AIに入力する指示文)を作成し、生成AIにお願いごとをする作業には、10分という時間がちょうどよいのです。特に私の場合、ChatGPTのDeep Researchなど処理に時間がかかるモデルを使うことが多いため、調査の目的、具体的な調査事項、期待するアウトプットなどを丁寧に文章化して入力する際、10分という制約が程よいプレッシャーを与えてくれるからです。
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本山 裕輔(もとやま・ゆうすけ)
Shikumu代表、グロービス講師
1992年生まれ。佐賀県出身。福岡県在住。慶應義塾大学商学部卒。グロービス経営大学院MBA修了。2016年に新卒でPwCコンサルティングに入社し、大企業の業務改革や営業・マーケティング強化の支援、システム導入のプロジェクトマネジメントなどに従事。2019年にグロービスへ入社。業務改革やデータマネジメントをはじめとしたDXを主導。現在は論理思考のコンテンツ開発および講師を担っている。また、Shikumuの代表取締役として、幅広いクライアントへのマーケティング、データ活用、業務効率化に関するコンサルティングを行っている。
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(Shikumu代表、グロービス講師 本山 裕輔)

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