※本稿は、清水克彦『その言語化は一流、二流、それとも三流? 頭のいい“この一言”』(青春文庫)の一部を再編集したものです。
■「聞き上手の人」は相槌が違う
相手との距離を縮めるには聞き上手になること。聞き上手になるためには、相手の言葉を「しっかり聞いていますよ」という姿勢を見せることが一番の近道です。
ここで重要になるのが相槌です。
相槌は、相手に「あなたの話、しっかり聞いていますよ」とか「話の内容、ちゃんと、理解していますよ」ということを示すサインのようなものです。
ただ、難しいことは何もありません。私は、基本的に、「さしすせそ」の「サ行」言葉でまかなえると考えています。
これらの「サ行」言葉には、相手を持ち上げたり、驚いてみせたり、労をねぎらったり、さらには、強く肯定したりする要素が凝縮されています。これらの言葉を基本に、場面に応じた言葉を返していけばOKです。
■「なるほど」よりもっとわかりやすい反応
たとえば、相手からもっと話を引き出したいとき、より詳しい情報を得たいときなどはどうすればいいでしょうか。
「私は、今まで○○という役職を務めてきた経験から△△だと思うんです」
A「はい」
B「なるほど」
C「まったく同感です」
Aのように単純に「はい」を挟むだけでは、その話がそこでストップしてしまいます。もう少し聞き出したい場合は、Bのように、相槌の定番とも言える「なるほど」を挟みます。
ただ、「なるほど」は、相手の意見を肯定も否定もしない言い方です。「なるほど、一理ありますね(=私の考えとは違いますけど)」というニュアンスも帯びています。
したがって、相手の意見に同意し、もっと話を引き出したいときは、Cのように、「まったく同感です」や、先ほど「サ行」言葉で紹介した「そのとおりですね」などのフレーズを使って強く賛同しているという姿勢を見せましょう。
相手が目上の人であれば、「それは興味深いお話ですね」や「さすがですね、考えが及びませんでした」なども有効かもしれません。
■考え方が違う相手を怒らせない技術
逆に、相手の話の内容が、完全には納得できないものであったとしたらどうでしょうか。
「私は、今まで○○という役職を務めてきた経験から△△だと思うんです」
A「そうでしょうか?」
B「そうですか。なかなか難しいところですね」
C「と、おっしゃいますと?」
Aだと、同意できない気持ちが前面に出すぎ、相手が不快に感じます。Bは曖昧なままで対話が終わってしまうかもしれません。
しかし、Cであれば、そう思う根拠をもっと知りたいという気持ちが相手に伝わりやすくなります。
決めのひと言
「さすが」「信じられない」「すごい」「せっかく○○したのに」「その通りです」
相槌名人になれば、話を引き出せる
■興味を持てなくても、サ行言葉で返す
人と信頼関係を築くうえで大切なことは、相手への気配りです。
相手が話す内容によっては、考え方や見方がまるで違う意見もあれば、長く聞かされていると辟易(へきえき)してしまうような自慢話もあります。
しかし、いきなり否定したり、露骨に打ち切ろうとしたりしないで、相手に恥をかかせないよう配慮しましょう。
流れる水にたとえれば、すぐに蛇口を閉めようとしたり、流れをせき止めようとするのではなく、上手に隣の水路に流すようなイメージです。
「うちの息子、この春○○大学の△△学部に合格しましてね、私も安堵しました」
A「そうなんですか」
B「そうなんですか、すごいですね」
C「そうなんですか。おめでとうございます。これからが楽しみですね」
あまり関心がない話でも、Aだとあまりに無愛想。Cがもっとも丁寧な返し方ですが、せめてBのように、「すごいですね」とか、「それは何よりです」「さすがです」など、相手の嬉しい気持ちを察して返すのがベターです。
自慢話を聞かされる場合、冒頭で紹介した「サ行」言葉のうち、「さすが」「信じられない」「すごい」を使えば、ほぼ過不足なく相手に満足感を与えられます。
■愚痴に「わかります」だけでは不十分
このように、相槌は、相手の話に共感することが基本です。それは、相手が愚痴や失敗談を語ってきた場合でも同じです。次のように言い換えてみましょう。
相手が愚痴や失敗談、悩み事を語ってきた場合の相槌
●「なるほど」→「それはがっかりですね」「そうでしたか、お察しします」
●「そうですか」→「わかります」→「それはさぞ○○だったでしょう」「ご苦労なさったんですね」「そうお感じになるのは当然だと思います」
このように、「なるほど」では弱く、「わかります」だけでは相手への共感が足りません。
決めのひと言
「それは大変でしたね」
気持ちを込めたリアクションする
■別れ際、一流の人が付け加えるひとこと
相手に「また会いたい」や「次の仕事もお願いしたい」と思わせる、あるいは「次回も呼んでもらいたい」と感じてもらえるには、別れ際のひと言が大切です。
たとえば、デートの終わりに、相手から言われるセリフとして次のどちらがいいでしょうか。
「じゃあ、またね!」
「きょうは本当に楽しかった。またどこかに行こう!」
前者より後者のほうが、言われる側としては心が躍るのではないでしょうか。ビジネスも同じです。
A「では、失礼します」
B「本日はありがとうございました。ごめんくださいませ」
C「本日はありがとうございました。またお目にかかれますことを楽しみにしております」
Aではあまりに素っ気なく、少なくともB程度の言葉がけはしたいものです。Cはお礼と同時に、次回も楽しみにしていると告げることで、面会が有意義だったことを盛り込んでいます。感謝の言葉に続けて、「いいお店でしたね」と加えるのもいいでしょう。
■「また会いたい」と思わせる大人フレーズ
少なくとも社会に出て10年以上が経ったような人であれば、これくらいの言葉がけはしたいものです。
別れ際に使える大人の表現
●「今日は貴重なお時間をありがとうございました」
●「今日はお目にかかれて光栄でした」
●「では、近いうちにまたご連絡させていただきます」
●「皆さまにもよろしくお伝えください」
●「いずれあらためて御礼に参上いたします」
●「またお目にかかれますのを楽しみにしております」
●「これに懲りずにまたお付き合いください」
●「また、どうぞ遠慮なくお立ち寄りください」
●「どうぞよい週末(年末年始)をお過ごしください」
これらのフレーズを、相手との関係や場面に応じて使い分けるといいでしょう。
■私が最後に「志」と「夢」を語る理由
私の場合は、こうした表現に加え、もうひと言、盛ります。
特に相手が政治家や企業のトップ、著名な文化人などの場合、日々、多くの人間との接触がありますから、強烈な印象を残しておかないと忘れ去られてしまうからです。
盛る要素は「志」や「夢」です。
このうち、「夢」は、個人の目標や理想、「志」は、世の中や地域、お客様をはじめステークホルダーに貢献したいという意欲になります。これらを最後に端的に語るのです。
「本日は貴重なお話をありがとうございました。この番組は、スタッフ全員が『今』を伝えようと張り切って作っている番組です。私は視聴率トップを目指しています。またぜひ、お越しください」
「今日はご足労いただきありがとうございました。私どもキャリア支援課では、学生の主体性を重んじながら、社会に貢献できる人材へと育てていきたいと考えています。お力添えください」
このように、個人やチーム(組織)としての思いを付け加えれば、「近々、食事でもしながら話を聞かせてよ」とか「貴学のために何でも協力させていただきます」などと言われたりもしますから、効果は絶大です。
決めのひと言
「私にはこんな夢があります」
あなたの「志」や「夢」が相手の脳裏に刻まれる
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清水 克彦(しみず・かつひこ)
政治・教育ジャーナリスト/びわこ成蹊スポーツ大学教授
愛媛県今治市生まれ。京都大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学。文化放送入社後、政治・外信記者。
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(政治・教育ジャーナリスト/びわこ成蹊スポーツ大学教授 清水 克彦)

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